「機能性身体症候群」の版間の差分
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'''機能性身体症候群'''(Functional somatic syndromes, FSS)、または'''機能性身体症状'''は、症状の訴えや、障害の程度が、確認できる組織障害の程度に対して大きいという特徴のある症候群<ref name="naid110009685655">{{Cite journal |和書|author=福永幹彦 |date=2013 |title=機能性身体症候群:木を見るか、森を観るか(2012年第53回日本心身医学会総会ならびに学術講演会) |journal=心身医学 |volume=53 |issue=12 |pages=1104-1111 |naid=110009685655 |doi=10.15064/jjpm.53.12_1104 |url=http://doi.org/10.15064/jjpm.53.12_1104}}</ref>。[[線維筋痛症]]、[[慢性疲労症候群]]、[[機能性胃腸症]]と[[過敏性腸症候群]]などが挙げられる。 |
'''機能性身体症候群'''(Functional somatic syndromes, FSS)、または'''機能性身体症状'''は、症状の訴えや、障害の程度が、確認できる組織障害の程度に対して大きいという特徴のある症候群<ref name="naid110009685655">{{Cite journal |和書|author=福永幹彦 |date=2013 |title=機能性身体症候群:木を見るか、森を観るか(2012年第53回日本心身医学会総会ならびに学術講演会) |journal=心身医学 |volume=53 |issue=12 |pages=1104-1111 |naid=110009685655 |doi=10.15064/jjpm.53.12_1104 |url=http://doi.org/10.15064/jjpm.53.12_1104}}</ref>。身体疾患の各科で対応する個々の診断名が用いられ<ref name="naid110009685655"/>、[[線維筋痛症]]、[[慢性疲労症候群]]、[[機能性胃腸症]]と[[過敏性腸症候群]]などが挙げられる。 |
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以前のDSM-IV(1994年) |
一方、精神障害の分類である以前のDSM-IV(1994年、アメリカ精神医学会)における、[[身体表現性障害]]の定義では、精神が症状の中心となっているので違和感があるが、それを外したDSM-5(2013年)による「身体症状症」の定義では、身体と精神が一体となっているという心身症や機能性身体症候群との重複は大きくなる<ref name="naid110009685655"/>。[[心身症]](日本心身医学会の定義)では、身体疾患が確定しストレスなどによってこれが悪化する場合の病態である<ref name="naid130005279037">{{Cite journal |和書|author=入谷修司 |date=2016 |title=精神科とのクロストーク 身体表現性障害 精神科の立場から |journal=神経治療学 |volume=33 |issue=3 |pages=409-412 |naid=130005279037 |doi=10.15082/jsnt.33.3_409 |url=http://doi.org/10.15082/jsnt.33.3_409}}</ref>。 |
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症候単位が確立したものと、いまだ曖昧なものが含まれる<ref name="naid110009685655"/>。[[過敏性腸症候群]]、[[機能性胃腸症]]、[[月経前症候群]]、慢性骨盤痛、[[線維筋痛症]]、非定型・非心臓性胸痛、[[過換気症候群]]、[[慢性疲労症候群]]、[[緊張型頭痛]]、[[顎関節症]]、非定型顔面痛、ヒステリー球症候群 ([[咽喉頭異常感症]])、[[化学物質過敏症]]など<ref name="naid110009685655"/>。 |
2018年4月23日 (月) 16:20時点における版
機能性身体症候群(Functional somatic syndromes, FSS)、または機能性身体症状は、症状の訴えや、障害の程度が、確認できる組織障害の程度に対して大きいという特徴のある症候群[1]。身体疾患の各科で対応する個々の診断名が用いられ[1]、線維筋痛症、慢性疲労症候群、機能性胃腸症と過敏性腸症候群などが挙げられる。
一方、精神障害の分類である以前のDSM-IV(1994年、アメリカ精神医学会)における、身体表現性障害の定義では、精神が症状の中心となっているので違和感があるが、それを外したDSM-5(2013年)による「身体症状症」の定義では、身体と精神が一体となっているという心身症や機能性身体症候群との重複は大きくなる[1]。心身症(日本心身医学会の定義)では、身体疾患が確定しストレスなどによってこれが悪化する場合の病態である[2]。
症候単位が確立したものと、いまだ曖昧なものが含まれる[1]。過敏性腸症候群、機能性胃腸症、月経前症候群、慢性骨盤痛、線維筋痛症、非定型・非心臓性胸痛、過換気症候群、慢性疲労症候群、緊張型頭痛、顎関節症、非定型顔面痛、ヒステリー球症候群 (咽喉頭異常感症)、化学物質過敏症など[1]。
1990年代頃から、検査技術の発達によって、末梢の知覚、運動機能、免疫機能の変化が測定できるようになり、かつて心臓神経症など器官名と神経症との組み合わせで命名されていたものが、機能性身体疾患として位置づけられてきた[3]。
身体や病理学的には異常がないが、神経、内分泌、免疫といった恒常性の維持が破たんしている可能性があり、慢性的なストレスと関りがあるとみなされている[4]。
出典
- ^ a b c d e 福永幹彦「機能性身体症候群:木を見るか、森を観るか(2012年第53回日本心身医学会総会ならびに学術講演会)」『心身医学』第53巻第12号、2013年、1104-1111頁、doi:10.15064/jjpm.53.12_1104、NAID 110009685655。
- ^ 入谷修司「精神科とのクロストーク 身体表現性障害 精神科の立場から」『神経治療学』第33巻第3号、2016年、409-412頁、doi:10.15082/jsnt.33.3_409、NAID 130005279037。
- ^ 福永幹彦、中井吉英「FSSの歴史」『日本臨床』第67巻第9号、2009年9月、1647-1651頁、NAID 40016709100。
- ^ 木山博資「『慢性ストレスが脳を変える』 慢性ストレスによる中枢神経を起点とした恒常性維持機構の破綻」『日本薬理学雑誌』第142巻第5号、2013年、210-214頁、doi:10.1254/fpj.142.210、NAID 130003382523。