ハナアナナス
ハナアナナス | ||||||||||||||||||||||||
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Wallisia cyanea Linden ex K.Koch[1] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
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ハナアナナス(学名:Wallisia[2] cyanea Linden ex K.Koch)は、ハナアナナス属の植物の1つ。紫の目立つ花をつける。この属のものは葉の表面に毛が多くて空中の湿気を吸収する、いわゆるエアープランツが多いが、本種は比較的普通の植物っぽく、鉢植えで栽培される。以前はティランジア属(Tillandsia)であったが、現在はワリシア属(Wallisia)に分類されている。[2]
特徴
[編集]多年生の草本で、茎はごく短く、葉を根出状に出す[3]。葉は20-30出る。長さ35cm以下で幅は10-15mm、線形から細い三角形で先端は細く尖り、小さな鱗片があり、基部には紫褐色の縦筋が出る。葉鞘は楕円形で長さ6cm。葉は弓状に反り返り、濃灰緑色[4]。
花茎は葉の間から出て、直立する茅や斜めに伸びる。茎の部分は葉の間に隠れ、花茎の方は深く瓦のように重なり合い、下部のものは葉状、上部のものは長楕円形で先端が尖る。その先に穂状花序を一つだけ着ける。花序は40以上の花を羽状につけたもので、長楕円形で先端は丸くなっているか広く尖り、長さは16cmまで、幅は約7cm。花を包む苞は楕円形で先端が尖り、竜骨状で革質、淡紅色から赤に淡緑色の鱗片がある。萼片は互いに離れ、楕円形で先端はやや尖り、長さ35mm。花弁は濃い菫色、菱形に近い円形で長さ20-25mm、大きく開く。雄蘂は花の内部に隠れ、雌蘂は突き出す。
分布と生育環境
[編集]エクアドル原産。基本変種はエクアドル南部の標高1700m付近に分布し、より低い地域に生育する変種と、コロンビアにまで分布のある変種がある[5]。着生植物であり、湿った多雨林で高木の上の方に着生する[6]。
下位分類
[編集]以下の2変種が知られる。
- W. cyanea
- var. tricolor:エクアドル南部標高1000mに分布、花弁の基部に白い斑紋が入る。
- var. elatior:コロンビアからエクアドル南部標高2000mに分布。花茎が長く伸び、花序の幅が8cmにもなる。
利用
[編集]園芸用に栽培される。本属には姿形が変わったもの、それに葉の表面の毛が多く、霧などを吸収する性質が強いものが多々あり、それらはエアープランツと称し、特別な形で栽培されるが、本属はその点では比較的普通であり、植木鉢に水苔などを用いて植栽される[4]。
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鉢植えの大株
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着生状態での栽培
出典
[編集]- ^ a b Wallisia cyanea The Plant List
- ^ a b 『新版 ティランジア エアプランツ栽培図鑑』エムピージェー、2023年4月1日、155頁。
- ^ 以下、記載は主として『園芸植物大事典 2』、p.1548
- ^ a b 本田他(1984),p.549
- ^ 『園芸植物大事典 2』、p.1548
- ^ ホルスト(1997),p.213
参考文献
[編集]- 本田正次他監修、『原色園芸植物大圖鑑』、(1984)、北隆館
- 『園芸植物大事典 2』、(1994)、小学館
- 浅山英一他、『原色図譜 園芸植物 温室編』、(1977)、平凡社
- ブルース・ホルスト、「サルオガセモドキ」:『朝日百科 植(物の世界 10』、(1997)、朝日新聞社:p.213-214
- 藤川史雄、『新版 ティランジア エアプランツ栽培図鑑』、(2023)、エムピージェー:p.155