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シアル化糖鎖抗原KL-6

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

シアル化糖鎖抗原KL-6(シアルかとうさこうげんケーエルシックス、Sialylated carbohydrate antigen KL-6)は、MUC1上に存在しているシアル化糖鎖抗原の1つである。MUC1はムチンの1種であり上皮細胞系に発現する膜貫通型糖タンパク質である。

1985年に広島大学の河野修興らによりヒト肺腺癌由来細胞株 (VMRC-LCR) をマウス免疫する事で数種類のモノクローナル抗体が作成された[1]。シアル化糖鎖抗原KL-6はその6番目の抗体によって同定された抗原である。

臨床検査的意義

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KL-6は、間質性肺炎に特異度が高い検査値であり、間質性肺炎を診断する目的で臨床応用されている。また、活動性のある間質性肺炎では有意に高くなるので、間質性肺炎の活動性を測る視標としても意義がある。

人体では、KL-6はI型肺胞上皮細胞には発現せず、II型肺胞上皮細胞・呼吸細気管支上皮細胞・気管支腺細胞に発現している。間質性肺炎ではII型肺胞上皮細胞の過形成のためKL-6の発現量は多くなる。

正常でもKL-6は肺胞被覆液中に少量存在しているが、間質性肺炎ではII型肺胞上皮細胞の過形成のため肺胞被覆液での濃度が上昇する。また、炎症が起こっている事により血管透過性が向上し、肺胞被覆液中のKL-6は容易に血中に移行するため、間質性肺炎では血中のKL-6が上昇する。

KL-6, SP-A, SP-D, MCP-1は、肺間質の傷害を評価するうえで用いられるが、KL-6がもっとも感度、特異度にすぐれていたとの報告もある(KL-6の感度93.9%、特異度 96.3%)[2]

基準値

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500U/mL以下

異常値

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間質性肺炎肺線維症過敏性肺臓炎で有意に高値を示す。

論文中での名称

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臨床検査項目としては、KL-6と呼ばれているが、学術論文ではKrebs von den Lungen-6と記載している[3]

脚注

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  1. ^ 河野修興 (1985). “ヒト肺癌に対するモノクローナル抗体の作製と臨床診断への応用に関する研究”. 広島大学医学雑誌 33 (6): 971-997. http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00021037. 
  2. ^ Ohnishi H, Yokoyama A, Kondo K, Hamada H, Abe M, Nishimura K, Hiwada K, Kohno N (2002). “Comparative study of KL-6, surfactant protein-A, surfactant protein-D, and monocyte chemoattractant protein-1 as serum markers for interstitial lung diseases”. Am. J. Respir. Crit. Care. Med. 165 (3): 378-81. PMID 11818324. http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/full/165/3/378. 
  3. ^ Sonosuke Tanaka, Noboru Hattori1, Nobuhisa Ishikawa, et al (2011). “Krebs von den Lungen-6 (KL-6) is a prognostic biomarker in patients with surgically resected nonsmall cell lung cancer”. International Journal of Cancer 130 (2): 377-87. PMID 21351094. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ijc.26007/abstract;jsessionid=DCE4BFCE39564E5B7F539AF84E84629D.d01t04. 

関連項目

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