特務
表示
特務(とくむ):
- 軍隊での(戦闘以外の)特別任務を指す語。
- 特務機関:旧日本軍の特殊軍事組織。日本軍では特務とは軍の本務の対義語で、つまり戦闘部門(軍隊)、管理・行政部門(官衙)、教育部門(学校)を除いたそれ以外の部署を広く指す語だったが、諜報や秘密工作を担当する機関のことをこう呼んでいた。
- 中国人民解放軍では現在でも「団直属特務連」などの形で非通常任務を扱う建制单位として使われている。これは通常は警衛、偵察、工兵、通信などの分隊から構成されており、名前の通り司令部に直属している。人民解放軍の起源は軽歩兵集団であり、歩兵以外の部隊は相対的にも絶対的にも少なく、また、指揮系統も簡略なものだったので、司令部を警護する部隊をなるべく小規模に済ませようとしたたためである[1]。朱徳が指揮して活躍した八路軍総部特務団も中国共産党指導部の護衛部隊が起源である。
- 特務 (中国):いわゆるスパイ・工作員(英: agent)を指す中国語。
- 特務警察 (満洲国):満洲国の警務司特務科。おおむね日本国内の特高警察に相当し、さらに匪賊(反満抗日運動)討伐も担った[2]。
- 特務警察 (香港):香港特別行政区の「特別任務警察」(Special Constables)のこと。公安条例第40条によって定められ、行政長官が随時警務処処長に権限を与えることで必要な人員を特務警察にできる[3]。2019年から2022年まででは、警務処処長は紀律部隊の千名近い隊員を特務警察とした[4]。これは公安のような特殊活動のためではなく、臨時に現場の警察の人手を補充するもので、公衆秩序の維持や防疫活動(例えば地区の封鎖と強制検疫、感染疑い者の移送、検疫センターの管理、隔離対象者の抽出、ソーシャルディスタンスの規制など)、政府機関の警備、その他暴動や突発事態への対処を行うものだった。
- 孫文は著作『建国方略』の中で「特務会議」について言及しているが、これは定期開催される通常の会議に対して、臨時召集される会議のことである[5]。「臨時」「一時的」の意味で特務の語を使用することはこれに限らず行われている。
関連項目
脚注
- ^ 未央长喟 (2022年5月21日). “特务连秋收起义时便已出现,解放战争时甚至出现特务团” (中国語). k.sina.cn. 2023年3月20日閲覧。
- ^ 荻野富士夫「解説 : 治安維持法成立・「改正」史」『治安維持法関係資料集』第4巻、新日本出版社、1996年3月25日、748–771頁。
- ^ “Hong Kong e-Legislation” (中国語). www.elegislation.gov.hk. 2023年3月20日閲覧。
- ^ [1]アーカイブ 2022年1月23日 - ウェイバックマシン
- ^ “建國方略 民權初步” (中国語). 建國方略 民權初步. 2023年3月20日閲覧。 “三十節 特務會議”