年越しパチンコオールナイト営業

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年越しパチンコオールナイト営業では三重県1985年の条例改正により行われるようになった[1]、県内の大晦日パチンコホール営業について記す。呼称は多数あり、年越しオールナイト営業[2]、オールナイト営業などが存在するが[1]、本項ではオールナイト営業と記す。

背景[編集]

2000年に三重県で初めてパチンコスロット(パチスロ)設置の許可が下り、そこから設置台数が増えていった[3]。本来パチンコホールは『風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律』に基づき、午前0時から6時までの営業を禁じられている[4]。ただし三重県では風営適正化法施行条例[5]により、以下のように制限を緩和している[4]。この制限により、三重県では12月31日の午前9時から翌年1月2日の午前1時までの連続営業が可能となっている[4]

日付 制限
元旦 午前6時まで[6]。本来禁止されている午前6時から9時までの営業が可能[7]
1月2日 午前1時まで[8]

伊勢神宮の参拝客にトイレを利用させるという目的が平成23年第3回定例会では指摘されている[2]。しかし、2020年12月30日の『中日新聞』では県警の担当者が規制緩和に合わせたものとの見解を示している[2]。パチンコ・パチスロ業者の集まりである三重県遊技業協同組合でも、正確な経緯は把握していない[9]。『朝日新聞』ではパチンコ関係者の間ではトイレを参拝客に貸すためという説が有力だとして、伊勢市駅から外宮まで行列があったことや大晦日にトイレを借りる参拝客と閉店後に道端で排泄する人物もいたことから、三重県と店舗の営業時間について相談したとのインタビューを掲載している[9]。このことについてライターの大森町男は伊勢神宮の初詣参拝者数は上位20以内に入っていないことと、2021年には旅打ちという概念が消失したことに言及し、地域のイベントとして開催されることに意味があると述べている[10]

この風習に対して、三重県議会では平成23年第3回定例会にて教育警察常任委員会から自粛の要請が提出され[2]、平成25年定例会11月定例月会議では同委員会より禁止の要請が提出された[11]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 須江政仁「大みそかのオールナイト営業、今回は? 三重県内のパチンコ店苦慮」『中日新聞』中日新聞社、2020年12月30日。2020年12月29日のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月29日閲覧。
  2. ^ a b c d 三重県議会「平成23年第3回定例会 陳11」『平成23年第3回定例会(11月会議)陳情一覧』三重県、2011年11月18日。2021年1月24日のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月24日閲覧。
  3. ^ 「決死のパチスロ サバイバル地獄変=年末年始オールナイトに挑戦」『スポーツニッポン』朝刊16面、2011年1月11日。
  4. ^ a b c 衆議院事務局『第193回国会 予算委員会第一分科会 第2号(平成29年2月23日(木曜日))』2019年7月22日のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月22日閲覧。
  5. ^ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例 - 三重県警察
  6. ^ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例 第4条1号
  7. ^ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例 第5条
  8. ^ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例 第4条2号
  9. ^ a b 朝までパチンコ なぜ三重だけOK? 年末年始の特例 9割超の店営業 地域ならではの事情 きっかけ説」『朝日新聞』名古屋朝刊19面、2017年12月31日。
  10. ^ 大森町男「パチンコ『36時間ぶん回し』で『7万発』の激勝!?『家パチンコオールナイト2021』…アナタのいるところがすでに三重!!」『GJ』サイゾー、2021年1月10日。2021年1月10日のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月10日閲覧。
  11. ^ 三重県議会「平成25年定例会11月定例月会議 陳4」『平成25年定例会11月定例月会議_陳4』三重県、2013年10月10日。2021年3月22日のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月22日閲覧。