「赤道傾斜角」の版間の差分

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'''赤道傾斜角'''(せきどうけいしゃかく)とは[[惑星]]や[[衛星]]など、[[自転]]しつつ[[公転]]運動する天体の軌道面と赤道面のなす角である。[[自転軸]]と公転軸のなす角に等しいため、'''自転軸傾斜角'''とも言う。この角は、自転と公転の軸のずれを表す。英語では '''axial tilt''', '''axial inclination''' あるいは '''obliquity''' と呼ぶ。
'''赤道傾斜角'''(せきどうけいしゃかく)とは[[惑星]]や[[衛星]]など、[[自転]]しつつ[[公転]]運動する天体の軌道面と赤道面のなす角である。[[自転軸]]と公転軸のなす角に等しいため、'''自転軸傾斜角'''とも言う。この角は、自転と公転の軸のずれを表す。英語では'''axial tilt''''''axial inclination'''あるいは'''obliquity'''と呼ぶ。


赤道傾斜角は0度から180度の範囲の値をとる。赤道傾斜角が0の場合、その天体の自転軸は軌道面に垂直である。赤道傾斜角が90度の場合にはその天体の自転軸は軌道面に対してちょうど横倒しとなっている。赤道傾斜角が90度を超える場合はその天体は倒立している、つまり[[南極]]を軌道面の北側に向けており軌道面の北側から見た時の[[自転]]の向きが逆転して時計回りの回転になっていることを表す。
赤道傾斜角は0度から180度の範囲の値をとる。赤道傾斜角が0の場合、その天体の自転軸は軌道面に垂直である。赤道傾斜角が90度の場合にはその天体の自転軸は軌道面に対してちょうど横倒しとなっている。赤道傾斜角が90度を超える場合はその天体は倒立している、つまり[[南極]]を軌道面の北側に向けており軌道面の北側から見た時の[[自転]]の向きが逆転して時計回りの回転になっていることを表す。


[[地球]]の赤道傾斜角は約23.4度である。すなわち地球の[[地軸]]は軌道面の垂線から約23.4度傾いている。この地軸の傾きによって[[四季]]が生じる。また北緯66.6度(= 90度 - 23.4度)以北と南緯66.6度以南では、一日中[[太陽]]が沈まない[[白夜]]や一日中太陽が上らない[[極夜]]を生じる。この地域を[[北極圏]]あるいは[[南極圏]]と呼ぶ。さらに、北緯23.4度の地点では[[夏至]]の日に太陽がちょうど[[天頂]]を通過する。南緯23.4度の地点では[[冬至]]の日に太陽が天頂を通過する。この2本の緯度線をそれぞれ[[北回帰線]]、[[南回帰線]]と呼ぶ。
[[地球]]の赤道傾斜角は約23.4度である。すなわち地球の[[地軸]]は軌道面の垂線から約23.4度傾いている。この地軸の傾きによって[[四季]]が生じる。また北緯66.6度(= 90度 - 23.4度)以北と南緯66.6度以南では、一日中[[太陽]]が沈まない[[白夜]]や一日中太陽が上らない[[極夜]]を生じる。この地域を[[北極圏]]あるいは[[南極圏]]と呼ぶ。さらに、北緯23.4度の地点では[[夏至]]の日に太陽がちょうど[[天頂]]を通過する。南緯23.4度の地点では[[冬至]]の日に太陽が天頂を通過する。この2本の緯度線をそれぞれ[[北回帰線]]、[[南回帰線]]と呼ぶ。


似た語として[[軌道傾斜角]]があるが、軌道傾斜角は天体の軌道面の傾きを表す別の量である。
似た語として[[軌道傾斜角]]があるが、軌道傾斜角は天体の軌道面の傾きを表す別の量である。
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太陽系の惑星の赤道傾斜角は以下の通りである。[[天王星]]は自転軸がほぼ横倒しになっているので、リングや衛星の位置も横向きになっている。[[金星]]は自転軸がほぼ完全に倒立しており、他の惑星と逆方向に自転していることになる。[[水星]]や[[木星]]は自転軸がほぼ垂直に直立している。
太陽系の惑星の赤道傾斜角は以下の通りである。[[天王星]]は自転軸がほぼ横倒しになっているので、リングや衛星の位置も横向きになっている。[[金星]]は自転軸がほぼ完全に倒立しており、他の惑星と逆方向に自転していることになる。[[水星]]や[[木星]]は自転軸がほぼ垂直に直立している。


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!惑星!!赤道傾斜角<br>(度)
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<td>惑星</td>
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<td>赤道傾斜角<br>
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(度)</td>
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[[Category:角度|せきとうけいしやかく]]
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2009年9月13日 (日) 08:09時点における版

赤道傾斜角(せきどうけいしゃかく)とは惑星衛星など、自転しつつ公転運動する天体の軌道面と赤道面のなす角である。自転軸と公転軸のなす角に等しいため、自転軸傾斜角とも言う。この角は、自転と公転の軸のずれを表す。英語ではaxial tiltaxial inclinationあるいはobliquityと呼ぶ。

赤道傾斜角は0度から180度の範囲の値をとる。赤道傾斜角が0の場合、その天体の自転軸は軌道面に垂直である。赤道傾斜角が90度の場合にはその天体の自転軸は軌道面に対してちょうど横倒しとなっている。赤道傾斜角が90度を超える場合はその天体は倒立している、つまり南極を軌道面の北側に向けており軌道面の北側から見た時の自転の向きが逆転して時計回りの回転になっていることを表す。

地球の赤道傾斜角は約23.4度である。すなわち地球の地軸は軌道面の垂線から約23.4度傾いている。この地軸の傾きによって四季が生じる。また北緯66.6度(= 90度 - 23.4度)以北と南緯66.6度以南では、一日中太陽が沈まない白夜や一日中太陽が上らない極夜を生じる。この地域を北極圏あるいは南極圏と呼ぶ。さらに、北緯23.4度の地点では夏至の日に太陽がちょうど天頂を通過する。南緯23.4度の地点では冬至の日に太陽が天頂を通過する。この2本の緯度線をそれぞれ北回帰線南回帰線と呼ぶ。

似た語として軌道傾斜角があるが、軌道傾斜角は天体の軌道面の傾きを表す別の量である。

太陽系の惑星の赤道傾斜角は以下の通りである。天王星は自転軸がほぼ横倒しになっているので、リングや衛星の位置も横向きになっている。金星は自転軸がほぼ完全に倒立しており、他の惑星と逆方向に自転していることになる。水星木星は自転軸がほぼ垂直に直立している。

惑星 赤道傾斜角
(度)
水星 0
金星 178
地球 23.4
火星 25
木星 3.08
土星 26.7
天王星 97.9
海王星 29.6