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ニビル(英語:Nibiru)とは、太陽系に存在するとされた仮説上の惑星、あるいは惑星質量天体である。太陽を非常に細長い楕円軌道を公転しているとされている。

歴史

1982年、ワシントンD.C.にあるアメリカ海軍天文台ロバート・ハリントン木星天王星冥王星の軌道に摂動が生じていることを発見した。この摂動は冥王星の外側に惑星クラスの質量を持つ天体によるものだと考えられ、ロバートはこの仮説上の天体を「惑星X」と命名した。これが後にニビルと呼ばれるようになった。名称の由来はシュメール文明の粘土板に描かれた11個の惑星のうち1つが「ニビル」と呼ばれていたことから。ニビルとはシュメール語で「交差する」を意味する。

特徴

ニビルは地球の4-5倍の大きさと20-25倍の質量、約100倍の密度を持ち、現在、知られている太陽系の惑星から大きく傾いた楕円軌道を約3600年で公転しているとされている[1]彗星に非常に似た軌道を持ち、軌道長半径は約235AUで、近日点小惑星帯付近にあるが、遠日点は太陽からはるか遠くに位置しているとされている。また、別の試算では木星の4倍の質量を持つことも示されている。しかし、仮にそれだけの質量をニビルが持っているとしたらこれまでの観測で容易に発見されるはずだが、一説では自由浮遊惑星と同じく、赤外線などでしか観測できないからだとも言われている。

もし、ニビルが地球を含む、太陽系の惑星が存在する領域に入ると太陽の太陽活動が活発になり、巨大な太陽フレアを起こす可能性がある。一方で、ニビルの影響を受け、太陽活動が衰退した場合、宇宙線が容赦なく地球に降り注ぐようになる。その宇宙線が地中のマグマに気泡が発生し、火山の噴火やそれに伴ってマグニチュード9クラスの巨大地震が発生する可能性がある。その為、ニビルは「人類を滅亡させる惑星」として2012年人類滅亡説と大きく関連性がある、2015年12月にはニビルが地球に衝突する[2]といった噂が飛び交った。さらには近年、多発している異常気象はニビルの接近に関係があるという説まで存在する[2]

これに対し、アメリカ航空宇宙局(NASA)は「言われているような話の根拠となる事実はない」とニビルの存在を全面的に否定している[2]

シュメール文明との関係

ゼカリア・シッチンシュメール文明のシュメール宇宙論を解析した結果、ニビルにアヌンナキという生命体が存在しており、3600年周期で地球に近づく度に文明を進歩させて痕跡を残した、地球人はアヌンナキによって創造されたという解釈を見出した。また、別の古文書にはアヌンナキは地球に飛来し、人類に天文学に関する知識を与えたという記述もある[3]。セガリアによるとニビルは自身の衛星を、現在の小惑星帯の位置にあったとされている仮説上の惑星、ティアマトに衝突させ、その破片から地球小惑星帯そして彗星を形成したという。

しかし、シッチンのこの解釈は偏向的で不自然な箇所があると指摘されている[4]。また、ニビルの衛星がティアマトと衝突して、地球などが形成された件については、たとえニビルとティアマトがあったとしても、科学的あるいは天文学的に起こる可能性はかなり低いとされている。

観測

上記のようにニビルに関する様々な憶測が飛び交っているが、ニビルと思われる天体は確認されていない。しかし、2012年にNASAの赤外線観測衛星、IRASの観測でオリオン座の方向に巨大な天体を発見したとワシントンポスト誌が報じた[3]。また、NASAもこの発見を受け、冥王星の外側に未知なる惑星が存在する可能性があると発表した。

また、2016年にはシミュレーションによって、太陽から約700AU離れた位置に未知の惑星、プラネット・ナインが存在する可能性が示唆された[5]。プラネット・ナインの近日点の距離(200AU)とニビルの軌道長半径の距離(235AU)がよく似ており、また推定される大きさも似ている為、プラネット・ナインはニビルと同一の天体である可能性もある。

出典

  1. ^ Nibiru is Sumerian for 12th Planet”. The ANNUNAKI. 2016年1月23日閲覧。
  2. ^ a b c 2015年12月、惑星X(ニビル)が地球に衝突か!? 証拠映像も激写される!!”. TOCANA. 2016年1月23日閲覧。
  3. ^ a b 201X年の地球滅亡危機”. 2016年1月23日閲覧。
  4. ^ Fritze, Ronald H,. (2009). Invented knowledge: false history, fake science and pseudo-religions. Reaktion Books. p214. ISBN 978-1861894304
  5. ^ Batygin, Konstantin; Brown, Michael E. (2015 November 13). “Evidence for a distant giant planet in the Solar system” (PDF). The Astronomical Journal 151 (2). doi:10.3847/0004-6256/151/2/22. ISSN 0004-6256. LCCN sf78-620. OCLC 194559707. http://iopscience.iop.org/article/10.3847/0004-6256/151/2/22/pdf. 

関連項目

外部リンク