オソルコン1世

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オソルコン1世Osorkon I、在位:紀元前921 - 887年頃)は古代エジプト第22王朝の第2代ファラオ。即位名は「力強きラーの出現」を意味するセケムケペルラー [1]

 概要 [編集]

シェションク1世によって再統一された国土を受け継ぎ、その維持に努めた。叔父のイウプトの後任として息子のシェションクCアメンの大司祭に任じ、テーベのアメン神官団を王の庇護下に置いた。この政策には、上エジプトで大きな支配力を持ち、しばしば王権を脅かす彼らを統制する意図もあった。 オソルコン1世の治世は大きな動乱もなく、平和裏に30年以上続いた。また、出身地のブバスティスを中心に多数の神殿の建築事業を行い、国内を繁栄させた。

王の後継者のシェションク2世は大司祭シェションクCと同一人物とされるが[2]、それを示す確実な史料はない。タニスのシェションク2世の墓からは、彼がむしろオソルコン1世の兄弟で、シェションク1世の息子である事を示唆する副葬品が見つかっており、両者が別人であるという立場を取る研究者も多い[3][4]。また、シェションクCは父王よりも先に死去している。

いずれにせよ、シェションク2世の治世は短命に終わり、オソルコン1世の次子タケロト1世が実質的な後継者としてエジプトを治めた。

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ クレイトン 1998, p.236
  2. ^ Kitchen 1996年
  3. ^ Beckerath p.94-98
  4. ^ ドドソン 2012

注釈[編集]

参考文献[編集]

  • ピーター・クレイトン 著、藤沢邦子 訳、吉村作治監修 編『古代エジプト ファラオ歴代誌』創元社、1999年4月。ISBN 4422215124 
  • ジョイス・ティルディスレイ英語版 著、月森左知 訳、吉村作治監修 編『古代エジプト女王・王妃歴代誌』創元社、2008年6月。ISBN 9784422215198 
  • エイダン・ドドソン, ディアン・ヒルトン 著、池田裕 訳『全系図付エジプト歴代王朝史』東洋書林、2012年5月。ISBN 978-4887217980 
  • Kitchen, Kenneth Anderson (1986) (英語). The Third Intermediate Period in Egypt, 1100-650 B.C.. Aris & Phillips. pp. 112. ISBN 9780856682988. https://books.google.com/books?id=vde0QgAACAAJ 
  • Jürgen von Beckerath, Chronologie des Pharaonischen Ägypten or 'Chronology of the Egyptian Pharaohs,'(Mainz: 1997), Philip Zon Zabern

関連項目[編集]

先代
シェションク1世
古代エジプト王
162代
前921年 - 前887年頃
次代
タケロト1世