「トゥイストー」の版間の差分
m robot Adding: es:Tuisto |
m プリティヴィーがディヤウスを生んだという話の裏付けがとれずコメントアウト |
||
3行目: | 3行目: | ||
トゥイスコーはこの栄誉を、彼の息子[[マンヌス]](''Mannus'')と共有した。<!--英語版には「Mannus(Borr)」とありますが、ボルは無視します--> |
トゥイスコーはこの栄誉を、彼の息子[[マンヌス]](''Mannus'')と共有した。<!--英語版には「Mannus(Borr)」とありますが、ボルは無視します--> |
||
[[ヤーコプ・グリム]]によると、トゥイスコーの名前とその変形した形(''Thuisco''、''Thuiskon''、''Tuisco'')は、神「'''ティウ'''(''Tiu'')」の名に由来する形容詞「''tivisco''」に由来するという。 |
===名前「トゥイスコー」の由来=== |
||
[[ヤーコプ・グリム]]によると、'''トゥイスコー'''の名前とその変形した形(''Thuisco''、''Thuiskon''、''Tuisco'')は、神「'''ティウ'''(''Tiu'')」の名に由来する形容詞「''tivisco''」に由来するという。 |
|||
その名「ティウ」とは、[[ゲルマン祖語]]では「*''Tiwaz''」であるが、インド・ヨーロッパ祖語における天空の神の名「*''Dyeus''」に由来している。そして、それに由来する形容詞は、「天使(''celestial'')」か「ティウの息子」のどちらも意味する可能性がある。 |
その名「ティウ」とは、[[ゲルマン祖語]]では「*''Tiwaz''」であるが、インド・ヨーロッパ祖語における天空の神の名「*''Dyeus''」に由来している。そして、それに由来する形容詞は、「天使(''celestial'')」か「ティウの息子」のどちらも意味する可能性がある。 |
||
つまり、トゥイスコー(''Tuisco'')の語末の「-isk-」が「裔出」という意味だという仮定によるのだが、「ティウ(''Tuiz'')の後裔」を意味する場合は、ティーウィスコー(''Tivisco'')でなければならない。<ref name=a>タキトゥス『ゲルマーニア』[[泉井久之助]]訳注、[[岩波書店]]〈[[岩波文庫]]〉、1979年、31-33頁。</ref> |
つまり、トゥイスコー(''Tuisco'')の語末の「-isk-」が「裔出」という意味だという仮定によるのだが、「ティウ(''Tuiz'')の後裔」を意味する場合は、ティーウィスコー(''Tivisco'')でなければならない。<ref name=a>タキトゥス『ゲルマーニア』[[泉井久之助]]訳注、[[岩波書店]]〈[[岩波文庫]]〉、1979年、31-33頁。</ref> |
||
10行目: | 11行目: | ||
しかしテキストで多く見られるのはむしろ「''Tuisto''」のほうである。<ref name=a>タキトゥス『ゲルマーニア』[[泉井久之助]]訳注、[[岩波書店]]〈[[岩波文庫]]〉、1979年、31-33頁。</ref> |
しかしテキストで多く見られるのはむしろ「''Tuisto''」のほうである。<ref name=a>タキトゥス『ゲルマーニア』[[泉井久之助]]訳注、[[岩波書店]]〈[[岩波文庫]]〉、1979年、31-33頁。</ref> |
||
===名前「トゥイストー」の由来=== |
|||
より受け入れられるのは、「''tvi-'' (数値の2)」から「''Tuisto''('''トゥイストー''')」となったという説明である。 |
より受け入れられるのは、「''tvi-'' (数値の2)」から「''Tuisto''('''トゥイストー''')」となったという説明である。 |
||
26行目: | 28行目: | ||
さらにまた、[[ギリシャ神話]]の[[ゼウス]](''Zeus'')と[[インド神話]]の[[ディヤウス]](''Dyaus'')と共通点がある。 |
さらにまた、[[ギリシャ神話]]の[[ゼウス]](''Zeus'')と[[インド神話]]の[[ディヤウス]](''Dyaus'')と共通点がある。 |
||
まず彼らの名前は、テュールの名と語源的に関係がある。 |
まず彼らの名前は、テュールの名と語源的に関係がある。 |
||
そしてトゥイストーも大地から生じたと語られている(『ゲルマニア』第2章) |
そしてトゥイストーも大地から生じたと語られている(『ゲルマニア』第2章)。 |
||
ちょうどゼウス<!--【】内が英語版にありますが調べても裏付けとれずコメントアウト【、ディヤウス】-->が[[地母神]]([[ガイア]]<!--【】内が英語版にありますが調べても裏付けとれずコメントアウト【、[[プリティヴィー]](''Prthivi'')】-->)によって生み出されたように。 |
|||
== 註 == |
== 註 == |
||
41行目: | 44行目: | ||
[http://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Tuisco&oldid=122936036 英語版Tuisco 2007-04-15 07:05 UTC の版] より翻訳。著者 [[:en:User:Esb82|Esb82]], [[:en:User:FenrisUlven|FenrisUlven]], [[:en:User:LeighvsOptimvsMaximvs|LeighvsOptimvsMaximvs]], [[:en:User:Bloodofox|Bloodofox]], [[:en:User:24.64.223.203|24.64.223.203]], 他。 |
[http://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Tuisco&oldid=122936036 英語版Tuisco 2007-04-15 07:05 UTC の版] より翻訳。著者 [[:en:User:Esb82|Esb82]], [[:en:User:FenrisUlven|FenrisUlven]], [[:en:User:LeighvsOptimvsMaximvs|LeighvsOptimvsMaximvs]], [[:en:User:Bloodofox|Bloodofox]], [[:en:User:24.64.223.203|24.64.223.203]], 他。 |
||
{{DEFAULTSORT:とういすと}} |
|||
[[Category: |
[[Category:神]] |
||
[[Category:古代ゲルマン]] |
|||
[[de:Tuisto]] |
[[de:Tuisto]] |
2007年10月16日 (火) 11:45時点における版
トゥイスコー(またはトゥイストー、トゥイストなど)(Tuisco または Tuisto)は、タキトゥスの『ゲルマニア』第2章で「すべてのゲルマン民族の祖先」として紹介される神の名である。
トゥイスコーはこの栄誉を、彼の息子マンヌス(Mannus)と共有した。
名前「トゥイスコー」の由来
ヤーコプ・グリムによると、トゥイスコーの名前とその変形した形(Thuisco、Thuiskon、Tuisco)は、神「ティウ(Tiu)」の名に由来する形容詞「tivisco」に由来するという。 その名「ティウ」とは、ゲルマン祖語では「*Tiwaz」であるが、インド・ヨーロッパ祖語における天空の神の名「*Dyeus」に由来している。そして、それに由来する形容詞は、「天使(celestial)」か「ティウの息子」のどちらも意味する可能性がある。 つまり、トゥイスコー(Tuisco)の語末の「-isk-」が「裔出」という意味だという仮定によるのだが、「ティウ(Tuiz)の後裔」を意味する場合は、ティーウィスコー(Tivisco)でなければならない。[1]
この語源説明は「Tuisco」が本来の名前であることを前提としている。実は「Tuisto」のほうは誤って筆記された名である。 しかしテキストで多く見られるのはむしろ「Tuisto」のほうである。[1]
名前「トゥイストー」の由来
より受け入れられるのは、「tvi- (数値の2)」から「Tuisto(トゥイストー)」となったという説明である。
つまりその語が現在のドイツ語のZwitter(「双生児」もしくは「陰陽両性者」)に該当すると考える説である。[1] 何人かの研究者は、これが両性具有者の存在を説明することを示唆している。 さらに仮説を進めるならば、もし両性具有だとすれば、トゥイストーは北欧神話に登場する原巨人ユミルと同一の存在であり得る。 ユミルも、1人で巨人の血統を生み出したいわば両性具有者であった。
他の推測は、トゥイストー(Tuisto)を「対立・争い・境界」を意味する他のさまざまなゲルマン語派の単語に関連づけている。それは例えば、ドイツ語の「zwist」、スウェーデン語の「tvista」、オランダ語の「twisten」などである。これらはまた、「tvi-」という語根から生じた単語である。 そして、ローマ神話における神マルス(Mars)の重要度、およびマルスがローマ建設に関わったことを、トゥイストーのそれと比較する。 ローマとその民族の父としてあげられるのは、マルスと彼の息子ロムルス(Romulus)であり、主神のユピテル(Jupiter)でない。 この比較に基づけば、「トゥイストー」は、北欧神話に登場する神テュール(Tyr)の古い時代の名前であり得る。 テュールはしばしばマルスと比較される。また、2人はともに戦争の神であると知られている。
こうして、トゥイストーは「2つの顔」あるいは「2本の掌」を意味し、我々のいる世界を構成するあらゆる正反対のものを代表している。それはたとえば、太陽と月、昼と夜、熱さと寒さ、男性と女性、その他のものである。 さらにまた、ギリシャ神話のゼウス(Zeus)とインド神話のディヤウス(Dyaus)と共通点がある。 まず彼らの名前は、テュールの名と語源的に関係がある。 そしてトゥイストーも大地から生じたと語られている(『ゲルマニア』第2章)。 ちょうどゼウスが地母神(ガイア)によって生み出されたように。
註
備考
- 語の隣の「*」は、これが再建された語であることを示す。
関連項目
英語版Tuisco 2007-04-15 07:05 UTC の版 より翻訳。著者 Esb82, FenrisUlven, LeighvsOptimvsMaximvs, Bloodofox, 24.64.223.203, 他。