牽制

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 一般的に牽制とは、相手(敵)の目的となる戦略活動を不自由にする為に行われる。

軍事[編集]

軍事での牽制(Diversion)は、作戦を遂行する上での基本的な手段である。その詳細は、状況に応じて変化させることが可能で、基本的に「最小限度の戦力をもって、味方の軍事行動における『本来の目的を支援する』ために行われる戦略」である。

攻勢作戦であっても防勢作戦であっても牽制を行うことが可能であり、欺騙陽動とも関連している軍事的心理戦の一環である。

歴史的な戦術[編集]

クラウゼヴィッツは『戦争論』で牽制の古典的な成功例として、1799年8月27日と同年9月14日にロシア軍とイギリス軍がオランダ北部に着上陸した事例と1809年にイギリス軍によりオランダが占領された事例を挙げている。どちらも牽制の戦術的な役割が最小限の労力で目的を達成することであることを示しており、牽制が戦いの原則の一つである節約の原則を適用した行動であることが分かる。

現代の牽制の事例としては第二次世界大戦における1944年のノルマンディー上陸作戦があり、この着上陸作戦を成功させるために連合軍はドイツ軍に対して牽制を行い、ノルマンディーとは別の地点が上陸地点であるように見せた。結果として当時のドイツ軍はノルマンディーに対上陸作戦のための部隊を結集させることが行えなくなった。

日本の歴史上における記録では、戦国時代の戦術に兵糧攻め攻城戦)などが有り、その例として三木合戦が有る。

兵隊による実際の行動[編集]

制圧射撃は、一般的に広く知られている。他にも、対空(防空)弾幕、敵の戦略行動で使われる進行路の破壊(進行の妨害)などが戦術として有る。

それらの活動により、「敵の戦略行動を抑制しつつ、特定の状況、心境に陥らせるように誘導する(敵の行動における不自由度を増すことが可能となれば、おのずと敵の活動手段が制限されてしまい、意図的に特定の行動しか行えない程にまで陥らせる事が可能と成る。また、そうした状況に成った時に思う敵側の心理なども考慮される)」が成果と成る。

過剰な牽制による不利[編集]

敵に対して過剰な牽制を行うと、逆に決死の覚悟で闘志を抱かせることが有り、それに基づく大反撃により、大きな損害を受けることが有る。諺(ことわざ)でも「窮鼠猫を噛む(きゅうそねこをかむ)」として例えられている。

対抗の手段[編集]

牽制に対抗する手段も有り、それぞれの攻防戦が歴史的に展開したと記録されており、世界史的な戦い等での事例では、漢の背水の陣が広く知られている。

牽制に対抗する為の心理教育[編集]

兵士を教育する段階から決死の思いを抱かせ、敵の牽制(制圧など)に対して正面から打破する事を試みようとする程のを育成する事もあった。戦時中の日本における記録だと特別攻撃隊が存在しており、西洋だと古代史で有名な Spartan Education(スパルタ教育)が有る。

そうした教育方法は、現在だと Terrorism(テロリズム)等で悪用されている。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • Belfield, E. M. G. 1965. The battle for Normandy. Philadelphia: Dufour Editions.
  • Franke, H., ed. 1936. Handbuch der neuzeitlichen Wehruissenschaften. Berlin: W. de Gruyter.
  • Hinze, R. 1980. Der Zusammenbruch der Heeresgruppe Mitte im Osten 1944. Stuttgart: Motorbuch Verlag.
  • North Atlantic Treaty Organization (NATO). 1984. NATO land-force tactical doctrine. ATP-35A. Brussels: NATO.
  • Soviet Union. Ministerstvo Oborny SSSR. Institut Voenny Istorii. 1976. Sovetskakila voennakila entskilopedkila(Soviet military encyclopedia). Moscow: Voyenizdat.