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リー・トロッター積公式 (リー・トロッターせきこうしき、英:Lie–Trotter product formula または Lie product formula) は、数学におけるリー群に関連した定理の一つであり、AB を任意の正方行列とする場合、次の式が成立することを主張する。

ここで e A は行列指数関数による A の像を表す。この公式は、通常の指数関数における次の規則の拡張である。

この式は、 xy が任意の実数または複素数の場合に成立する。もし、 xy が行列 ABで置き変えられ、指数関数が行列指数関数で置き変えられた場合には、この規則が成立するためには、一般に AB可換である必要がある。しかし、リー・トロッター積公式は、AB が可換でない場合も成立する。もっと一般的には、AB を行列に限定せず、あるクラスに属する (つまりある条件を満たす) 線形作用素としてもこの公式は成立する。

この公式は、例えば、量子力学における経路積分において応用されており、この公式によってシュレディンガー発展作用素 (つまりハミルトニアン) を、運動エネルギー作用素 (の時間積分断片)とポテシャルエネルギー作用素 (の時間積分断片) の交互の積の列に分離することが可能になっている。同様のアイデアは微分方程式数値解法における分割法 (離散化) を構築する上でも使われている。

参考資料

  • Albeverio, Sergio A.; Høegh-Krohn, Raphael J. (1976), Mathematical Theory of Feynman Path Integrals: An Introduction, Lecture Notes in Mathematics, 423 (1st ed.), Berlin, New York: Springer-Verlag, doi:10.1007/BFb0079827, ISBN 978-3-540-07785-5 .
  • 大貫義郎・柏太郎・鈴木増雄 『経路積分の方法』、岩波書店〈現代物理学叢書〉、2000年。