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「公正証書」の版間の差分

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公正証書として代表的なものは、契約公正証書、遺言公正証書、事実実験公正証書(じじつじっけんこうせいしょうしょ)である。<ref>{{Cite web|url=http://www.moj.go.jp/MINJI/minji30.html|title=公証制度について|accessdate=2020-07ー26|publisher=日本国法務省}}</ref>契約公正証書とは、当事者間の契約内容を記載した公正証書である。遺言公正証書とは、遺言者の遺言内容を記載した公正証書であって、当該法域で正規の方式の遺言と認められるものである。事実実験公正証書とは、公証人が自ら体験した事実を記載した公正証書であり、英語に直訳すると ''notarial record of experience'' などとなる。
 
契約公正証書が広く用いられる契約類型の一つに、不動産取引がある。ドイツでは、不動産所有権を譲り渡すこと又は譲り受けることを約束する契約は公正証書によらなければならない(民法311b条1項)。フランスでは、不動産登記所において公示される契約は公署方式 ''forme authentique'' によるものでなければならず(1955年1月4日のデクレ第55-22号4条1項)、公署方式の大部分は公正証書である。<ref>{{Cite journal|author=鎌田薫|year=1980|title=フランスにおける不動産取引と公証人の役割(一)|journal=早稲田法学|volume=56.1|page=45}}</ref>ブラジルでは、不動産所有者が他人に所有地の使用権を設定するには、公正証書により契約し、不動産登記所で登記しなければならない(民法1369条1項)。日本では、事業用定期借地権<ref>事業用建物を所有する目的で設定される土地賃借権又は[[地上権]]であって、賃借人に更新権及び建物買取請求権を放棄させるものをいう。なお、日本では、土地とその上の建物とは別個の不動産と取り扱われるが、他人の土地に勝手に建物を建ててもその建物が当然に土地所有者の物になる([[附合]])わけではないという点を除けば、西欧諸国の不動産法制との間に本質的な差異はない。</ref>を設定する契約は、公正証書によらなければならない(借地借家法23条)。
 
 
遺言公正証書は、多くの法域で認められるだけでなく、一定の優遇を与えられている。日本では、自筆証書遺言と異なり検認が免除される上、遺言保管所寄託遺言と異なり遺言内容を法定相続人に秘密にしておくことが可能である。
 
事実実験公正証書という概念が用いられることが比較的多い法域は、日本である。日本では、特許権に対して[[先使用権]] ''prior user rights'' で対抗できる範囲が比較的広いため、<ref>社団法人日本国際知的財産保護協会(2013年)『先使用権制度に関する調査研究報告書』9-19頁、2013年3月</ref>営業上の秘訣(ノウハウ)の出願公開を避けたいときは、時期の改ざんを疑われにくい方法で先使用の事実を証拠化することの費用対効果が高い。公証人は厳格な守秘義務を課せられ、裁判所からの信頼も厚いため、先使用の事実を目撃させるのに適すると考えられたのである。もっとも、日本以外の法域では、このような用途で公正証書を用いることはあまりないようである。<ref>社団法人日本国際知的財産保護協会(2013年)20頁</ref>