「異界」の版間の差分

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'''異界'''(いかい)とは、[[人間]]が周囲の[[世界]]を分類する際、自分たちが属する(と認識する)世界の外側<ref name=midaiue68-69>{{Cite book|和書|author = [[福田アジオ]]・[[新谷尚紀]]・[[渡辺欣雄]]・[[神田より子]]・[[湯川洋司]]・[[中込睦子]]|year = 1999|title =日本民俗大辞典〈上〉あ~そ|publisher = 吉川弘文館|page = 68-69|isbn = 9784642013321}}</ref>。
'''異界'''(いかい)とは、本来は[[彼岸]]、 [[浄土]]、[[黄泉]]、[[来世]]、あの世などと同じく、人が死後に行くとされているところの意味である。しかし、フィクション作品においては、普通の人間には行くことが出来ない世界、あるいは同じ世界の中にあるにもかかわらず、普通の人が暮らしている社会とは、視点、価値観、環境などが著しく異なっている場所のことを異界と呼ぶことがある。


== 概要 ==
異界を認識する[[主体]]は個人より集団を想定することが多い。[[民俗]]社会において、[[霊魂]]が行く[[他界]]([[来世]])を含め、自分たちの[[社会]]の外側に広がる世界を意味する。他界が[[時空]]による認識であるのに対し、異界はむしろ[[空間]]で捉えられる。例えば、[[妖怪]]が住む世界は異界であり、死後の存在である[[幽霊]]とは区別される。[[現代]]社会では、特定の社会から見た異質な社会の空間を異界と呼ぶことがある(この場合は民俗語彙ではなく分析概念であり、現代の流行語にもなっている)<ref name=midaiue68-69/>。

異界という語は、人間が[[分類]]体系を作り上げる際の[[構造]]論と関連している。我々の自己中心的[[世界観]]で内部と外部を二項[[対立]]的に認識する場合、後者が異界である。よって様々な程度で、[[境界]]を挟んで異界が存在する。例えば自分の家に対する家の外、自分の[[ムラ]]に対する外側は異界である。つまり、異界は[[入れ子]]構造で多数存在する<ref name=midaiue68-69/>。

=== 異界の住人 ===
内部社会とは異なる[[外見]]や[[風習|風俗習慣]]を持つ人間は、異界の住人、[[異人]]と呼ばれる。異人は外国人のみならず、[[芸能]]民・[[山人]]など外側から訪れる人も含まれ、時には[[妖怪]]視され[[差別]]された。異界の[[観念]]は「[[境界]]」の観念と深く関わっている。[[橋]]・[[坂]]・[[峠]]・[[辻]]などの境界の場所は、異界への[[回路]]であり両義的な空間である<ref name=midaiue68-69/>。

== 霊界 ==
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死後の世界(すなわち本来の意味での異界)や、[[霊魂]]の世界などが霊界である<ref>澤田瑞穂「アジアの宗教文化3 地獄変 中国の異界説」法蔵館1968年3月20日</ref>
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== 現実社会の中の異界 ==
== 現実社会の中の異界 ==
=== 刑務所 ===
=== 刑務所 ===
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{{main|精神世界}}
{{main|精神世界}}
特定の個人の心や夢の中の世界。当人の意思、または無意識にイメージしたものがそのまま精神世界で現実化するといった描写をされることが多い。
特定の個人の心や夢の中の世界。当人の意思、または無意識にイメージしたものがそのまま精神世界で現実化するといった描写をされることが多い。

=== 霊界 ===
{{main|霊界}}
死後の世界(すなわち本来の意味での異界)や、[[霊魂]]の世界などが霊界である。
<ref>澤田瑞穂「アジアの宗教文化3 地獄変 中国の異界説」法蔵館1968年3月20日</ref>


=== 天界 ===
=== 天界 ===
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{{main|魔界}}
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[[悪魔]]、[[魔族]]や[[魔物]]の住まう世界である。「危険」や「誘惑」といった意味で使用されることもある。
[[悪魔]]、[[魔族]]や[[魔物]]の住まう世界である。「危険」や「誘惑」といった意味で使用されることもある。
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== 脚注 ==
== 脚注 ==
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[人界]]
* [[民俗学]]
* [[超常現象]]
** [[境界]]
** [[隠れ里]]
** [[桃源郷]]
** [[常世]]
** [[妖怪]]
** [[あの世]]
* [[分類]]
* [[パラレルワールド]]
* [[ファンタジー]]


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2012年2月9日 (木) 03:24時点における版

異界(いかい)とは、人間が周囲の世界を分類する際、自分たちが属する(と認識する)世界の外側[1]

概要

異界を認識する主体は個人より集団を想定することが多い。民俗社会において、霊魂が行く他界来世)を含め、自分たちの社会の外側に広がる世界を意味する。他界が時空による認識であるのに対し、異界はむしろ空間で捉えられる。例えば、妖怪が住む世界は異界であり、死後の存在である幽霊とは区別される。現代社会では、特定の社会から見た異質な社会の空間を異界と呼ぶことがある(この場合は民俗語彙ではなく分析概念であり、現代の流行語にもなっている)[1]

異界という語は、人間が分類体系を作り上げる際の構造論と関連している。我々の自己中心的世界観で内部と外部を二項対立的に認識する場合、後者が異界である。よって様々な程度で、境界を挟んで異界が存在する。例えば自分の家に対する家の外、自分のムラに対する外側は異界である。つまり、異界は入れ子構造で多数存在する[1]

異界の住人

内部社会とは異なる外見風俗習慣を持つ人間は、異界の住人、異人と呼ばれる。異人は外国人のみならず、芸能民・山人など外側から訪れる人も含まれ、時には妖怪視され差別された。異界の観念は「境界」の観念と深く関わっている。などの境界の場所は、異界への回路であり両義的な空間である[1]

霊界

死後の世界(すなわち本来の意味での異界)や、霊魂の世界などが霊界である[2]

脚注

  1. ^ a b c d 福田アジオ新谷尚紀渡辺欣雄神田より子湯川洋司中込睦子『日本民俗大辞典〈上〉あ~そ』吉川弘文館、1999年、68-69頁。ISBN 9784642013321 
  2. ^ 澤田瑞穂「アジアの宗教文化3 地獄変 中国の異界説」法蔵館1968年3月20日。

関連項目