「ミクロトーム」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
9行目: 9行目:


==動作原理==
==動作原理==
基本的な動作は、試料を繰り出し、[[超硬合金]]や[[ダイヤモンド]]製の刃を滑らせて切り出すことにより行われる。かつては[[砥石]]で研いで繰り返し使う[[鋼鉄]]製の刃が主流だったが、今日では研ぐ技術を持つ技術者が少なくなったこともあり、使い捨ての刃が主流になっている。刃の動作によって、回転式と滑走式に大きく分類され、小さな面積の連続切片を作るには前者、広い面積の切片を作るには後者が用いられる。
基本的な動作は、試料を繰り出し、[[超硬合金]]や[[ダイヤモンド]]製の刃を滑らせて切り出すことにより行われる。かつては[[砥石]]で研いで繰り返し使う[[鋼鉄]]製の刃が主流だったが、今日では研ぐ技術を持つ技術者が少なくなったこともあり、使い捨ての刃が主流になっている。回転式と滑走式に大きく分類されている。刃が固定され試料が上下方向に動く物が回転式、試料が固定され刃が前後方向に動く物が滑走式と呼ばれ、小さな面積の連続切片を作るには前者、広い面積の切片を作るには後者が用いられる。


駆動装置は手動式のものと電動式のものとがある。医学検査など多量にルーチンワークをこなす場合、電動のものが用いられる。
薄切時の駆動方式には手動式のものと電動式のものとがある。病院の検査などでは滑走式が主流であり、回転式は大学・企業・研究室などで主に用いられている。


また、水を多量に含む柔らかい試料や崩れやすいサンプルを切り出す場合、[[パラフィン]](ろう)や[[合成樹脂]]を用いて試料を固め、切りやすくする。この処理のことを'''埋'''(ほうまい)と呼ぶ。
また、水を多量に含む柔らかい試料や崩れやすいサンプルを切り出す場合、[[パラフィン]](ろう)や[[合成樹脂]]を用いて試料を固め、切りやすくする。この処理のことを'''埋'''(ほうまい)と呼ぶ。


[[Category:顕微鏡|みくろとーむ]]
[[Category:顕微鏡|みくろとーむ]]

2006年4月21日 (金) 01:43時点における版

ミクロトーム(Microtome)とは顕微鏡での観察に用いる試料を極薄の切片にするために用いられる器具のことである。

存在意義と必要条件

広義の生物学医学鉱物学などで顕微鏡を用いて組織を観察する際、通常プレパラートを作成して行う。このプレパラートを作成する際には、観察を確実かつ容易にするために試料を均一かつ薄く切り出す必要がある。

特に高倍率での観察の際には顕著に被写界深度が浅く(ピントのあう範囲が狭く)なる。さらに、透過型電子顕微鏡での観察の場合などは、放射線を透過させる動作原理から超極薄の試料が要求される。

試料をカミソリを用いて手動で切り出すなどの方法では均一な厚みの切り出しに限界があるため、ミクロトームが必要とされる。ミクロトームを用いた場合、0.数~数十マイクロメートル厚での均質な切り出しが確実に行うことができる。特に極薄の切り出しが可能なものを「ウルトラミクロトーム」と呼ぶ。

動作原理

基本的な動作は、試料を繰り出し、超硬合金ダイヤモンド製の刃を滑らせて切り出すことにより行われる。かつては砥石で研いで繰り返し使う鋼鉄製の刃が主流だったが、今日では研ぐ技術を持つ技術者が少なくなったこともあり、使い捨ての刃が主流になっている。回転式と滑走式に大きく分類されている。刃が固定され試料が上下方向に動く物が回転式、試料が固定され刃が前後方向に動く物が滑走式と呼ばれ、小さな面積の連続切片を作るには前者、広い面積の切片を作るには後者が用いられる。

薄切時の駆動方式には手動式のものと電動式のものとがある。病院の検査室などでは滑走式が主流であり、回転式は大学・企業・研究室などで主に用いられている。

また、水を多量に含む柔らかい試料や崩れやすいサンプルを切り出す場合、パラフィン(ろう)や合成樹脂を用いて試料を固め、切りやすくする。この処理のことを包埋(ほうまい)と呼ぶ。