学術出版
学術出版(がくじゅつしゅっぱん)は、学術的研究を出版すること。
理系では学術雑誌での発表が中心であり、書籍の比重は大きくない。一方、人文科学、社会科学などの文系では、書籍の重要度は高い。
部数と価格
学術書は、一部の書籍を除き少部数で刊行されるため、一般書と比べると1冊の値段は高い傾向にある。
これは、学術書のページの組版体裁が複雑であったり、特殊な記号(たとえば、ギリシャ文字、ラテン語、サンスクリット語、英語、多言語であることが多いこと、発音記号、論理記号など)を用いること、内容が難しい本文を読みやすく作るには欧文組や和欧混植についての基礎知識と高度な日本語組版知識と技能が必要であることによる。歴史的な研究なら、異体字、漢文、変体仮名などが入ることもある。
印刷代は少部数の場合には割増料金がかかり、製本代も割増料金がかかる。
部数(部) | 価格(円) |
---|---|
1001-1300 | 4,200 |
701-1000 | 6,000 |
501- | 7008,600 |
300- | 50015,000 |
従って、研究者から出版企画を依頼された場合、特に商業出版社に多いが、予想される実売部数とコスト面から出版を見送るケースもある。
発行元
学術出版の発行元としては、大別して大学出版会と商業出版社の2つがある。そのほか自費出版されるケースもある。
編集者
それぞれの分野の編集者は、学会誌を読んだり、学会に参加して発表を聞いたり、研究室を訪問したりという日頃の積み重ねに基づき、研究に対する理解を高めるとともに、トレンドにも関心を持ち、新しい研究を世に送り出している。
課題
ジャーナルの高騰と著作権問題
理系を中心とした学術雑誌の電子化が進んでいるが、一部の欧州の学術出版社によって寡占状況にあり、雑誌購読料の高騰が問題になっている[2][3]。これらを回避するように海賊版サイトが立ち上がることもある。
脚注
- ^ 松本功「第1回『学術書の出版の仕方』オンライン講座」ひつじ書房、2003年3月28日。
- ^ 【日本学術会議】2010年8月2日付「学術誌問題の解決に向けて」【PDF】
- ^ 【カレントアウェアネス】2012年4月24日付「ハーバード大学、価格高騰する学術雑誌の購読中止を視野に入れた対策案を教員等に提示」