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鹿狩りの寓話

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鹿狩り

鹿狩りの寓話(しかがりのぐうわ、英語:The Stag Hunt)とはルソーの著書『人間不平等起源論』に登場する、協力の難しさ、相互不信に関するたとえ話である[1]

内容

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数人の飢えた狩人が、一致協力して鹿(長期的な全体の利益)を射止めれば全員の命が助かるのに、目の前に兎(短期的な個人の利益)が現れると、たとえ自分は兎に手を出すつもりがなくても、仲間の誰かが約束を破って手を出すのではないか、そうすれば裏切った彼が生き延びて約束を守った自分が命を落とすことになるのではないかと、仲間を信用できなくなり、先に兎に手を出す強い誘惑に駆られる人間の弱さを描いたものである[2]

鹿を捕らえようとする場合、各人はたしかにそのためには忠実にその持ち場を守らなければならないと感じた。しかし、もし一匹の兎が彼らのなかのだれかの手の届くところをたまたま通りすぎるようなことでもあれば、彼は必ずなんのためらいもなく、それを追いかけ、そしてその獲物を捕らえてしまうと、そのために自分の仲間が獲物を取り逃がすことになろうとも、いささかも気にかけなかった。 — ルソー、『人間不平等起源論』、本田喜代治、平岡昇共訳、岩波文庫、1972年、89頁。

応用

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国際政治学者ケネス・ウォルツは著書『人間・国家・戦争ー国際政治の3つのイメージ』においてこの寓話を用いて国家間協力の難しさを説明し、ルソーの分析は、紛争が人間の社会問題においてどの程度まで必然的に起こるのかということを明らかにしている[3]、と評している。また、この寓話を応用したゲーム理論も存在する。

脚注

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  1. ^ ジャン・ジャック・ルソー 著、本田喜代治・平岡昇 訳『人間不平等起源論』(改訳版)岩波書店〈岩波文庫〉、1972年、89頁。全国書誌番号:72000791 
  2. ^ 土山實男『安全保障の国際政治学ー焦りと傲り』(第二版)有斐閣、2014年、41頁。ISBN 978-4-641-14903-8 
  3. ^ ケネス・ウォルツ 著、渡邉昭夫・岡垣知子 訳『人間・国家・戦争ー国際政治の3つのイメージ』勁草書房、2013年、154-159頁。ISBN 978-4-326-30218-5