ノール パングァン
1000 / 1001 / 1002 パングァン
パングァン(Nord Pingouin )は、北部航空機製造公社(以下S.N.C.A.N. / SNCAN)で生産された連絡機。ほかにも様々な用途で使用された。
概要
[編集]この機体はハンブルク航空機製造社(メッサーシュミット社)が開発したBf 108の派生型である。戦時中からS.N.C.A.N.社にはBf 108の生産が命じられており、170機を生産した時点でフランス解放となった。Bf 108の残った部品を用いてS.N.C.A.N.社では1000の名で呼び、解放後も継続して生産し、のちにエンジンを換装した型を開発した。この後期型がパングァンの名をつけられ、1000も含めて呼ばれるようになった。
生産社のS.N.C.A.N.社は正式名称の最初が「ノール (Nord、北部の意)」であったことから、ノールと呼ばれた。これは1954年にS.N.C.A.N.社を併合したS.F.E.C.M.A.S.社が国有航空機製造社となったときのノール・アヴィアシオン(Nord Aviation)とは異なる。
開発
[編集]1942年にメッサーシュミット Bf 108の生産は、占領下フランスのレ・メロー(Les Mereaux)にあるSNCAN社(通常ノールとして知られる)に移管された。フランス解放までに170機のBf 108が生産され、ノール社は引き続きノール 1000として生産を続けることを決めた。エンジンを233hp (174kW) のルノー 6Q 11 エンジンに換装した時に名称をノール 1001 パングァン I とし、ルノー 6Q 10 に換装した4座の近代化モデルをノール 1002 パングァン II とした。総計250機が生産され、その多くはフランスの軍隊で連絡機として使用された。
更に開発された首車輪式の降着装置を持つモデルがノール ノラルファとなった。
設計
[編集]パングァンは片持ち式低翼単葉機で、支持架で補強された水平尾翼と1枚の垂直尾翼を持っており、降着装置は尾輪式で主車輪は外側に引き込んだ。エンジンは機首に装備し、キャビンは密閉式で2名の搭乗員は並列に座りその後に3人目の座席のスペースがあった。
派生型
[編集]運用
[編集]諸元
[編集](1002 パングァン II)
- 乗員:1名 + 3名
- 全長:8.28 m (27 ft 2 in)
- 全幅:10.61 m (34 ft 10 in)
- 全高:2.29 m (7 ft 6½ in)
- 空虚重量:881 kg (1941 lb)
- 全備重量:1356 kg (2987 lb)
- 巡航速度:257 km/h (160 mph)
- 航続距離:997 km (620 miles)
- エンジン:1 × ルノー 6Q 10, 179 kW (240 hp)
現存する機体
[編集]- すべてを網羅しているわけではない。
型名 | 番号 | 機体写真 | 所在地 | 所有者 | 公開状況 | 状態 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1002 | 88 | ドイツ | 個人所有 | 不明 | 飛行可能 | ||
1002 | 91 | ドイツ ラインラント=プファルツ州 | ピーター・ユニォア航空機展示場 | 公開 | 静態展示 | ||
1002 | 97 L.15-2 (EdA) |
スペイン マドリード州 | 航空宇宙博物館[1] | 公開 | 静態展示 | [2] | |
1002 | 103 | ニュージーランド ベイ・オブ・プレンティ地方 | コリン・ヘンダーソン氏 (Colin Henderson) | 公開 | 飛行可能 | [3] | |
1002 | 121 | 中国 香港 | アードモア航空サーヴィシーズ株式会社 (Ardmore Aviation Services Ltd) | 公開 | 飛行可能 | 香港の会社が所有しているが、イギリスのダックスフォード帝国戦争博物館格納庫にある。 | |
1002 | 163 | ドイツ バーデン=ヴュルテンベルク州 | シュトゥットガルト空港 | 公開 | 静態展示 | ||
1002 | 184 | ベルギー ブリュッセル | 王立軍隊軍事史博物館[4] | 公開 | 静態展示 | ||
1002 | 202 | アメリカ ネヴァダ州 | アナカパ・ネヴァダ株式会社(Anacapa Nevada Inc.) | 非公開 | 保管中 | ||
1002 | 234 | オーストリア ニーダーエスターライヒ州 | オーストリア航空博物館[5] | 非公開 | 修復中 | [6] | |
1002 | 257 | ドイツ ベルリン都市州 | ドイツ技術博物館[7] | 公開 | 静態展示 | フランス海軍の塗装がされている。 | |
1002 | 258 | アメリカ ヴァージニア州 | 軍事航空博物館[8] | 公開 | 飛行可能 | [9] | |
1002 | 269 | 写真 | ハンガリー ヤースナジクンソルノク県 | ソルノク飛行機博物館[10] | 公開 | 静態展示 | [11] |
1002 | 274 | イギリス ロンドン | ウェストロンドン航空協会 [12] | 公開 | 飛行可能 | ||
1002 | 285 | オーストラリア ニューサウスウェールズ州 | ベンジャミン・サンプトン氏 (Benjamin Sampson) | 公開 | 静態展示 |
関連項目
[編集]出典
[編集]- Taylor, Michael J. H. (1989). Jane's Encyclopedia of Aviation. London: Studio Editions
- The Illustrated Encyclopedia of Aircraft (Part Work 1982-1985). Orbis Publishing. pp. 2615/6