「監事」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
頭痛 (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
現行法に沿って書き換え
1行目: 1行目:
{{law}}
{{law}}
'''監事'''(かんじ)は、法人・団体の保有財産及び[[理事]]の業務執行を[[監査]]する職である。その設置の義務の有無、職務内容・監査対象範囲は、個別の根拠法によって異なる。
'''監事'''(かんじ)は、法人・団体の保有財産及び[[理事]]の業務執行を[[監査]]する機関又は役職である。


== 概要 ==
日本においては、[[民法]][[b:民法第58条|58条]]において「''法人ニハ定款、寄附行為又ハ総会ノ決議ヲ以テ一人又ハ数人ノ監事ヲ置クコトヲ得''」と規定され、その職務内容は[[b:民法第59条|民法第59条]]に規定される。これらの条文により、「監事」という呼称とその職務範囲が一般的に規定される。
[[一般社団法人及び一般財団法人に関する法律]]によると、[[一般社団法人]](理事会や会計監査人を設置している法人を除く)における監事の設置は任意とされているが、[[一般財団法人]]では必ず監事を設置しなければならない。その他、[[医療法人]]や[[社会福祉法人]]、[[特定非営利活動法人]]、[[学校法人]]等、多くの法人で監事の設置が義務付けられている。


監事の職務内容や、監査対象範囲、人数、選任方法、任期、資格([[欠格事由]])等は、個別の根拠法に定められているため、法人の種類によって異なる。[[株式会社]]等では、監事に相当する機関として、[[監査役]]を置くことができる。
呼称及び職掌については、[[会社法]]では、[[株式会社]]において'''[[監査役]]'''と呼称し、また監査範囲も個別に定める([[b:会社法第381条|会社法第381条]])など、特別法において民法と異なる規定をすることもある。


==監事の職務の例==
また、設置義務の有無については、民法58条で監事の設置は任意とされているものの、[[医療法人]]のような[[中間法人]]や、[[社会福祉法人]]のような[[公益法人]]については、それぞれ[[医療法]]、[[社会福祉法]]によって監事の設置が義務付けられていることがある。さらに、人数については民法58条では1人以上とされるものの、社会福祉法人のように[[租税特別措置法]]に基づく税制上の優遇措置を受ける要件として2人以上の設置が要求されることがある。
;医療法人([[医療法]]46条の4第3項

監事になりえない者の事由([[欠格事由]])も、各法に定められている。

==監事の職==
民法では第59条に規定される。また、社会福祉法人(根拠法:社会福祉法)、医療法人(医療法)、[[特定非営利活動法人]]([[特定非営利活動促進法]])のように、個別にその職掌を定めている法もある。

<blockquote>(参考)
;民法 第59条
監事の職務は、次のとおりとする。
#法人の財産の状況を監査すること。
#理事の業務の執行の状況を監査すること。
#財産の状況又は業務の執行について、法令、定款若しくは寄附行為に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、総会又は主務官庁に報告をすること。
#前号の報告をするため必要があるときは、総会を招集すること。

;医療法46条の4 第3項
監事の職務は、次のとおりとする。
#医療法人の業務を監査すること。
#医療法人の業務を監査すること。
#医療法人の財産の状況を監査すること。
#医療法人の財産の状況を監査すること。
31行目: 17行目:
#医療法人の業務又は財産の状況について、理事に対して意見を述べること
#医療法人の業務又は財産の状況について、理事に対して意見を述べること


;特定非営利活動促進法 第18条
;特定非営利活動法人([[特定非営利活動促進法]]第18条
監事は、次に掲げる職務を行う。
#理事の業務執行の状況を監査すること。
#理事の業務執行の状況を監査すること。
#特定非営利活動法人の財産の状況を監査すること。
#特定非営利活動法人の財産の状況を監査すること。
46行目: 31行目:
*[[取締役]]
*[[取締役]]
*[[会計参与]]
*[[会計参与]]
*[[社団法人]]
*[[財団法人]]


{{law-stub}}
{{law-stub}}

2010年5月10日 (月) 13:38時点における版

監事(かんじ)は、法人・団体の保有財産及び理事の業務執行を監査する機関又は役職である。

概要

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律によると、一般社団法人(理事会や会計監査人を設置している法人を除く)における監事の設置は任意とされているが、一般財団法人では必ず監事を設置しなければならない。その他、医療法人社会福祉法人特定非営利活動法人学校法人等、多くの法人で監事の設置が義務付けられている。

監事の職務内容や、監査対象範囲、人数、選任方法、任期、資格(欠格事由)等は、個別の根拠法に定められているため、法人の種類によって異なる。株式会社等では、監事に相当する機関として、監査役を置くことができる。

監事の職務の例

医療法人(医療法46条の4第3項)
  1. 医療法人の業務を監査すること。
  2. 医療法人の財産の状況を監査すること。
  3. 医療法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後3月以内に社員総会又は理事に提出すること。
  4. 第1号又は第2号の規定による監査の結果、医療法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは定款若しくは寄附行為に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを都道府県知事又は社員総会若しくは評議員会に報告すること。
  5. 社団たる医療法人の監事にあつては、前号の報告をするために必要があるときは、社員総会を招集すること。
  6. 財団たる医療法人の監事にあつては、第4号の報告をするために必要があるときは、理事長に対して評議員会の招集を請求すること。
  7. 医療法人の業務又は財産の状況について、理事に対して意見を述べること
特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法第18条)
  1. 理事の業務執行の状況を監査すること。
  2. 特定非営利活動法人の財産の状況を監査すること。
  3. 前2号の規定による監査の結果、特定非営利活動法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見した場合には、これを社員総会又は所轄庁に報告すること。
  4. 前号の報告をするために必要がある場合には、社員総会を招集すること。
  5. 理事の業務執行の状況又は特定非営利活動法人の財産の状況について、理事に意見を述べること。

中国における監事

中国の会社法(中華人民共和国公司法)における監事および監事会は、日本法(会社法)における監査役および監査役会に類似の役割を持った機関である。

関連項目