KYRO
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KYRO(カイロ)は、ST Microelectronicsが開発したビデオチップ(グラフィックアクセラレータ)である。
概要
KYROのアーキテクチャは、NECとVideoLogicが共同開発したPowerVRアーキテクチャが基になっており、画面を数平方ピクセルごとのタイルに分割して演算を行うことで、必要となるメモリ帯域幅を抑えられるタイルベースレンダリング(Tile Based Rendering、TBR)を特徴とする[1][2][3]。
最初の製品であるKYROは2000年に発表され、DVD再生支援機能やフルシーンアンチエイリアシング(FSAA)、バンプマッピングが実装された。2001年に発表されたKYRO IIは、KYROをベースにOpenGLへの完全対応やDirectX圧縮テクスチャへの対応などの改良が施されたものとなっている。
KYROを搭載したグラフィックボードはコストパフォーマンスに優れ、バリュークラス帯におけるNVIDIA GeForce2の対抗馬として注目された。KYROは性能でGeForce2 MXよりも劣るが、KYRO IIは条件によってはGeForce2 MXを上回る性能をもっていた[1][3]。しかしハードウェアT&Lエンジンやプログラマブルシェーダを搭載していないため、これらを必須とする一部の機能は利用できない[4]。
KYRO (STG4000)
- 製造プロセス 0.25 μm
- コアクロック 115 MHz
- メモリクロック 115 MHz
- インターフェース AGP4x
- メモリインターフェース 128bit
- ビデオメモリ SDRAM/SGRAM 32/64 MB
- 対応API DirectX8(一部非対応)/OpenGL
KYRO II (STG4500)
- 製造プロセス 0.18 μm
- コアクロック 175 MHz
- メモリクロック 175 MHz
- インターフェース AGP4x
- メモリインターフェース 128bit
- ビデオメモリ SDRAM/SGRAM 64 MB
- 対応API DirectX8(一部非対応)/OpenGL
KYRO II SE (STG4800)
- 製造プロセス 0.15μm
- コアクロック 200MHz
- メモリクロック 200MHz
- インターフェース AGP4x
- ビデオメモリ SDRAM/SGRAM 64MB
- メモリインターフェース 128bit
- 対応API DirectX8.1(一部非対応)/OpenGL
KYRO III (STG5000)
PowerVR4を基にハードウェアT&Lなどを実装したチップであったが、ST Microelectronicsがビデオチップ市場から撤退した[5]ため製品化はされなかった。
- インターフェース AGP4x
- メモリインターフェース 128bit
- ビデオメモリ DDR-SDRAM 64MB
- 対応API DirectX8.1/OpenGL
脚注
- ^ a b “板モノ研究所 Card & Board Review 61 Hercules 3D Prophet 4500 64MB”. DOS/V Magazine 2019年12月22日閲覧。.
- ^ “三度目の挑戦が実るか? PowerVR Series3ベースの「KYRO」が登場!”. PC Watch. AKIBA PC Hotline (2000年12月11日). 2019年12月22日閲覧。
- ^ a b c d “NVIDIAに追いつけたか? 期待のKYRO II搭載ビデオカードが登場!”. PC Watch. AKIBA PC Hotline (2001年6月1日). 2019年12月22日閲覧。
- ^ 例えばDirectX8世代のベンチマークソフト3DMark2001では、ハードウェアT&Lを利用する一部のテストがパスされるためスコアが低くなる[3]。ただし当時、DirectX8に完全対応していたのはGeForce3だけである[3]。
- ^ “KYROシリーズのSTMicro、PC用ビデオチップ市場から撤退”. PC Watch (2002年2月12日). 2019年12月22日閲覧。