タカネマンテマ
タカネマンテマ | ||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
タカネマンテマの開花・北岳山頂付近
| ||||||||||||||||||||||||
分類(クロンキスト体系) | ||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||
Silene uralensis | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
Gastolychnis apetala (L.) Tolm. et Kozhanczikov |
タカネマンテマ(Silene uralensis (Rupr.) Bocquet)は、寒冷地または高山地帯に生息するナデシコ科マンテマ属(シレネ属)の多年草。属名「マンテマ」の由来は諸説あり、牧野新日本植物図鑑ではムギセンノウ属(en:Agrostemma)の「アグロステムマ」が訛ったもの、植物和名語源新考では、近縁のハマベマンテマ(en:Silene martima)の種小名「マルティマ」が語源となったものと言われている。また属学名(Sileneの由来もはっきりとせず、ギリシャ語の唾液(Sialon)から来たという説と、ギリシャ神話にてディオニュソスの従者である半人半馬シレノス(Silenos)が語源になったという説がある[1]。なお、種小名uralensisは、本種の基準標本が採取されたウラル地方を表す。
特徴
[編集]高さ10cm~20cm[2]。根茎から枝分かれした株から2対から4対の小さな根葉と、花茎および無花茎を叢生する。無花茎はほとんど伸長せず、先端に葉をつける。茎葉は対生、線形披針状で長さは6cm程度まで伸びる。花茎は高さ20cm程度まで枝分かれせず伸長し、7月~8月、先端に花をつける。花は12mm程度の先がすぼまった釣鐘状をしている。花弁は淡い紅紫色[2]。最初は下向きに咲くが、後に直立する。茎、花、葉ともに細かい毛を持つ。蒴果は10mm~12mm程度であり、その先が10片~12片に裂開する。種子は翼を持つ扁平型で、2mm程度。2n=24,48。
分布
[編集]ユーラシア大陸や北アメリカに分布[2]。日本では、南アルプスの高山帯にのみ分布する[2]。
保護上の位置づけ
[編集]- 絶滅危惧IA類 (CR)(環境省レッドリスト)
- 都道府県版レッドデータブック
保護・再生の試み
[編集]日本において、本種は希少種であるため盗掘が問題となっており、個体数は減少を続けている。 また本種は、休眠打破のために次亜塩素酸ナトリウム水溶液処理を行う方法や、株分けでの人工的な繁殖が検討されている[3]。
脚注
[編集]- ^ 植物の世界 7(双子葉類)(書籍)
- ^ a b c d “〈改訂版〉南アルプス学・概論”. 静岡市. 2019年10月2日閲覧。
- ^ 山梨県における絶滅危惧植物の保全および増殖技術の開発とその教材化(第1報)(Webサイト)・ 日本農業教育学会誌 Vol.39, No.1, Page33-42 (2008.05.30)
参考文献
[編集]- 植物の世界 朝日新聞社出版局 ISBN 9784023800106
- 植物和名語源新考 深津 正 (著) ISBN 9784896946703
- 原色日本高山植物図鑑・続 武田久吉 (著) ISBN 9784586300280
- 原色新日本高山植物図鑑 (II) 清水建美 (著) ISBN 9784586300600
- 原色牧野植物大図鑑 (合弁花・離弁花編) 牧野富太郎 (著) ISBN 9784832604001
外部リンク
[編集]- 日本の重要な植物群落の分布(全国版)(pdf) - 環境庁
- グリーンワーカー事業(Web) - 南アルプス国立公園・公園における取り組み
- 牧野標本館タイプ標本データベース(Web) - 牧野標本館 標本番号 MAK256448