デンドロビウム・クスバートソニー

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デンドロビウム・クスバートソニー
自生している状態
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
亜科 : セッコク亜科 Epidendroideae
: セッコク属 Dendrobium
: デンドロビウム・クスバートソニー Dendrobium cuthbertsonii
学名
Dendrobium cuthbertsonii F. Muell.1888
シノニム
  • Maccraithea cuthbertsonii (F. Muell.) M.A.Clem. & D.L. Jones
  • Pedilonum cuthbertsonii (F. Muell.) Brieger [1]
茎の形が見える

デンドロビウム・クスバートソニー Dendrobium cuthbertsonii は、ラン科植物の一つ。この類ではごく小型種に属し、植物体に比べて大きな花を着ける。花色は多様で、また開花期がごく長いことでも知られる。ニューギニア高地に産する。D. sophronites の学名も使われる。

特徴[編集]

着生植物で常緑性の多年草[2]。茎は長さ1.5cm、幅0.4cmと小さくて紡錘形。葉は茎より長くて長さ2cm、幅0.5cm、表面はざらつき、主脈が窪んでいる。

花は偽鱗茎の先端から1つずつ生じ、長さ3cの花柄の上にあって径3-3.5cmにもなる。唇弁はシャベル状。花色はきわめて変異に富み、白、黄色、桃色、橙、紅、紫など。ツートンカラーになる個体もある。開花期は夏から冬だが、個々の花の寿命が非常に長い。花は3ヶ月以上も咲き続ける。これは受粉の確率がごく低いためではないかとも言われる[3]

分布と生育環境[編集]

ニューギニア高地特産。標高2000-3000mの雲霧林の中で、様々な場所に生育している[3]。樹幹に着生するものもあるが、多くはコケに覆われた斜面に生育する。生育地域の月別平均気温は最高温度が22-25℃、最低が10-12℃で年中変化が少なく、湿度は通年80%以上を保っている[4]

利用[編集]

洋ランとして栽培される。小柄な植物体に比して花が大きく、非常に花持ちがよい上、花色にバラエティが多く、評価は高い。ただし、いわゆるクールタイプに属し、日本では夏の高温、特に夜間の高温に耐えられず[5]、栽培は難しい。クーラー設備を用いて栽培する例もある[6]。そのため本種との交配種を作り、本種の良さを持ち、より栽培容易な改良品種を作ることも試みられている。

出典[編集]

  1. ^ Dendrobium cuthbertsonii F. Muell.
  2. ^ 記載は主として唐沢監修(1998),p.191
  3. ^ a b 斎藤(2009),p.96
  4. ^ 唐澤(2006),p.61-62
  5. ^ 土橋(1993),p.212
  6. ^ 大場(2010)p.59

参考文献[編集]

  • 唐澤耕司監修、『蘭 山渓カラー図鑑』(1996)、山と渓谷社
  • 齋藤亀三、『世界の蘭 380』,(2009)、主婦の友社(主婦の友ベストBOOKS)
  • 唐澤耕司、『世界ラン紀行 辺境秘境の自生地を歩く』、(2006),家の光協会
  • 大場良一監修、『失敗しない洋ラン入門』、(2010)、主婦の友社(主婦の友生活シリーズ)
  • 土橋豊、『洋ラン図鑑』、(1993)、光村推古書院