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2005年11月10日 (木) 03:45時点における版
生活保護(せいかつほご)とは、憲法第25条に規定す理念(生存権)に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに自立を助長することをいう。
生活保護の対象
1946年の旧生活保護法においてはすべての在住者を対象としたが1950年の改訂で国籍条項が加わり、日本国内に住む日本国籍を持つ者のみが対象とされた。その後1954年の厚生省社会局通知により「正当な理由で日本国内に住む外国籍の者に対しても、生活保護法を準用する」というかたちで保護を実施している。判例上もこの条項を適法とする判断が多いが、国際人権規約(社会権規約)に反するのではないかという批判がある。
生活保護の種類
生活保護は次の8種類からなる。
- 生活困窮者が、衣食、その他日常生活の需要を満たすための扶助であり、飲食物費、光熱水費、移送費などが支給される。主として第一類と第二類に分け計算され、第一類が個人ごとの飲食や衣服・娯楽費等の費用、第二類が世帯として消費する光熱費等となっている。
- 生活に困窮する家庭の児童が、義務教育を受けるのに必要な扶助であり、教育費の需要の実態に応じ、原則として金銭をもって支給される。
- 生活困窮者が、家賃、間代、地代等を支払う必要があるとき、及びその補修、その他住宅を維持する必要があるときに行われる扶助である。原則として金銭をもって支給される。
- 生活困窮者が、けがや病気で医療を必要とするときに行われる扶助である。原則として現物支給(投薬、処理、手術、入院等の直接給付)により行われ、その治療内容は国民健康保険と同等とされている。なお、医療給付は生活保護指定医療機関に委託して行われるが、場合により指定外の医療機関でも給付が受けられる。予防接種などは対象とならない。
- 要介護又は要支援と認定された生活困窮者に対して行われる給付である。原則として、生活保護法指定介護機関における現物支給により行われる。介護保険とほぼ同等の給付が保障されているが、現在普及しつつあるユニット型特養、あるいは痴呆対応型共同生活介護、特定施設入所者生活介護は利用料(住宅扶助として支給)の面から制限がある。
- 生活困窮者が出産をするときに行われる給付である。原則として、金銭により給付される。
- 生業に必要な資金、器具や資材を購入する費用、又は技能を修得するための費用、就労のためのしたく費用等が必要なときに行われる扶助で、原則として金銭で給付される。平成17年度より高等学校修学資金がこの扶助により支給されている。
- 生活困窮者が葬祭を行う必要があるとき行われる給付で、原則として、金銭により給付される。
これらの扶助は、要保護者の年齢、性別、健康状態等その個人または世帯の生活状況の相違を考慮して、1つあるいは2つ以上の扶助を行われる。
実施機関
生活保護の実施機関は、原則として、都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長であり、これらの事務は法定受託事務である。なお、福祉事務所を管理していない町村(ほとんどの町村)においては、その町村を包括する都道府県知事がこの事務を行う。
また、都道府県知事、市町村長の下に社会福祉主事が置かれ、知事・市町村長の事務の執行を補助し、民生委員は市町村長、福祉事務所長又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとされる。
これら実施機関では国が示す実施要領に則り保護を実施しており地方の裁量はほとんどない。
保護施設
都道府県・市町村は、生活保護を行うため、保護施設を設置することができる。なお、市町村が保護施設を設置する場合、都道府県知事への届出が必要である。また、保護施設が設置できるのは、都道府県・市町村のほか、社会福祉法人と日本赤十字社だけである。
保護施設の種類
保護施設には、次の5種類がある。
- 救護施設
- 更生施設
- 医療保護施設
- 授産施設
- 宿所提供施設
生活保護をめぐる訴訟
生活保護をめぐる訴訟として「朝日訴訟」が有名である。