ゴエモンコシオリエビ
表示
ゴエモンコシオリエビ | ||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
国立科学博物館の標本
| ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Shinkaia crosnieri (Baba & Williams, 1998) | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ゴエモンコシオリエビ |
ゴエモンコシオリエビ(学名:Shinkaia crosnieri)は、異尾下目コシオリエビ上科シンカイコシオリエビ科に属する甲殻類の一種である[1]。九州西方から台湾北部の水深700~1600メートルの深海(沖縄トラフ)にある熱水噴出孔周辺に生息する[2][3][4]。体長5センチメートルほどで、体表に多数の毛が生えている[3]。目は退化している。和名は、釜茹でで処刑されたという伝承を持つ盗賊・石川五右衛門にちなんで命名された[3]。
その剛毛には、熱水に含まれる硫化水素やメタンをエネルギー源として取り込み化学合成を行う特定の外部共生菌(化学合成細菌とメタン酸化細菌)が生息しており、ゴエモンコシオリエビは手のような器官(顎脚)でこの外部共生菌が付着した毛をこそいで摂餌することで、栄養源としている[5][6][7]。胸毛付着物からは硫黄酸化細菌の Leucothrixre と Thiothrix属、ε-Proteobacteriaの硫黄酸化細菌であるSugfarobum属の近縁菌の遺伝子が検出されたと報告されている[8]。
熱水噴出孔を中心とした半径 20 - 30cm から、半径 1 - 2m の範囲に群集して生息し[4] 100 indiv/m2を超える数密度の個体群を形成する事がある[4]。なお、同じ様に熱水噴出孔の周辺に生息するヘイトウシンカイヒバリガイやオハラエビよりも、より熱水に近い部分に生息するが、熱水中に含まれる重金属や硫化水素(H2S)や水温変化への耐性の差と考えられている[4]。
参考文献
[編集]- ^ Keiji Baba; Enrique Macpherson; Gary C. B. Poore; Shane T. Ahyong; Adriana Bermudez; Patricia Cabezas; Chia-Wei Lin; Martha Nizinski et al. (2008). “Catalogue of squat lobsters of the world (Crustacea: Decapoda: Anomura ? families Chirostylidae, Galatheidae and Kiwaidae)”. Zootaxa 1905: 1-220 .
- ^ Shane T. Ahyong; Keiji Baba; Enrique Macpherson; Gary C. B. Poore (2010). “A new classification of the Galatheoidea (Crustacea: Decapoda: Anomura)” (PDF). Zootaxa 2676: 57-68 .
- ^ a b c “深海に生きる(3)熱水近く おなかでエサ養殖”. 日本経済新聞 電子版. 2020年6月20日閲覧。
- ^ a b c d 土田真二, 藤原義弘, 藤倉克則「南部沖縄トラフに生息するゴエモンコシオリエビShinkaia crosnieri(十脚目:異尾下目:コシオリエビ科)の分布と個体群構造」『日本ベントス学会誌』第58巻、日本ベントス学会、2003年、84-88頁、doi:10.5179/benthos.58.84。
- ^ Watsuji, Tomo-o; Yamamoto, Asami; Motoki, Kaori; Ueda, Kenji; Hada, Emi; Takaki, Yoshihiro; Kawagucci, Shinsuke; Takai, Ken (2015-04). “Molecular evidence of digestion and absorption of epibiotic bacterial community by deep-sea crab Shinkaia crosnieri” (英語). The ISME Journal 9 (4): 821-831. doi:10.1038/ismej.2014.178. ISSN 1751-7362. PMC 4817695. PMID 25314318 .
- ^ Watsuji, Tomo-o; Nakagawa, Satoshi; Tsuchida, Shinji; Toki, Tomohiro; Hirota, Akinari; Tsunogai, Urumu; Takai, Ken (2010). “Diversity and Function of Epibiotic Microbial Communities on the Galatheid Crab, Shinkaia crosnieri” (英語). Microbes and Environments 25 (4): 288-294. doi:10.1264/jsme2.ME10135. ISSN 1342-6311 .
- ^ 和辻智郎, 山本麻未, 元木香織, 羽田枝美, 上田賢志, 高木善弘, 川口慎介, 高井研「P25-32 ゴエモンコシオリエビのエサは胸毛で飼うバクテリアである(ポスター発表)」『日本微生物生態学会講演要旨集』第2014巻、日本微生物生態学会、2014年、254頁、NAID 110009972662。
- ^ 和辻智郎, 中川聡, 土田真二, 北田貢, 足立文, 高井研「PB-56 沖縄トラフ熱水域に生息するゴエモンコシオリエビの人工飼育がもたらす外部共生菌相の変遷(極限環境,ポスターセッションB,ポスター発表)」『日本微生物生態学会講演要旨集』第23号、日本微生物生態学会、2007年、142頁、NAID 110006480010。