階乗番号システム

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組み合わせ論において、階乗番号システム(かいじょうばんごうシステム、factorial number systemまたfactoradic)とは、置換に番号を振るための混在基数システムである。n!未満の数を階乗番号システムに変換すると、n個の数の列が得られる。この列は、置換とみなすことができる。この変換にはLeher codeを用いても、逆引きテーブル表現[1]として行ってもよい。

一般的な混合基数システムはゲオルク・カントール[2]によって研究された。「階乗番号システム」という用語はドナルド・クヌース[3]によって使用された。

定義[編集]

階乗番号システムは、混合基数システムの一つである。i桁目には、0からi-1までの数を置くことができる。i桁目にjを置くことによって、jに(i-1)!を掛けた数を表現する。すなわち、i桁目の重みは(i-1)!である。

置ける数 重み 表現される数
1桁目 0 0! 0 (= 0 * 0!)
2桁目 0か1 1! 0 (= 0 * 1!)か1 (= 1 * 1!)
3桁目 0,1,2のいずれか 2! 0 (= 0 * 2!), 2 (= 1 * 2!), 4 (= 3 * 2!)のいずれか
4桁目 0,1,2,3のいずれか 3! 0 (= 0 * 3!), 6 (= 1 * 3!), 12 (= 2 * 3!), 18 (= 3 * 3!)のいずれか

1桁目は常に0であり、0しか表現できない。

この記事では、階乗番号システムによる表記は下付きの "!"によって表記する。例えば341010!

  • =3×5! + 4×4! + 1×3! + 0×2! + 1×1! + 0×0! 
  • =((((3×5 + 4)×4 + 1)×3 + 0)×2 + 1)×1 + 0
  • = 463

を表現する。

逆に463を階乗番号システムに変換するには、除算を繰り返す。

  • 463 ÷ 1 = 463, 余り 0
  • 463 ÷ 2 = 231, 余り 1
  • 231 ÷ 3 = 77, 余り 0
  • 77 ÷ 4 = 19, 余り 1
  • 19 ÷ 5 = 3, 余り 4
  • 3 ÷ 6 = 0, 余り 3

[編集]

置換[編集]

分数[編集]

出典[編集]

  1. ^ Knuth, D. E. (1973), “Volume 3: Sorting and Searching”, The Art of Computer Programming, Addison-Wesley, pp. 12, ISBN 0-201-89685-0 
  2. ^ Cantor, G. (1869), Zeitschrift für Mathematik und Physik, 14 .
  3. ^ Knuth, D. E. (1997), “Volume 2: Seminumerical Algorithms”, The Art of Computer Programming (3rd ed.), Addison-Wesley, pp. 192, ISBN 0-201-89684-2 .

外部リンク[編集]

置換を構成する数字は1から始まっていることに注意。