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「ステロイド皮膚症」の版間の差分

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== 概略 ==
== 概略 ==
正式な医学用語としては認められていないが、[[タキフィラキシー]]が起こっていると解釈するもの<ref>[http://www.nanzando.com/books/34141.php 参考リンク] 南山堂</ref>もいる。主として外用剤において問題となるが、まれに内服、皮下注射においても全身性の皮膚[[萎縮]]などをきたす症例が存在する。ステロイド皮膚症は、古くは一般的(古典的)副作用のみを指す語として、一般の皮膚科医が用いることもあった<ref>「ステロイド皮膚症発症の頻度の推移-1979年から1984年まで-」皮膚 27:1166ー1171 1985</ref>が、近年では、中止にともないリバウンドを生じるような皮膚の状態を特に指して用いられるようになった。一般的な皮膚科医が用いることは少なく、[[アトピー性皮膚炎]]に関する[[代替医療]]業者や、その患者の間では広く用いられている言葉でもある。


主として外用剤において問題となるが、まれに内服、皮下注射においても全身性の皮膚[[萎縮]]などをきたす症例が存在する。
== 見解 ==
全く根拠のない造語のようではあるが、[[厚生省]]は外用でリバウンドを起こす可能性がある<ref>[http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/06/h0603-1.html 外部リンク]</ref>ことを、極めて稀なケースでありながら認めている。この業者が摘発された原因は、購買者が「効きすぎる」と心配した<ref>たいてい国民生活センターに寄せられる苦情は「効かない」が大多数で「効いたからおかしいのではないか」という苦情が入ったのは本件が初。</ref>からである。こういった件を以って、ステロイド皮膚症が存在すると考える事ができる。その後も[[化粧品]]に混ぜる業者が現れ<ref>[http://web.archive.org/web/20090823041535/http://headlines.yahoo.co.jp:80/hl?a=20090819-00000039-jij-soci 参考リンク]</ref>、実際にこれを使った被害者が「急に治るが、間をおくと逆にひどくなる」症状を訴えている。


ステロイド皮膚症として、ステロイド皮膚炎とステロイドざ瘡、ステロイドによる酒さ様皮膚炎を含めて調査した、大阪大学医学部・皮膚科学教室の医師の論文があり、同病院にて母集団に変化がないまま毎年30-45人であった<ref name="naid130003843421">{{Cite journal |和書|author1=水越直子 |author2=佐藤健二 |date=1985 |title=ステロイド皮膚症発症のひん度の推移 1979年から1984年まで |journal=皮膚 |volume=27 |issue=6 |pages=1166-1171 |naid=130003843421 |doi=10.11340/skinresearch1959.27.1166 |url=https://doi.org/10.11340/skinresearch1959.27.1166}}</ref>。
医師免許を所持している医者が[[プロピオン酸クロベタゾール]]を安易に用いて捕まる例があり<ref>[https://archive.is/7WVrQ 外部リンク]</ref>、これは「ステロイドでリバウンドやタキフィラキシーは起きない」といった類の言説を故意に悪用した治療法を謳っているため、「効きすぎるからおかしい」といった類のあまり見られない苦情<ref>通常のクレームは「効かない」からつくのであって、効きすぎるから付くというケースは殆ど無い。</ref>や現実の逮捕者が出ることでステロイド皮膚症が標準医療ガイドライン策定以前に広まる結果になってしまった。



== ステロイド外用剤の一般的(古典的)な副作用との対比 ==
<ref name="naid130004695018">{{Cite journal |和書|author1=馬野詠子 |author2=伊藤祐成 |date=1983 |title=ステロイド皮膚症の治療中にみられたEosinophilic Pustular Folliculitis |journal=西日本皮膚科 |volume=45 |issue=6 |pages=972-975 |naid=130004695018 |doi=10.2336/nishinihonhifu.45.972 |url=https://doi.org/10.2336/nishinihonhifu.45.972}}</ref>。


[[タキフィラキシー]]が起こっていると解釈するものもいる<ref>{{Cite book|和書|author=塩原哲夫|title=アトピー性皮膚炎治療のための ステロイド外用薬パーフェクトブック|publisher=南山堂|date=2015|isbn=978-4-525-34141-1|page=}} 「[http://www.nanzando.com/books/34141.php 参考リンク]」と書かれていたが検証不可能</ref>{{要ページ番号|date=2018年12月}}。

== 業者の例 ==
ステロイドの外用でリバウンドを起こす可能性があると、[[厚生省]]の無認可医薬品の注意ページに書かれている<ref>[http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/06/h0603-1.html プロピオン酸クロベタゾールを含有する 無承認無許可医薬品の販売事例について] 2004年 厚生労働省</ref>。

この業者が摘発された原因は、購買者が「効きすぎる」と心配した<ref>たいてい国民生活センターに寄せられる苦情は「効かない」が大多数で「効いたからおかしいのではないか」という苦情が入ったのは本件が初。</ref>からである。

その後も[[化粧品]]に混ぜる業者が現れ、実際にこれを使った被害者が「急に治るが、間をおくと逆にひどくなる」症状を訴えている<ref>[http://web.archive.org/web/20090823041535/http://headlines.yahoo.co.jp:80/hl?a=20090819-00000039-jij-soci ステロイド含有クリーム販売=化粧品会社元社長ら5人逮捕-薬事法違反容疑で警視庁] 2009年 時事通信のニュース</ref>。医師免許を所持している医者がステロイド不使用として処方したクリームにて、同様に効くがやめると再発するとして、苦情が寄せられたこともあった<ref>[https://archive.is/7WVrQ 漢方クリームにステロイド 横浜の医院が処方、相談180件] 2014年 産経ニュース</ref>。

== ステロイド外用剤の一般的(古典的)な副作用 ==
ステロイド外用剤の一般的(古典的)な副作用とは、
ステロイド外用剤の一般的(古典的)な副作用とは、
* 皮膚萎縮:表皮が薄くなる。これにより
* 皮膚萎縮:表皮が薄くなる。これにより
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などがあるが、これらの副作用は軽いものであり、使用を中止すれば元に戻る(可逆)のものである。
などがあるが、これらの副作用は軽いものであり、使用を中止すれば元に戻る(可逆)のものである。


ステロイドを適切使用しないと皮膚が黒くなる、厚くなるがあり、これステロイドの副作用はない。<ref name="九大2">{{Cite web |url=http://www.kyudai-derm.org/atopy_care/improvement_02.html |title= 炎症を抑える薬物治療 正しい薬物治療|publisher=九州大学医学部 皮膚科学教室|accessdate=2013-01-29}}</ref>
患者がアトピー性皮膚炎の症状を、ステロイドの副作用と混同しているケースも有る。
ステロイドの副作用よって皮膚が黒くなる、厚くなるとするの誤解ある。<ref>{{Cite web |url=http://www.kyudai-derm.org/atopy_care/improvement_02.html |title= 炎症を抑える薬物治療 正しい薬物治療九州大学医学部 皮膚科学教室|accessdate=2013-01-29}}</ref>


* いわゆる[[反跳作用|リバウンド]]状態になる(ステロイドによる治療中に中止すると、強烈な症状がぶり返す<ref>{{Cite web |url=http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumona.nsf/html/shitsumon/a140017.htm |title=質問名「アトピー性皮膚炎治療によるステロイド剤の副作用と被害に関する質問主意書」の経過情報|publisher=www.shugiin.go.jp |date=1997-4-21 |accessdate =2018-12-07}}</ref>)
これに対し、近年使用されている[[ステロイド皮膚症]]とは、
* いわゆる[[反跳作用|リバウンド]]状態になる(ステロイドによる治療中に中止すると、強烈な症状がぶり返す<ref>{{Cite web |url =http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumona.nsf/html/shitsumon/a140017.htm |title =
質問名「アトピー性皮膚炎治療によるステロイド剤の副作用と被害に関する質問主意書」の経過情報|publisher =www.shugiin.go.jp |date = |accessdate =2018-12-07}}</ref>)
を含める場合が多いようであるが、定かではない。九州大学医学部は、急激に使用を中止せず、再燃(リバウンド)しないことを確認するまで使用を続けるのが大切としている<ref>{{Cite web |url=http://www.kyudai-derm.org/atopy_care/improvement_02.html |title=炎症を抑える薬物治療 正しい薬物治療|九州大学医学部 皮膚科学教室 |accessdate=2013-01-29}}</ref>。ただし、リバウンド症状の解明に成功した人物はいない。


九州大学医学部は、急激に使用を中止せず、再燃(リバウンド)しないことを確認するまで使用を続けるのが大切としている<ref name="九大2"/>。
[[代替医療]]、[[アトピービジネス]]だけではなく、皮膚症状からステロイド中止時におきる症状の分類、定義を試みた医師もいる<ref>深谷元継 『アトピー性皮膚炎とステロイド離脱』 医歯薬出版</ref>が、''皮疹の写真だけでは断定できない''という見解を残している。


皮膚症状からステロイド中止時におきる症状の分類、定義を試みた医師もいる<ref>深谷元継『アトピー性皮膚炎とステロイド離脱』医歯薬出版、2000年。</ref>が、''皮疹の写真だけでは断定できない''という見解を残している。
* なお、ムーンフェイス、副腎機能低下など内科的副作用も報告されているが、主として内服薬や皮下注射で発現する。外用剤では大量、長期にわたる使用において稀に報告されるのみであり、皮膚症状との関連も確認されていないためここでは除外する。


裁判例で「ステロイド離脱症候群」という単語を用いられたことがあった<ref>[http://web.archive.org/web/20180529094548/http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/640/008640_hanrei.pdf 札幌地方裁判所 平成13(ワ)215] 2002年 2018年5月29日閲覧</ref>。
== ステロイド皮膚症に対する対処 ==
* ステロイドの外用を中止して「ステロイドではないもの」に切り替える。これはステロイド使用を厳しく禁止しない医者も行っていることである<ref>[http://www.wound-treatment.jp/next/wound351.htm 参考リンク] 新しい創傷治療</ref><ref>[http://www.wound-treatment.jp/next/question-0.htm 参考リンク] ''リンデロン軟膏も99.88%はワセリンです。「リンデロンはステロイドだから」と心配する必要もありません。短期間しか使用しないし,もともとステロイドとしての効果は強くないからです。''と解説もある。ただし、このWebサイトの作成者はステロイド皮膚症を提唱している医者ではない。</ref>。なお、日本の裁判所は'''ステロイド離脱症候群'''という単語を用いている<ref>[http://web.archive.org/web/20180529094548/http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/640/008640_hanrei.pdf www.courts.go.jp] 2018年5月29日閲覧</ref>。


== 脚注 ==
==出典==
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*[http://web.archive.org/web/20060211000838/http://www18.ocn.ne.jp:80/~steroids/ 「アトピー性皮膚炎とステロイド離脱」(医歯薬出版)]
*[http://web.archive.org/web/20060211000838/http://www18.ocn.ne.jp:80/~steroids/ 「アトピー性皮膚炎とステロイド離脱」(医歯薬出版)]
* [http://web.archive.org/web/20071121220340/http://www18.ocn.ne.jp:80/~steroids/01pic/thumbnail.htm ALBERT M.KLIGMAN/ステロイド嗜癖(しへき)]
* [http://web.archive.org/web/20071121220340/http://www18.ocn.ne.jp:80/~steroids/01pic/thumbnail.htm ALBERT M.KLIGMAN/ステロイド嗜癖(しへき)]

* [http://web.archive.org/web/20150810224603/http://www.mirai.ne.jp:80/~seisinc5/yakusoku.htm ステロイドを使用されたことがある方へ]
* [http://web.archive.org/web/20010407202525/http://www.osk.3web.ne.jp:80/~medinet/essay1.html アトピーステロイド情報センター・論文コーナー]
* [http://www.kyudai-derm.org/part/atopy/pdf/atopy2009.pdf アトピー性皮膚炎診療ガイドライン]
* [http://web.archive.org/web/20180208182938/http://www.kyudai-derm.org/atopy_care/improvement_02.html 炎症を抑える薬物治療 正しい薬物治療|九州大学医学部 皮膚科学教室]
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2018年12月16日 (日) 02:00時点における版

ステロイド皮膚症(ステロイドひふしょう)とは、ステロイド外用薬を使用し続けることによって起こるとされる一群の副作用が現れた皮膚症状名。

概略

主として外用剤において問題となるが、まれに内服、皮下注射においても全身性の皮膚萎縮などをきたす症例が存在する。

ステロイド皮膚症として、ステロイド皮膚炎とステロイドざ瘡、ステロイドによる酒さ様皮膚炎を含めて調査した、大阪大学医学部・皮膚科学教室の医師の論文があり、同病院にて母集団に変化がないまま毎年30-45人であった[1]


[2]


タキフィラキシーが起こっていると解釈するものもいる[3][要ページ番号]

業者の例

ステロイドの外用でリバウンドを起こす可能性があると、厚生省の無認可医薬品の注意ページに書かれている[4]

この業者が摘発された原因は、購買者が「効きすぎる」と心配した[5]からである。

その後も化粧品に混ぜる業者が現れ、実際にこれを使った被害者が「急に治るが、間をおくと逆にひどくなる」症状を訴えている[6]。医師免許を所持している医者がステロイド不使用として処方したクリームにて、同様に効くがやめると再発するとして、苦情が寄せられたこともあった[7]

ステロイド外用剤の一般的(古典的)な副作用

ステロイド外用剤の一般的(古典的)な副作用とは、

  • 皮膚萎縮:表皮が薄くなる。これにより
    • 真皮の色が浮き出て赤っぽくなる。特に毛包周辺に赤褐色を認める。血管が浮き出て見える。
    • 弱い力で簡単に出血する(掻き壊しやすい)
    • 刺激がダイレクトに伝わるため、かゆみ、ヒリヒリ感が増強される。
  • 基剤や成分に対して接触性皮膚炎を起こす。
  • ステロイドの持つ免疫抑制作用により、細菌ウイルス真菌に感染しやすくなる。ニキビ、吹き出物ができる。感染症などに対して誤用した場合には増悪を招く。

などがあるが、これらの副作用は軽いものであり、使用を中止すれば元に戻る(可逆)のものである。

ステロイドを適切に使用しないと皮膚が黒くなる、厚くなることがあり、これはステロイドの副作用ではない。[8]

  • いわゆるリバウンド状態になる(ステロイドによる治療中に中止すると、強烈な症状がぶり返す[9]

九州大学医学部は、急激に使用を中止せず、再燃(リバウンド)しないことを確認するまで使用を続けるのが大切としている[8]

皮膚症状からステロイド中止時におきる症状の分類、定義を試みた医師もいる[10]が、皮疹の写真だけでは断定できないという見解を残している。

裁判例で「ステロイド離脱症候群」という単語を用いられたことがあった[11]

出典

  1. ^ 水越直子、佐藤健二「ステロイド皮膚症発症のひん度の推移 1979年から1984年まで」『皮膚』第27巻第6号、1985年、1166-1171頁、doi:10.11340/skinresearch1959.27.1166NAID 130003843421 
  2. ^ 馬野詠子、伊藤祐成「ステロイド皮膚症の治療中にみられたEosinophilic Pustular Folliculitis」『西日本皮膚科』第45巻第6号、1983年、972-975頁、doi:10.2336/nishinihonhifu.45.972NAID 130004695018 
  3. ^ 塩原哲夫『アトピー性皮膚炎治療のための ステロイド外用薬パーフェクトブック』南山堂、2015年。ISBN 978-4-525-34141-1 参考リンク」と書かれていたが検証不可能
  4. ^ プロピオン酸クロベタゾールを含有する 無承認無許可医薬品の販売事例について 2004年 厚生労働省
  5. ^ たいてい国民生活センターに寄せられる苦情は「効かない」が大多数で「効いたからおかしいのではないか」という苦情が入ったのは本件が初。
  6. ^ ステロイド含有クリーム販売=化粧品会社元社長ら5人逮捕-薬事法違反容疑で警視庁 2009年 時事通信のニュース
  7. ^ 漢方クリームにステロイド 横浜の医院が処方、相談180件 2014年 産経ニュース
  8. ^ a b 炎症を抑える薬物治療 正しい薬物治療”. 九州大学医学部 皮膚科学教室. 2013年1月29日閲覧。
  9. ^ 質問名「アトピー性皮膚炎治療によるステロイド剤の副作用と被害に関する質問主意書」の経過情報”. www.shugiin.go.jp (1997年4月21日). 2018年12月7日閲覧。
  10. ^ 深谷元継『アトピー性皮膚炎とステロイド離脱』医歯薬出版、2000年。
  11. ^ 札幌地方裁判所 平成13(ワ)215 2002年 2018年5月29日閲覧

関連項目

外部リンク