コンテンツにスキップ

数論的双曲3次元多様体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2022年5月19日 (木) 21:39; Bcxfubot (会話 | 投稿記録) による版 (外部リンクの修正 http:// -> https:// (books.google.com) (Botによる編集))(日時は個人設定で未設定ならUTC

(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)

数学において、数論的双曲3次元多様体: arithmetic hyperbolic 3-manifold)は、双曲3次元多様体であって、その基本群PGL(2,C) の部分群として数論的群英語版であるような多様体である。これらの中で最も小さな体積の多様体は、ウィークス多様体であり、次に小さな体積の多様体はメイヤーホフ多様体英語版である。

トレース体

[編集]

クライン群英語版 Γ のトレース体 (trace field) は、 SL(2, C) におけるその元の代表元のトレースにより生成される体であり、それを tr Γ と書く。有限な余体積英語版のクライン群のトレース体は、代数体つまり有理数体の有限拡大であって、総実ではない。

クライン群 Γ(2)不変トレース体 (invariant trace field) は、Γ の元の平方により生成されるクライン群 Γ(2) のトレース体である。

クライン群 Γの四元数代数 (quaternion algebra) は、トレース体と Γ の元により生成された M(2, C) の部分環であり、Γ が基本的 (elementary) でなければトレース体上の4次元単純代数である。Γ の不変四元数代数 (invariant quaternion algebra) は、Γ(2) の四元数代数である。四元数代数は分解するかもしれない。言い換えると、行列代数となるかも知れない。このことは、Γ が非基本的で双曲元を持っているとき、特に非コンパクト有限余体積3次元多様体のクライン群であるとき、必ず起きる。

不変トレース体と不変四元数代数とは、 SL(2, C) の部分群として、群の広義通約類英語版(wide commensurability class)にのみ依存している。このことはトレース体の場合には成り立たないことが知られている[1]。実際、不変トレース体は、Γ の有限指数部分群のトレース体の中で最小の体である。

数体が数論的双曲3-多様体の不変トレース体であることと、複素埋め込みのただひとつの共役ペアをもつこととは同値である。

参考文献

[編集]
  • Maclachlan, Colin; Reid, Alan W. (2003), The arithmetic of hyperbolic 3-manifolds, Graduate Texts in Mathematics, 219, Berlin, New York: Springer-Verlag, ISBN 978-0-387-98386-8, MR1937957, https://books.google.co.jp/books?id=yrmT56mpw3kC&redir_esc=y&hl=ja