鶯張り

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鶯張り(うぐいすばり)とは歩くとがきしみが出るようになっている廊下。

鶯張り

概要

昔からの日本の古来の建築物に見られる、人が床の板の上を歩く事によりきしみ音が鳴る様につくられた仕組みを鶯張りと言い、外部侵入者の危険探知の為に設けられたとされている。また床の音のみに限らずや建築物の構造による音響も考え作られていたとされる。他に鳴子や庭に敷き詰められる砂利・玉砂利等も、簡易ながら同等の効果を得られる建造物として挙げられる。 鶯張りの成立の経緯は人為的、自然作為と諸説はあるが、その技術は失われ今では同等の床の製作は難しいと言われている。

1987年神奈川県大和市の料亭番外新館建設(菊池建設株式会社施工)で、「昭和のうぐいす張り」として再現された。現在では、「和店 菊池安治の作品集3」(菊池安治 1988)で、その姿を確認することができる。

重量がかかればどの様に歩いても鳴るように作ってある為に日常の用途としては制限が多く、その為に部外者でない者と聞いて判るように、廊下を通過する際はある一定のリズムを守る事が定められていた場合もあった。

英語ではナイチンゲールフロア (nightingale floor) 、シンギングフロア (singing floor) などの名前で表す。

京都府知恩院二条城のものが有名である。

床板と根太とを取り付けるとき、板の上から根太に向かってを打てば、床面に釘の頭が見えてしまう。入念な建築においては床面に釘の頭を見せないよう、床板下面に設けた窪みに目かすがいの一端を打ち込み、他端を根太に釘で留める、という方法をとる。鶯張りの場合は、床板の幅が広いために両側が多少上方に反り、目かすがいの釘穴はその反りを吸収できるよう、あらかじめ上下に余裕を持たせてある。床板の上から荷重がかかると一時的に反りが戻り、目かすがいの釘穴が釘と擦れあって音を発するのである。

関連項目

参考文献

  • 菊池安治『和店:菊池安治の作品集』 3巻、扶桑社、1988年。ISBN 4594002102