ウベローデ粘度計

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ウベローデ粘度計
ウベローデ粘度計の発明者、 レオ・ウベローデ博士 。

ウベローデ粘度計(ウベローデねんどけい)は、細管式の粘度測定方法を採用した測定器具である[1] [2]セルロースポリマー溶液のような非常に高い粘度を測定するときに利用される。この測定器具の利点は、得られる粘度の値が器具内の液体の体積に依存しないことである。この粘度計はドイツの化学者レオ・ウベローデ(1877-1964)によって発明された。

粘度の測定[編集]

ウベローデ粘度計は、オストワルド粘度計と密接に関係している。どちらの粘度計も、一方に液溜部分(図の8)、もう一方に細管6とつながった計測用の球形部5を備えたU字型のガラス製品である。管1から液体が液溜部分に導入され、それから、管2を指などで塞いだ状態で、管3からチューブ付き注射器などで吸引し、細管および計測球形部の上部にある小球部4まで液体を満たす。その後、すべての管1,2,3を開放し、液体を自然流下させ、球形部の上下に刻印された2つの標線A, Bの間を液体が通過する時間を計測する、この時間が粘度の目安となる。ウベローデ粘度計は、細管の下端部に接続する大気開放のための第3の管2を有することが特徴である。この管があるため、測定中は細管部が液溜めの液体と切り離され、圧力水頭(pressure head)は液体の高さにのみ依存し、器具内の液体容積には影響されない仕組みとなっている。

粘度の決定[編集]

粘度の測定は、以下に示すポアズイユの法則に基づいている。

ここで t は、所定の体積 V の液体が流下するのにかかる時間である。dV/dt 比は、細管の半径 R、平均的にかかる圧力 P、細管の長さL、動的粘度 η に依存する。

平均の圧力水頭は次式で与えられる。

ρ は液体の密度、g は標準重力、H は液体の平均の液柱高さである。このようにして、流体の粘度を決定することができる。

通常、溶媒に分析物、例えばポリマー、を溶解した溶液の粘度は、その純溶媒の粘度との比で表される。そのような相対粘度 は次式で与えられる。

ここで、t0 及び ρ0 は、分析物を溶解していない純粋な溶媒の流下時間及び密度である。溶液が非常に薄い場合は、以下のように近似でき、

いわゆる比粘度 は次のように表される。

この比粘度は、分析対象物の濃度に関係しており、固有粘度(極限粘度)べき級数で表される。

ここで 還元粘度と呼ばれる。

固有粘度は、濃度を変えて還元粘度を測定し、X軸に濃度とY軸に還元粘度をプロットし、濃度ゼロに外挿することで、Y軸の切片として実験的に決定することができる。

測定規格[編集]

ウベローデ粘度計による測定方法は、以下のASTMやその他の規格に記載されている、ISO 3104、ISO 3105、ASTM D445、ASTM D446、ASTM D4020、IP 71、BS 188[3]。なお日本工業規格(JIS)では、JIS Z 8803「液体の粘度測定方法」に記載されている。

参考文献[編集]