ステロイド外用薬
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ステロイド外用薬(ステロイドがいようやく、topical steroid)は、ステロイド系抗炎症薬の皮膚外用剤であり、皮膚外用治療で最も一般的に使われる医薬品である。薬効成分として糖質コルチコイドが使用されている。
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ステロイド外用剤の薬効 [編集]
白血球の遊走を阻止したり、ヒスタミン・キニンなどの炎症性ペプチド抑制や線維芽細胞増殖抑制など、数多くの作用によって皮膚の炎症を抑える効果がある。
ステロイド外用剤の種類 [編集]
外用剤にはランクがあり、「Strongest(最も強い)(I群)」「Very Strong(かなり強い)(II群)」「Strong(やや強い)(III群)」「Medium(普通)(IV群)」「Weak(弱い)(V群)」に分けられる。症状の度合い・炎症の発生部位によって使い分けられる。以下、代表薬剤を挙げるが、日々、薬剤ランクの変更があるため、最新の資料で確認する必要がある。
I群 [編集]
II群 [編集]
- 0.1%プロピオン酸デキサメタゾン(商品名:メサデルム)
- 0.05%ジフルプレドナード(商品名:マイザー)
- 0.1%フランカルボン酸モメタゾン(商品名:フルメタ®軟膏・クリーム・ローション)
- 0.1%吉草酸ジフルコルトロン(商品名:ネリゾナ®ユニバーサルクリーム)
- 0.05%酪酸プロピオン酸ベタメタゾン(商品名:アンテベート®軟膏・クリーム・ローション)
- 0.05%フルオニシド(商品名:トプシム®)
- 0.1%酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン(商品名:パンデル®軟膏・クリーム・ローション)
III群 [編集]
- 0.025%プロピオン酸ベクロムタゾン(商品名:プロパデルム)
- 0.3%プロピオン酸デプロドン(商品名:エクラー)
- 0.12%吉草酸ベタメタゾン(商品名:ベトネベート・リンデロンV)
- 0.12%吉草酸デキサメタゾン(商品名:ボアラ)
- 0.3%吉草酸酢酸プレドニゾロン(商品名:リドメックスコーワ、スピラゾン)
- 0.025%フルオシノロンアセトニド(商品名:フルコート)
IV群 [編集]
- 0.1%酪酸ヒドロコルチゾン(商品名:ロコイド)
- 0.05%酪酸クロベタゾン(商品名:キンダベート)
- 0.1%プロピオン酸アルクロメタゾン(商品名:アルメタ)
- 0.1%トリアムシノロンアセトニド(商品名:レダコート)
- 0.02%フルメタゾンビバル酸エステル(商品名:テストーゲン)
V群 [編集]
- 0.5%プレドニゾロン(商品名:プレドニゾロン)
(エキザルベ(製) (商品名:エキザルベ) )
ステロイド外用剤の副作用 [編集]
- ステロイド皮膚症を参照。
ステロイド外用剤適応疾患 [編集]
- 湿疹・皮膚炎群
- 全てのランキング群において適応となる疾患群である。
- この群に包括されるのは急性湿疹、慢性湿疹、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、自家感作性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、進行性指掌角皮症、女子顔面黒皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎である。
- アトピー性皮膚炎については顔面・頚部など皮膚の弱い部分では副作用が起きやすいため、酢酸クロベタゾン軟膏もしくはタクロリムス軟膏を用いる。また、慢性の経過をたどる疾患であるため、ベリーストロング以下のクラスを用いることがアトピー性皮膚炎ガイドラインでも示されている。
- 脂漏性皮膚炎については、発症に真菌であるPityrosporum属が関与していると言われるため、イミダゾール系抗真菌薬の外用も試みられている。
- 放射線皮膚炎については、特に急性放射線皮膚炎についてステロイド外用の有用性について議論がなされている。一般には熱傷に準じた治療が行われる。また、慢性放射線皮膚炎については適応とはならず、有棘細胞癌の発症を厳重に監視する必要がある。
- 全身性接触性皮膚炎や重症の自家感作性皮膚炎など、外用剤で炎症を抑制できない場合は内服のステロイド剤が使用されるが、その使用は短期間に留められる。
- 痒疹群、虫刺され
- 湿疹・皮膚炎群と同様に第一選択的に使用される疾患群である。
- この群に包括される疾患は急性痒疹(小児ストロフルス・蕁麻疹様苔癬)、亜急性単純性痒疹、慢性痒疹(多形慢性痒疹・結節性痒疹・固定蕁麻疹)がある。
- 難治性の固定蕁麻疹には注射用ステロイド剤の局所注射も行われる。
- 一般に蕁麻疹については適応とはならず、主に抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服が行われる。
- 刺傷部位への対処:抗ヒスタミンクリーム (Antihistamine Cream) や、ヒドロコルチゾンクリーム (Hydrocortisone Cream) などの副腎皮質ホルモン剤ステロイド外用薬の塗布。
- 紅斑症
- ストロングクラス以上において適応となる疾患群である。
- この群に包括される疾患は多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑、遠心性丘疹状紅斑である。
- 吉草酸ベタメタゾン軟膏には結節性紅斑の保険適用もあるが、結節性紅斑については一般的には安静と非ステロイド系抗炎症剤投与や病巣感染源の除去、重症例に対してのみステロイド剤の内服が行われるため、通常はステロイド外用剤の適応とはならない。
- 薬疹・中毒疹
- 固定薬疹・湿疹型薬疹・苔癬型薬疹などの軽症例に使用されるが、大抵はステロイド剤の内服が行われる。治療の第一は原因薬剤の同定と中止である。
- 粘膜を侵す症例では口腔用軟膏の使用も行われる。
- 紅皮症
- 炎症性角化症
- マイルドクラス以上で適応となる疾患群である。
- 乾癬、扁平苔癬(扁平紅色苔癬)、光沢苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、ジベル薔薇色粃糠疹が対象であり、保険適応外ではあるが類乾癬・線状苔癬も適応疾患である。
- 乾癬についてはかつて密封法(ODT)が行われていたが、現在ではより強いクラスのステロイド外用剤を単純塗擦する方法が行われる。ただし長期連用によって膿疱性乾癬や乾癬性紅皮症といった重症型乾癬を誘発するという報告があるため、注意が必要である。ただし膿疱性乾癬の外用療法の一つとしてステロイド外用が行われるケースもある。
- 類乾癬については局面状類乾癬や苔癬状類乾癬、異型類乾癬が悪性リンパ腫(皮膚T細胞リンパ腫)の一つである菌状息肉症の前駆段階であることから、外用を行いつつ皮膚科専門医による厳重な観察が必要となる。
- 毛孔性紅色粃糠疹(特に成人型)、ジベル薔薇色粃糠疹については自然治癒傾向が強いため、あまり積極的には使われない。従って、積極的に使用されるのは扁平苔癬が主となる。
- 膠原病とその類症
- 対象となるのはエリテマトーデスのうち皮膚に限局する慢性円板状エリテマトーデスである。また、保険適用外ではあるが亜急性皮膚エリテマトーデスや凍瘡状狼瘡、限局性強皮症も適応となる。全身性エリテマトーデスの皮膚症状(蝶型紅斑)や皮膚筋炎のヘリオトロープ疹は、ステロイド内服の対象である。
- 水疱症・膿疱症
- ストロングクラス以上で適応となる疾患群であるが、膿疱症のうち掌蹠膿疱症については全てのクラスで適応となる。
- 対象となる疾患は天疱瘡、類天疱瘡、ジューリング疱疹状皮膚炎、掌蹠膿疱症、家族性良性慢性天疱瘡(ヘイリー・ヘイリー病)であり、適応外ではあるが妊娠性疱疹、稽留性肢端皮膚炎、好酸球性膿疱性毛嚢炎、疱疹状膿痂疹にも使用される。
- 天疱瘡群(尋常性天疱瘡・増殖性天疱瘡・落葉状天疱瘡・紅斑性天疱瘡)は重症の自己免疫疾患であるため治療の主体はステロイド内服であり、軽症例にはミノサイクリンとニコチン酸アミドの併用療法が行われる。類天疱瘡においても同様であり、ステロイド外用が行われるのは軽症の紅斑性天疱瘡や妊娠性疱疹などに限定される。
- ジューリング疱疹状皮膚炎ではDDS(ジアフェニルスルホン)の内服が著効を示すため、現在ではステロイド外用剤の出番は少ない。
- 疱疹状膿痂疹では重症例で死亡する危険性もあるため、主体はステロイド内服となる。
- 紫斑病・白斑症
- ベリーストロングクラス以上で適応となる疾患群である。
- 通常紫斑病は全身管理が必要なことが多く、ステロイド外用の適応になることはないが、例外として特発性色素性紫斑が適応となる。
- 原因不明であるが出血性素因が無く慢性出血性炎症を伴う特発性色素性紫斑(慢性色素性紫斑)にはマヨッキー血管拡張性環状紫斑、シャンバーグ病、紫斑性色素性苔癬状皮膚炎、黄色苔癬および掻痒性紫斑があるが、保険適用となるのは前三疾患である。ただし全ての疾患に有効性がある。
- 色素異常症のうち尋常性白斑については汎発型が自己免疫疾患であり、免疫抑制を目的にステロイド外用を行う。類症である炎症性辺縁隆起性白斑やサットン遠心性後天性白斑にも適応外ではあるが有効性がある。
- 腫瘍性疾患
- 肉芽腫症・代謝異常
- ベリーストロングクラス以上で適応となる疾患群である。
- 対象となる疾患は皮膚サルコイドーシス、皮膚アミロイドーシス、環状肉芽腫である。
- 皮膚サルコイドーシスについてはあらゆる病変について適応となる。またサルコイドーシスに伴う結節性紅斑にも適応である。
- 皮膚アミロイドーシスについては掻痒の強いアミロイド苔癬や斑状アミロイドーシスが適応となる。ベリーストロング以上の単純塗擦や密封法(ODT)が特に有効といわれている。
- 環状肉芽腫にも有効性が高いが、生検を実施しただけで治癒したり無治療でも自然消退するケースも多いことから経過観察のみ行われるケースもある。
- 円形脱毛症