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2020年2月23日 (日) 07:00時点における版

ヤジエセツルメントとは、1959年(昭和34年)の伊勢湾台風後、被災地である名古屋市南区弥次ヱ町において展開された、被災児童の保育活動を中心とする援助活動である。

概要

背景

日本のセツルメント運動は、関東大震災直後の東京帝大セツルメント運動に始まり、戦後には学生運動の一部として、貧民の救済と教育、連帯を目指して行われていた。1960年(昭和35年)には、全国で40近いセツルメントがあり、地域の実情に応じて様々な活動を行っていたという。

経緯

1959年10月15日に名古屋大学教養部の自発的な活動として「泥の会」が発足する[1]伊勢湾台風を国の予算の分析や土木開発の視点から多角的に検証し、問題を提起した。また当初からセツルメントの設立を方針として掲げていた[2]。最も被害の酷かった人々が住む地域として名古屋市南区での設立を目指していたところ、市有の競売にかけられる予定の旧養鶏場の空き事務所を学生自ら交渉を重ねて借り受けるに至った[3]。運営に必要な費用は、後援会を組織し、各国の大学に呼びかけて集めた[4]

その後の展開

及川、難波ともに名古屋にとどまった。及川は1962年3月に、かつての学生セツラー原田正造と結婚した。1965年1月の時点では一児をもうけており、名古屋市の井戸田幼稚園で働いている。難波は被災者支援をしていた医療福祉関係の川本某と結婚した。1965年1月の時点では一児をもうけており、名古屋市のみどり子どもセンターで働いている[5]

評価

マスメディアには「青春を犠牲にして、ぶん殴り教育」「ぶん殴り保育」として取り上げられたとされる。ただ、上と山崎は「人間平等と愛と信頼にもとづいた集団主義的な保育」の、非典型的ではあるものの高度の達成を示したものであるとした[6]

影響

いずみの会の坂みち子は、ヤジエセツルメントへの参加を通し、小児麻痺児童に対するソ連製「生ワクチン」の使用問題や、保母の解雇問題に端を発した青空保育へと関心を広げていった[7]

脚注

  1. ^ 『伊勢湾台風』名大教養部内被災学生を守る会事務局 p163
  2. ^ 『現代思想』第34号 第1号2006 P173
  3. ^ 『伊勢湾台風』名大教養部内被災学生を守る会事務局 p167
  4. ^ 『伊勢湾台風 その後二十年』いずみの会編 p123
  5. ^ 上、山崎 1965, pp. 306.
  6. ^ 上、山崎 1965, pp. 289.
  7. ^ 山本 2006, pp. 174.

参考文献

  • 中央法規出版編集部『社会福祉用語辞典』中央法規、2014年。ISBN 978-4-8058-3594-4 
  • いずみの会編『伊勢湾台風-その後二十年-』いずみの会、1979年。 
  • 上笙 一郎・山崎 朋子『日本の幼稚園』理論社、1965年9月。 
  • 後 房雄『グラムシと現代日本政治』1990年。 
  • 山本 唯人「伊勢湾台風といずみの会」『現在思想』第34巻第1号、青土社、2006年1月1日、170-181頁。 
  • 浅井 順次. “伊勢湾台風における保育の救援活動に関する考察-ヤジエセツルメント保育所を中心に-”. 青土社. 2020年2月23日閲覧。
  • 植山 つる、浦辺 史、岡田 正章『戦後保育所の歴史』社会福祉法人 全国社会福祉協議会、1978年。 
  • 安川 寿之輔『大学教育の革新と実践-変革の主体形成-』株式会社 新評論、1998年。ISBN 4-7948-0394-X 
  • 五十年史編集委員会『名古屋市立保育短期大学五十年史』名古屋市立保育短期大学、1997年。 
  • 『日本福祉大学50年誌』編集・執筆委員会『日本福祉大学50年誌』学校法人 日本福祉大学、2003年。 

外部リンク