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他の推測は、トゥイストー(''Tuisto'')を「対立・争い・境界」を意味する他のさまざまな[[ゲルマン語派]]の単語に関連づけている。それは例えば、[[ドイツ語]]の「''zwist''」、[[スウェーデン語]]の「''tvista''」、[[オランダ語]]の「''twisten''」などである。これらはまた、「''tvi-''」という語根から生じた単語である。 |
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そして、[[ローマ神話]]における神[[マルス]](''Mars'')の重要度、およびマルスが[[ローマ]]建設に関わったことを、トゥイストーのそれと比較する。 |
そして、[[ローマ神話]]における神[[マルス (ローマ神話)|マルス]](''Mars'')の重要度、およびマルスが[[ローマ]]建設に関わったことを、トゥイストーのそれと比較する。 |
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ローマとその民族の父としてあげられるのは、マルスと彼の息子[[ロムルス]](''Romulus'')<!--もう1人が英語版になくそのまま-->であり、主神の[[ユピテル]](''Jupiter'')でない。 |
ローマとその民族の父としてあげられるのは、マルスと彼の息子[[ロムルス]](''Romulus'')<!--もう1人が英語版になくそのまま-->であり、主神の[[ユピテル]](''Jupiter'')でない。 |
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この比較に基づけば、「トゥイストー」は、[[北欧神話]]に登場する神[[テュール]](''Tyr'')の古い時代の名前であり得る。 |
この比較に基づけば、「トゥイストー」は、[[北欧神話]]に登場する神[[テュール]](''Tyr'')の古い時代の名前であり得る。 |
2008年2月23日 (土) 20:34時点における版
トゥイスコー(またはトゥイストー、トゥイストなど)(Tuisco または Tuisto)は、タキトゥスの『ゲルマニア』第2章で「すべてのゲルマン民族の祖先」として紹介される神の名である。
トゥイスコーはこの栄誉を、彼の息子マンヌスと共有した。
名前「トゥイスコー」の由来
ヤーコプ・グリムによると、トゥイスコーの名前とその変形した形(Thuisco、Thuiskon、Tuisco)は、神「ティウ(Tiu)」の名に由来する形容詞「tivisco」に由来するという。 その名「ティウ」とは、ゲルマン祖語では「*Tiwaz」であるが、インド・ヨーロッパ祖語における天空の神の名「*Dyeus」に由来している。そして、それに由来する形容詞は、「天の存在」か「ティウの息子」のどちらも意味する可能性がある。 つまり、トゥイスコー(Tuisco)の語末の「-isk-」が「裔出」という意味だという仮定によるのだが、「ティウ(Tuiz)の後裔」を意味する場合は、ティーウィスコー(Tivisco)でなければならない。[1]
この語源説明は「Tuisco」が本来の名前であることを前提としている。実は「Tuisto」のほうは誤って筆記された名である。 しかしテキストで多く見られるのはむしろ「Tuisto」のほうである。[1]
名前「トゥイストー」の由来
より受け入れられるのは、「tvi- (数値の2)」から「Tuisto(トゥイストー)」となったという説明である。
つまりその語が現在のドイツ語のZwitter(「双生児」もしくは「陰陽両性者」)に該当すると考える説である。[1] 何人かの研究者は、これが両性具有者の存在を説明することを示唆している。 さらに仮説を進めるならば、もし両性具有だとすれば、トゥイストーは北欧神話に登場する原巨人ユミルと同一の存在であり得る。 ユミルも、1人で巨人の血統を生み出したいわば両性具有者であった。
他の推測は、トゥイストー(Tuisto)を「対立・争い・境界」を意味する他のさまざまなゲルマン語派の単語に関連づけている。それは例えば、ドイツ語の「zwist」、スウェーデン語の「tvista」、オランダ語の「twisten」などである。これらはまた、「tvi-」という語根から生じた単語である。 そして、ローマ神話における神マルス(Mars)の重要度、およびマルスがローマ建設に関わったことを、トゥイストーのそれと比較する。 ローマとその民族の父としてあげられるのは、マルスと彼の息子ロムルス(Romulus)であり、主神のユピテル(Jupiter)でない。 この比較に基づけば、「トゥイストー」は、北欧神話に登場する神テュール(Tyr)の古い時代の名前であり得る。 テュールはしばしばマルスと比較される。また、2人はともに戦争の神であると知られている。
こうして、トゥイストーは「2つの顔」あるいは「2本の掌」を意味し、我々のいる世界を構成するあらゆる正反対のものを代表している。それはたとえば、太陽と月、昼と夜、熱さと寒さ、男性と女性、その他のものである。 さらにまた、ギリシャ神話のゼウス(Zeus)とインド神話のディヤウス(Dyaus)と共通点がある。 まず彼らの名前は、テュールの名と語源的に関係がある。 そしてトゥイストーも大地から生じたと語られている(『ゲルマニア』第2章)。 ちょうどゼウスが地母神(ガイア)によって生み出されたように。
比較宗教学者のブルース・リンカーンは、ジョルジュ・デュメジルの三機能仮説を援用し、トゥイスコーとマンヌスの伝説はインド・ヨーロッパ語族の原創造神話にさかのぼるものだとしている。[2]
註
備考
- 語の隣の「*」は、これが再建された語であることを示す。