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== 医療の質とは ==
== 医療の質とは ==
アメリカのアベティス・ドナベディアン博士が提唱した医療の質とは以下のとおり。

1.構造(ストラクチャー)
医療が提供される条件を構成する因子の評価である。たとえば施設や設備などの物的資源,専門家の数,多様性,資格などの人材資源,医師・看護師スタッフなどの組織資源,教育研究機能の評価。

2. 過程(プロセス)
診断,治療,リハビリ,患者教育など,通常行われる医療活動および特に患者や家族などの医療への参加。

3. 結果(アウトカム)
提供された医療がもたらした個人や集団の変化(望ましいもの,望ましくないものを含む)であり、具体的には健康状態の変化、患者または家族が将来の健康に影響を及ぼす可能性について知識の習得や行動の変化、医療とその結果に対する患者や家族の満足度。


== 日本の医療機能評価の歩み ==
== 日本の医療機能評価の歩み ==

2008年10月2日 (木) 05:12時点における版

日本医療機能評価機構(にほんいりょうきのうひょうかきこう、Japan Council for Quality Health Care )は、専門的な知識を持つ審査員が中立の立場で医療機関を多角的に審査し、評価する組織として1995年に設立された。 事業内容としては、以下の事業を財団法人として運営しており、基本財産3億4,700万円 運営を維持するため、厚生労働省、医師会や健康保険連合会をはじめとする保健・医療・福祉に関する団体・企業、被保険者を代表する団体、一般企業、個人等から広く出資を募っている。

1.病院機能評価事業 
2.病院機能改善支援事業 
3.評価調査者(サーベイヤー)の養成事業 
4.医療機能評価に関する調査・研究開発事業 
5.認定病院患者安全推進事業 
6.産科医療補償制度運営事業 
7.EBM医療情報事業 
8.医療事故情報収集等事業 
9.医療機能評価に関する普及・啓発事業 

設立のルーツ

日本医療機能評価機構は、医療の質の向上を目指す米国の民間組織医療施設認定合同機構(JCAHO)の日本版として誕生した。 JCAHO (The Joint Commission on Accreditation of Healthcare Organization)は、1910年に設立された組織。 ミッションとしては「連続的な安全性とケアの質を、国民の医療および関連サービスを通じて提供されるサービスの改善について、医療機関のサポート能力を改善する」とある。 この組織では、医療の質の改善に積極的であったメリーランド州を中心に、病院の標準化のシステムを提案。このシステムでは、各病院での長期治療効果を決定するために十分な治療を行ったかどうかをすべての患者について追跡調査し、治療効果がなかった場合は、病院としてその理由と将来的にどのように改善するかを調査し改善策を指摘した。いわゆる航空機事故によく行われている、インシデントアクシデント、ヒヤりハッと、フューエルセーフなどの考えがある。

  • 1918年:病院への立ち入り調査を実施
  • 1926年:18ページの基準マニュアルの作成を行う。
  • 1950年: 3200以上の病院が、基準マニュアルをクリアする。
  • 1964年: 有料のサーベイを開始する。
  • 1965年: メディケア法案が可決。JCAHの認定病院が、メディケア適用医療機関とみなされるようになる。
  • 1966年: 長期ケアのための認定を開始する。
  • 1970年: 精神科施設設備の認定について、薬物乱用のプログラムやコミュニティへの参画を盛り込んだ精神的健康プログラムを開始。
  • 1975年: 外来医療施設の認定を開始。
  • 1983年: ホスピスケア認定を開始。
  • 1995年: 病院,在宅,精神医療など各領域ごとに患者のケアの視点の評価から、重視すべき各機能の行為に焦点をおいた評価体系へ変更。
  • 2004年: 新しい認定プロセスと、ビジョン発表。


医療の質とは

アメリカのアベティス・ドナベディアン博士が提唱した医療の質とは以下のとおり。

1.構造(ストラクチャー) 医療が提供される条件を構成する因子の評価である。たとえば施設や設備などの物的資源,専門家の数,多様性,資格などの人材資源,医師・看護師スタッフなどの組織資源,教育研究機能の評価。

2. 過程(プロセス) 診断,治療,リハビリ,患者教育など,通常行われる医療活動および特に患者や家族などの医療への参加。

3. 結果(アウトカム) 提供された医療がもたらした個人や集団の変化(望ましいもの,望ましくないものを含む)であり、具体的には健康状態の変化、患者または家族が将来の健康に影響を及ぼす可能性について知識の習得や行動の変化、医療とその結果に対する患者や家族の満足度。

日本の医療機能評価の歩み

アメリカを中心にイギリス(KFOA),オーストラリア(ACHSA)など,世界の先進国では病院の活動評価が長年にわたって行われ、日本でも評価に関する検討が始まった。

  • 1976年: 日本医師会内に病院委員会を設置し病院機能評価の手法について検討を開始。
  • 1985年: 日本医師会と厚生省(当時)が合同で病院機能評価研究会を設置。
  • 1987年: 同研究会が「病院機能評価マニュアル」を作成公表。
  • 1991年: 日本病院会が「病院機能標準化マニュアル」を発刊。
  • 1993年: 日本医師会病院機能評価委員会が具体的な第三者評価基準を盛り込んだ報告書を発表。
  • 1995年: 「財団法人日本医療機能評価機構」が発足。2年間の運用調査開始。
  • 1997年: 本審査開始。

現在の医療機能評価制度について

2008年8月25日現在2,530の病院が認定を受けている。これは全国の病院の28%以上に上る。 2008年9月26日 次回審査基準Ver.6の内容が正式リリースされた。

関連項目

外部リンク