空気冷凍サイクル
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空気冷凍サイクル(くうきれいとうサイクル)は、気体を圧縮機で圧縮し、熱交換器で冷却した後、膨張タービンで動力回収して圧力・温度を下げ低温を得る、冷凍機の熱力学サイクルである。
小型軽量であるため、開放型のものが航空機の客室用空調に用いられている。また、-150℃以下で蒸気圧縮冷凍サイクルより効率がよくなることを生かして、密閉型のものが空気・天然ガスの液化に用いられている。
膨張弁サイクル
[編集]1 - 圧縮機が気体に lc の仕事を加えて圧縮 →2
2 - 熱交換器で冷却 →3
3 - 膨張タービンで lt の仕事をして膨張 →4
4 - r の熱量を吸収 →1
理想的な場合のサイクル
[編集]圧縮機などの損失がない場合を考えると、逆カルノーサイクルと同等である。
- lt = cp ( T3 - T4 )
- ro = cp ( T1 - T4 )
- lc = cp ( T2 - T1 )
よって
- lo = lc - lt = cp ( T2 - T1 ) - cp ( T3 - T4 )
- (COP)R = ro / l = ( T1 - T4 ) / {( T2 - T1 ) - ( T3 - T4 )}
断熱圧縮時と断熱膨張時の圧力比 Ph / Pl は等しいため
- T2 / T1 = ( Ph / Pl )(κ-1)κ = T3 / T4
よって
- (COP)R = T1 / ( T2 - T1 ) = T4 / ( T3 - T4 )
- (COP)R : 冷凍サイクルの理論成績係数
- ro : 理想的な場合の気体1kgあたり冷却効果
- lo : 理想的な場合の気体1kgあたりに必要な仕事
- κ : 気体の比熱比 T : 気体の温度 P : 気体の圧力
損失を考慮したサイクル
[編集]圧縮機・膨張タービンでの損失を考慮すると
- ηt = ( T3 - T4' ) / ( T3 - T4 )
- ηc = ( T2 - T1 ) / ( T2' - T1 )
- r = cp ( T1 - T4' )
- l = ( T2 - T1 ) cp / ηc - ηt cp ( T3 - T4 )
- (COP)R = r / l = ηc ( T1 - T4' ) / {( T2 - T1 ) - ηc ηt ( T3 - T4 )}
- ηc : 圧縮機効率
- ηt : 膨張タービン効率
- T4' : 実際の膨張タービンの出口温度
- T2' : 実際の圧縮機の出口温度
- r : 実際の気体1kgあたり冷却効果
- l : 実際の気体1kgあたりに必要な仕事