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「ブレードランナー」の版間の差分

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{{Otheruses|1982年公開の映画|その他|ブレードランナー (曖昧さ回避)}}
{{Infobox Film
| 作品名 = ブレードランナー
| 原題 = {{en|Blade Runner}}
| 画像 = Blade runner logo red.jpg
| 画像サイズ = 240px
| 画像解説 =
| 監督 = [[リドリー・スコット]]
| 脚本 = [[ハンプトン・ファンチャー]]<br />[[デヴィッド・ピープルズ]]
| 原作 = [[フィリップ・K・ディック]]<br />『[[アンドロイドは電気羊の夢を見るか?]]』
| 製作 = {{仮リンク|マイケル・ディーリー|en|Michael Deeley}}<br />チャールズ・デ・ロージリカ<small>(ファイナル・カット)</small>
| 製作総指揮 = ブライアン・ケリー<br />ハンプトン・ファンチャー<br />{{仮リンク|ジェリー・ペレンチオ|en|Jerry Perenchio}}<br />[[バッド・ヨーキン]]<br />[[邵逸夫]]<small>(クレジットなし)</small>
| 出演者 = [[ハリソン・フォード]]<br />[[ルトガー・ハウアー]]<br />[[ショーン・ヤング]]<br />[[エドワード・ジェームズ・オルモス]]
| 音楽 = [[ヴァンゲリス]]
| 撮影 = [[ジョーダン・クローネンウェス]]
| 編集 = [[テリー・ローリングス]]<br />マーシャ・ナカシマ
| 製作会社 = {{仮リンク|ラッド・カンパニー|en|The Ladd Company}}<br />[[ショウ・ブラザーズ]]<br />ブレードランナー・パートナーシップ
| 配給 = {{flagicon|USA}} [[ワーナー・ブラザース]]
| 公開 = {{flagicon|USA}} [[1982年]][[6月25日]]<br />{{flagicon|JPN}} [[1982年]][[7月3日]]
| 上映時間 = 116分(劇場公開版、ディレクターズ・カット)<br />117分(ファイナル・カット)
| 製作国 = {{USA}}<br />{{HKG1959}}
| 言語 = [[英語]]
| 製作費 = $28,000,000
| 興行収入 = {{flagicon|USA}}{{flagicon|CAN}} $32,868,943<ref name="boxofficemojo">{{Cite web|url=https://www.boxofficemojo.com/release/rl2219279873/weekend/|title=Blade Runner (1982)|publisher=[[Box Office Mojo]]|language=英語 |accessdate=2010年5月7日 }}</ref>
| 前作 =
| 次作 = [[ブレードランナー 2049]]
}}
『'''ブレードランナー'''』(原題:''{{en|Blade Runner}}'')は、[[1982年の映画|1982年]]公開の[[SF映画]]。[[フィリップ・K・ディック]]の[[サイエンス・フィクション|SF小説]]『[[アンドロイドは電気羊の夢を見るか?]]』を原作としている。

== ストーリー ==
<!-- あらすじは全体が簡潔に理解できる範囲で、結末まで記述ください。参照:「Wikipedia:あらすじの書き方」「Wikipedia:ネタバレ」 -->
[[21世紀]]初頭、[[遺伝子工学]]技術の進歩により、タイレル社はロボットに代わる'''レプリカント'''と呼ばれる[[人造人間]]を発明した。彼らは優れた体力に、創造した科学者と同等の高い知性を持っていた。

[[環境問題|環境破壊]]により人類の大半は宇宙の植民地(オフワールド)に移住し、レプリカントは宇宙開拓の前線で過酷な奴隷労働や戦闘に従事していた。しかし、彼らには製造から数年経つと感情が芽生え、主人たる人間に反旗を翻す事件が発生する。そのため、最新の「ネクサス6型」には、安全装置として4年の寿命年限が与えられたが、脱走し人間社会に紛れ込もうとするレプリカントが後を絶たず、地球へ脱走した彼らは違法な存在と宣告された。そんな脱走レプリカント達を判別し見つけ出した上で「解任(抹殺)」する任務を負うのが、警察の専任捜査官「'''ブレードランナー'''」であった。

[[2019年]][[11月]]の[[ロサンゼルス]]。[[地球]]に残った人々は[[酸性雨]]の降りしきる、高層ビル群が立ち並んだ人口過密の[[メガロポリス|大都市]]での生活を強いられていた。ネクサス6型レプリカントの一団がオフワールドで反乱を起こし、人間を殺害して逃走、シャトルを奪い密かに地球に帰還した。タイレル社に入り込んで身分を書き換え、潜伏したレプリカントの男女4名('''ロイ・バッティ'''、'''リオン'''、'''ゾーラ'''、'''プリス''')を見つけ出すため、[[ロサンゼルス市警察|ロサンゼルス市警]]のブレードランナーである'''ホールデン'''が捜査にあたっていたが、リオンの反撃にあい負傷する。上司である'''ブライアント'''は'''ガフ'''を使いに出し、既にブレードランナーを退職していた'''リック・デッカード'''を呼び戻す。彼は情報を得るためレプリカントの開発者である'''タイレル博士'''と面会し、彼の秘書である'''レイチェル'''もまたレプリカントであることを見抜く。レイチェルはデッカードの自宅アパートに押しかけ問いただした結果、人間だと思っていた自分の記憶が作られたものだと知り、[[自己認識]]が揺さぶられ涙を流して飛び出してしまう。そんな彼女にデッカードは惹かれていく。

デッカードは、リオンが潜んでいたアパートの証拠物から足跡をたどり、歓楽街のバーで踊り子に扮していたゾーラを発見、追跡の末に射殺する。現場にブライアントとガフが訪れ、レイチェルがタイレル博士のもとを脱走したことを告げ、彼女も「解任」するよう命令される。その直後リオンに襲われるが、駆けつけたレイチェルが射殺した事でデッカードは命拾いする。彼はレイチェルを自宅へ招き、彼女が自分のことも「解任」するのか問うと「自分はやらないが、他の誰かがやる」と告げる。そして未経験の感情に脅えるレイチェルにキスし、熱く抱擁する。一方反逆レプリカントのリーダーであるバッティは眼球技師のチュウを脅して掴んだ情報をもとに、プリスを通じてタイレル社の技師J・F・セバスチャンに近づき、さらに彼を仲介役にして、本社ビル最上階に住むタイレル博士と対面する。バッティは地球潜入の目的である、自分たちの残り少ない寿命を伸ばすよう依頼するが、博士は技術的に不可能であり、限られた命を全うしろと告げる。絶望したバッティは博士の眼を潰して殺し、セバスチャンをも殺して姿を消す。

タイレル博士とセバスチャン殺害の報を聞いたデッカードは、セバスチャンの高層アパートへ踏み込み、部屋に潜んでいたプリスを格闘の末に射殺。そこへ戻ってきたバッティと最後の対決に臨む。優れた戦闘能力を持つバッティに追い立てられ、デッカードはアパートの屋上へ逃れ、隣のビルへ飛び移ろうとして転落寸前となる。しかし、寿命の到来を悟ったバッティは突如デッカードを救い上げ、最期の言葉を述べた後、穏やかな笑みを浮かべながら事切れた。現場に現れたガフが不穏な言葉を告げ、デッカードはレイチェルにも同じ運命が待っているのではないかと慌てて自宅へ戻るが、彼女は生きていた。デッカードはレイチェルを連れ出し、逃避行へと旅立った。

== 登場人物・キャスト ==
; リック・デッカード(Rick Deckard)
: 演 - [[ハリソン・フォード]]
: 本作の主人公。「殺し屋」としての仕事に疲れ果て、ブレードランナーを退職していたが、捜査のため強制的に復職させられる。
; ロイ・バッティ<ref group="注釈">原作小説の邦訳(浅倉久志訳)では「ベイティー」と表記されている。</ref>(Roy Batty)
: 演 - [[ルトガー・ハウアー]]
: 反逆レプリカントのリーダー。戦闘用レプリカント。製造番号:N6MMA10816。
; レイチェル(Rachael)
: 演 - [[ショーン・ヤング]]
: 本作のヒロイン。タイレル博士の秘書で、彼の姪としての記憶を移植されているレプリカント。
; ガフ(Gaff)
: 演 - [[エドワード・ジェームズ・オルモス]]
: ロサンゼルス市警の刑事。「シティスピーク(Cityspeak)」という、[[日本語]]や[[ハンガリー語]]などが混じり合った[[クレオール言語]]を喋る。また[[折り紙]]を折る手癖がある。
; ハリイ・ブライアント(Harry Bryant)
: 演 - [[M・エメット・ウォルシュ]]
: ロサンゼルス市警警部。ブレードランナーの統括者で、デッカードを脅すようなかたちで復職させる。レプリカントを「人間もどき(skin-job)」と呼び侮蔑する。
; プリス・ストラットン(Pris Stratton)
: 演 - [[ダリル・ハンナ]]
: [[セクサロイド|慰安用]]レプリカント。バッティのパートナーで、彼の計画によりセバスチャンに接触する。製造番号:N6FAB21416。
; J・F・セバスチャン(J. F. Sebastian)
: 演 - [[ウィリアム・サンダーソン]]
: タイレル社の[[遺伝子工学]]技師。[[早老症]]に侵されており、実年齢より老いた外見をしている。自宅アパートで自身が造り出した「ペット」と共に暮らしている。
; リオン・コワルスキー(Leon Kowalski)
: 演 - [[ブライオン・ジェームズ]]
: 労働用レプリカント。元は[[放射性廃棄物]]の運搬作業に従事しており、怪力の持ち主。製造番号:N6MAC41717。
; エルドン・タイレル博士(Dr. Eldon Tyrell)
: 演 - [[ジョー・ターケル]]
: タイレル社社長。レプリカントを生んだ科学者で[[チェス]]の名手。
; ゾーラ・サロメ(Zhora Salome)
: 演 - [[ジョアンナ・キャシディ]]
: 女性レプリカント。暗殺用に再プログラミングされている。ルイスのバーにダンサーとして潜伏していた。製造番号:N6FAB61216。
; ハンニバル・チュウ(Hannibal Chew)
: 演 - [[ジェームズ・ホン]]
: 遺伝子工学者。タイレル社に雇われ、レプリカントの眼球を製作している。
; デイヴ・ホールデン(Dave Holden)
: 演 - {{仮リンク|モーガン・ポール|en|Morgan Paull}}
: ブレードランナー。リオンを取り調べ中に銃撃される<ref group="注釈">ホールデンは映画制作上は死亡していないが、そのことがわかるシーンが削除されてしまったため(「[[#没シーン]]」参照)、作品を紹介する際には「リオンに撃たれて死亡した」という扱いにされていることが多い。劇中には、彼が医療機器に繋がれた重体であることを伝えるブライアントの台詞があるが、彼が死んだかのように訳されている日本語版もある。</ref>。
; タフィー・ルイス(Taffey Lewis)
: 演 - {{仮リンク|ハイ・パイク|en|Hy Pyke}}
: ゾーラが潜伏していたバーの経営者。デッカードの尋問を受け流した。
; カンボジア女性(Canbodian Lady)
: 演 - キミコ・ヒロシゲ
: ロサンゼルスの路上で商売をしている女。鱗の証拠物を調べ、合成ヘビであることをデッカードに伝えた。
; ハウイー・リー(Howie Lee)
: 演 - ロバート・オカザキ
: 下町のスシバーの主人。
; アブドゥル・ベン・ハッサン(Abdul Ben Hassan)
: 演 - ベン・アスター(劇場公開版ではクレジットなし)
: 合成動物を販売している商人。ゾーラに合成ヘビを販売した。

[[File:Blade_Runner_-_4768124514.jpg|thumb|left|260px|[[シアトル]]の{{仮リンク|SF博物館|en|Museum of Pop Culture#Science Fiction Museum}}(Science Fiction Museum & Hall of Fame)に収蔵・展示されている、作中で使用された衣装<br />セバスチャンの衣装(左)レイチェルのドレス(中)ゾーラのレインコート(後列右)]]
{{-}}

== 内容解説 ==
{{仮リンク|ネオ・ノワール|en|Neo-noir}}を基調とした暗く退廃的な近未来のビジュアルは、公開当初こそ人気を得なかったものの、後発のSF作品に大きな影響を与え、所謂「[[サイバーパンク]]」の代表作の一つと見なされている。[[シド・ミード]]の美術デザイン、[[ダグラス・トランブル]]の[[VFX]]、[[ヴァンゲリス]]の[[シンセサイザー]]を効果的に使用した音楽も独自の世界観の確立に貢献した。

レイチェル役の[[ショーン・ヤング]]、プリス役の[[ダリル・ハンナ]]も本作をきっかけに注目されるようになった。

作中の風景に日本語が多く描かれている理由は、リドリー・スコットが来日した際に訪れた[[新宿]][[歌舞伎町]]の様子をヒントにしたとされている。このことが日本人観客の興味をひくことになり、これらのシーンへのオマージュ・議論が生まれることになった。また、リドリー・スコットは都市の外観は[[香港]]をモデルにしていることを述べている<ref>Wheale, Nigel (1995), The Postmodern Arts: An Introductory Reader, Routledge, p. 107, ISBN 978-0-415-07776-7, retrieved July 27, 2011</ref>。なお、香港の[[ショウ・ブラザーズ]]が制作費の大半を出資したために本作は事実上アメリカ・香港合作であり<ref>Bukatman, Scott (1997), BFI Modern Classics: Blade Runner, London: British Film Institute, ISBN 978-0-85170-623-8 pp. 18–19</ref><ref>Sammon, Paul M. (1996), Future Noir: the Making of Blade Runner, London: Orion Media, ISBN 978-0-06-105314-6 pp. 64–67</ref><ref>{{cite web|url=https://www.scmp.com/lifestyle/entertainment/article/3039971/blade-runner-2019-what-did-it-get-right-about-hong-kong|title=Blade Runner in 2019 – what did it get right about Hong Kong life today and how great was its influence on science fiction?|publisher=[[サウスチャイナ・モーニング・ポスト]]|date=2019-12-01|accessdate=2019-12-02}}</ref>、ショウ・ブラザーズの創設者である[[邵逸夫]]は本作で製作総指揮にクレジットされている。

[[1993年]]に[[アメリカ国立フィルム登録簿]]に永久保存登録された。[[2007年]]、[[視覚効果協会]]が発表した「[[視覚効果]]面で最も影響力がある50本の映画」で第2位にランクインした<ref>[https://web.archive.org/web/20110106231539/http://www.visualeffectssociety.com/system/files/15/files/ves50revelfin.pdf]</ref>。[[2014年]]、イギリスの情報誌『{{仮リンク|タイム・アウト|en|Time Out (magazine)}}』ロンドン版にて[[アルフォンソ・キュアロン]]、[[ジョン・カーペンター]]、[[ギレルモ・デル・トロ]]、[[エドガー・ライト]]ら映画監督、作家の[[スティーヴン・キング]]、ほか科学者や評論家150名が選定した「SF映画ベスト100」にて、第2位にランクインした<ref>[https://www.timeout.com/london/film/the-100-best-sci-fi-movies#tab_panel_10 The 100 best sci-fi movies - Time Out London]</ref>。

=== 原作 ===
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』とは設定や登場人物、物語の展開、結末などが翻案により大きく異なっており、原作というよりは原案に近い扱いである。

[[1968年]]の原作発表後から程なくして、いくつかの映画化交渉が持ち上がったが、いずれも不成立に終わっていた。[[1975年]]、[[ハンプトン・ファンチャー]]は作者の[[フィリップ・K・ディック]]との交渉を行ったものの成立せず、友人のブライアン・ケリーが交渉にあたり、[[1977年]]に承諾を取り付けた。ディック自身は制作会社に映画化権を売った後は関与していないが、ファンチャーが書き上げた草稿に彼は良い返事を出さず、何度も改稿が行われた。撮影開始後も映画の出来を不安視し、ノベライズ版の執筆も断っていたが、2019年のロサンゼルスを描いた[[VFX]]シーンの[[ラッシュプリント|ラッシュ]]試写を観て「まさに私が想像したとおりものだ!」と喜んだという。監督のリドリー・スコットは、就任にあたって全く原作を読んでいなかったが、作品の世界観についてディックと何度も議論を交わしたことで、彼は映画の出来に確信を持つようになり、制作会社に「我々の"SFとは何であるか"という概念にとって革命的な作品となるだろう」と期待の手紙を送っている<ref>[https://archive.is/20120604141632/http://www.philipkdick.com/new_letters-laddcompany.html Philip K. Dick - Letter regarding Blade Runner](archive.isによる2012年6月4日分キャッシュ)</ref>。本作は『[[トータル・リコール]]』や『[[マイノリティ・リポート]]』に先立つ、ディック作品の初映画化となったが、本人は完成を待たず1982年3月2日に死去した。

=== 「ブレードランナー」と「レプリカント」 ===
本作に登場する「ブレードランナー」と「レプリカント」は、原作には登場しない映画オリジナル用語である。

「ブレードランナー」という名称は、SF作家[[アラン・E・ナース]]の小説『The Bladerunner』(1974年)において「非合法医療器具(blade)の運び屋(runner)」という意味で登場する。この小説を元に[[ウィリアム・S・バロウズ]]は映画化用の翻案として『Blade Runner (a movie)<ref group="注釈">初版時は『Blade Runner (a movie)』であったが、1980年代の再版で『Blade Runner, a movie』と表記されるようになった。</ref>』(1979年、訳題『[[映画:ブレードランナー]]』)を執筆した。関連書籍『メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット』記載のスコットのインタビューによれば、本作の制作陣はデッカードにふさわしい職業名を探すうちにバロウズの小説を見つけ<ref group="注釈">シナリオの初稿を書いた[[ハンプトン・ファンチャー]]はバロウズのファンであった。</ref>、本のタイトルのみを借り受けることに決めたという。いずれの小説も物語自体は、ディックの原作および映画とも全く関連はないが、作品タイトルとするにあたり、ナースとバロウズに使用権料を払い、エンドクレジットに謝辞を記している。なお初期タイトルは『デンジャラス・デイズ(Dangerous Days)』であった(このタイトルは後にメイキング・ドキュメンタリーのタイトルに使用されている)。

「レプリカント(replicant)」という名称については、原作の「アンドロイド」が機械を連想させることと、観客に先入観を持たれたくないと考えたスコットが、ファンチャーに代わって起用した脚本の[[デヴィッド・ピープルズ]]に別の名前を考えるように依頼。[[生化学]]を学んでいた娘から[[クローン]]技術の「レプリケーション(細胞複製)」という用語を教わり、そこから「レプリカント」という言葉を創造した<ref>[[町山智浩]]『ブレードランナーの未来世紀』p.232</ref>。以降、(創作における)人造人間を指す用語として辞書にも掲載されるなど、定着している<ref>{{Cite book|洋書|author=Angus Stevenson編|title=The Oxford Dictionary of English (3rd Revised)|year=2010|publisher=Oxford University Press|isbn=978-0-19957-11-23|page=}}</ref>。

=== フォークト=カンプフ検査 ===
「フォークト=カンプフ(Voight-Kampff{{refnest|group="注釈"|name="VK"|原作小説では「Voigt-Kampff」という綴りになっている。<br />なお、原作の『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の日本語訳(訳:[[浅倉久志]])では「フォークト=カンプフ」、映画の日本語字幕では「VKテスト」と表記されている。<br />日本における他の表記としては「'''フォクト'''=カンプフ」「'''ヴォークト'''=カンプフ」、また劇中での発音に近い「ヴォイト=カンプ」等がある。}})」検査は人間とレプリカントを区別するための架空の検査法で、そのための唯一の方法である。この時代に生きる人間の感情を大きく揺さぶるような質問を繰り返し、それに対して起きる肉体的反応を計測することで、対象が人間かレプリカントであるかを判別することができる、とされている。

検査は専用の分析装置を用いることによって行われ、装置は本体に黒い大きな[[蛇腹]]状のパーツと数種類のモニタを備え、本体から伸びる伸縮式のアームの先には反射鏡式光学照準装置のようなものが取り付けられている。アーム先端の装置には[[虹彩]]を計測するビデオカメラを内蔵しており、収縮する蛇腹状のパーツは「対象者の身体表面より発散される粒子を収集するための装置」である<ref name="MOB_p128129" />。

劇中では、リオンとレイチェルがこれによりテストを受けているシーンがあり、デッカードとタイレルの会話において、レプリカントであるか否かを判定するためには通常2~30項目の質問が必要になる、と述べられているが、レイチェルがレプリカントであることを判定するには100項目以上の質問が必要であった。この描写から、質問項目に対する反応は「自分がレプリカントという自覚があるかどうか」に大きく左右されること、「記憶」の内容(レプリカントの場合は記憶として「移植」されたものの内容)によっては、レプリカントであるか否かの判定が容易には行えなくなり、テストの正確性が大きく揺らぐことがわかる<ref group="注釈">これは原作の重要なテーマである「“人間らしさ”を絶対的に判定する方法など存在するのか?」「人間とレプリカントの決定的な違いとは何なのか?」に関連しているが、このシーンのみでは「レイチェルは特別なレプリカントである」という以上のことを読解することは難しくなっている。</ref>。

=== 時代設定 ===
撮影中の脚本やスケジュールの変更、単純なミスなどにより、劇中では整合性のとれない箇所がいくつかみられる。当初、本作の年代設定は2020年だった。しかし、英語において「Twenty-Twenty」が[[視力検査]]で少数視力でいうところの1.0を表す言葉でもあるため、混同を避けるため、2019年に舞台が変更された。そのため登場するレプリカントの寿命に1年のズレがあるという矛盾が生じたが、気付かれずにそのまま撮影されてしまった。

=== 6人目のレプリカント ===
ミスの中で生まれたものとして有名なのが「6人目のレプリカントはどこに行ったのか?」という問題である。警察署のシーンでブライアントは、地球に侵入したレプリカントは「男3人、女3人の計6名」であり、「うち1名は既に死亡している」と説明している。残りは5名となるはずだが、彼は「4名が潜伏中」と言い、劇中でもそれしか登場しない。

ファンチャーの脚本では5人目のレプリカント「ホッジ」と6人目の「メアリー」が設定されており、後者については配役も決まっていたが({{仮リンク|ステーシー・ネルキン|en|Stacey_Nelkin}}が演じる予定だった)、予算の都合で撮影されなかった。しかし、[[ポストプロダクション]]で台詞の差し替えをしなかったため、ブライアントの説明に矛盾が生じる結果となった。その後、彼の台詞は『ファイナル・カット』において「2名が既に死亡」に修整された。

続編として発表された小説『ブレードランナー2 レプリカントの墓標』は、この6人目のレプリカントに関する物語になっている。また、当初はタイレル博士もレプリカントだという設定だった(後述)。

=== デッカードは何者なのか ===
上述の6人目のレプリカント問題に関して、「6人目とはデッカード自身ではないのか?」という考察が生まれたが、これは実際は制作上のミスによるもので、意図的な表現では無い。
スコット自身は「デッカード=レプリカント」というアイデアを撮影中に気に入り<ref>"The Blade Cuts" ''[[:en:Starburst (magazine)|Starburst]]'', No.51 (Nov.1982), p.29</ref>、それを示唆する表現である「デッカードが見る[[ユニコーン]]の夢」のシーンを撮影作業終盤に撮影し<ref group="注釈">『[[レジェンド/光と闇の伝説]]』用の映像を流用したとする説があるが、誤りである。ドキュメンタリー『デンジャラス・デイズ:メイキング・オブ・ブレードランナー』内の映りこんだ[[カチンコ]]によって、このシーンは本作用に1981年10月15日に撮影されたことが確認出来る。</ref>、劇場公開版に入れようとした。しかし当時のプロデューサー達は「芸術的すぎる」と拒否した。

このシーンは『ディレクターズ・カット』において初めて追加され、ラストシーンのガフが作ったユニコーンの[[折り紙]]と結びつくことによって、「デッカードの夢の内容が知られている=彼の記憶は作られたものである=デッカードもレプリカントである」という可能性を示唆した。スコット自身は、2000年に[[イギリス]]の[[チャンネル4|Channel 4 Television]]が制作したドキュメンタリー『ON THE EDGE OF BLADE RUNNER』のインタビューにおいて「デッカードはレプリカントだ」と明言している。また、『メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット』掲載のインタビューでは他のヒント(家族写真やデッカードの[[赤目現象]]シーン)も挙げた上で、より人間に近いネクサス7型レプリカントというアイデアを示唆している。また[[オーディオコメンタリー]]においては、「続編は無い」とした上で「もし続編があれば、デッカードをレプリカントにしようと思った」とも語っていた。しかし2017年の4K ULTRA HD版収録の、[[オーディオコメンタリー]]においては「続編を作りたい」と語り、またラストシーンについては「デッカードとレイチェルがネクサス7型や8型なら生き延びたろうね」とも述べている。

ただしスコットの見解に対する関係者の意見は様々である。フォードは、観客はデッカードを応援したいはずだという理由で、レプリカントであるということを否定している。デッカードがレプリカントというアイデアは撮影途中でスコットが思いついたことで、当初はそのように考えて撮影されていなかったという説もある<ref group="注釈">デヴィッド・ピープルズが脚本に、デッカードの独白として「バッティと私は兄弟だったのだ」という台詞を挿入したのを見たスコットは、デッカードがレプリカントだとする設定に感銘を受けたが、彼は「あくまでデッカードの独白は比喩的なもので、本当に兄弟であることを示しているわけではなかった」と考えていたとされる。</ref>。

以上のように諸々の経緯はあるが、「デッカード=レプリカント説」を断定出来るような描写はどの版の劇中にも存在しない。

=== ハリソン・フォード ===
フォードは、この映画については長年否定的であった。これは、興行的に失敗したことの他に、撮影が一旦終了したにも拘らず、何度も追加撮影のために呼ばれたのに我慢ができなくなったことによるという。

また、レイチェル役のショーン・ヤングが、撮影中にフォードから乱暴に扱われたという理由で、不仲のまま撮影が行われたという経緯がある<ref group="注釈">ドキュメンタリー『デンジャラス・デイズ:メイキング・オブ・ブレードランナー』の中で、ハリソン自身もそのことについて触れている。</ref>。ディレクターズ・カットが公開された[[1992年]]には、「デッカード=レプリカント説」をめぐってスコットと揉めたこともあった。こうした経緯があり、長い間作品の事を語りたがらなかった。しかしある時期からは「本作以降出演作を自由に選べるようになった」と述べるなど、態度を軟化させるようになり、積極的ではないがインタビュー等にも答えている<ref group="注釈">『メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット』に収録されている(付録:10)「デッカードは語る ハリソン・フォード: インタビュー」(p.589-615)</ref>。その後、続編となる『[[ブレードランナー 2049]]』への出演も快諾した。

== 演出 ==
映画『[[エイリアン (映画)|エイリアン]]』のSEや、救命艇ナルキッソス号が母船ノストロモ号から切り離される際のシークエンスで表示されるモニター画像をさりげなく挿入するなど、スコットのお遊びが散見される。
ディックの小説『高い城の男』の世界観(枢軸国が勝利した世界)が想定されている可能性がある。

レプリカントのリーダー、バッティ<ref group="注釈">原作小説の邦訳(浅倉久志:訳)では、「ベイティー」と表記されている。</ref>役の[[ルトガー・ハウアー]]は人造人間の狂気と悲哀を好演した。ラストの独白シーンの台詞や演出は、本来の台本が長すぎると感じた彼が撮影時に提案したアドリブであった。

ロサンゼルスの街にさまざまな人種が入り乱れて生活する様子を描写するため、日本語をはじめとする多国語の看板、日本語を話す店主が切り盛りする露店、日本語による話し声が多用されている。また、「ふたつで十分ですよ」とハリソン・フォードとやりとりしている寿司屋の主人ハウイー・リーは、ロバート・オカザキという[[日系アメリカ人]]俳優である<ref>[https://www.imdb.com/name/nm0645565/ Bob Okazaki (1902–1985)] IMDb</ref><ref group="注釈">オカザキは[[1969年]]のテレビドラマ『THE F.B.I.』で、当時はまだ有名になる前のハリソン・フォードと共演している。</ref>。以下に代表的なものを挙げる。

* 「強力わかもと」「゜コ゛ルフ月品{{sic}}」「日本の料理」など日本語の看板、ネオンサイン、壁面の落書き。
* デッカードが屋台で日本語を話す店主にメニューを注文する際のやりとり。
* デッカードを連れ去るパトカー(エアカー)のドアに漢字で『警察995』の正式表示。
* いくつかのシーンで、シチュエーションに合わない日本語のガヤ(雑踏での台詞)が繰り返し使用。
<!-- 本項の修正に関わりたい方へ。[[ノート:ブレードランナー#ロケーション他の項について]]にご参加ください -->

== デザイン ==
監督のリドリー・スコットはSFホラー『[[エイリアン (映画)|エイリアン]]』(1979年)に次ぐSF作品となる本作でも、卓越した映像センスを発揮した。従来のSF映画にありがちだったクリーンでハイテクな未来都市のイメージを打ち破り、環境汚染にまみれた酸性雨の降りしきる、退廃的な近未来の大都市を描いた。これは、シナリオ初稿を書いた、[[ハンプトン・ファンチャー]]が、[[フランス]]の漫画家[[ジャン・ジロー|メビウス]]が描いた[[バンド・デシネ]]短編作品『ロング・トゥモロー』(原作は『エイリアン』の脚本家[[ダン・オバノン]])での、「混沌とした未来社会での[[フィリップ・マーロウ]]的な探偵の物語」をイメージしていたためだった。

劇中の無国籍で混沌としたロサンゼルスのイメージは、メビウスの作品そのものである{{refnest|group="注釈"|町山智浩は「このメビウスの短編こそ、スコットにとっての、この映画の原作である。なぜなら、彼はディックの原作を一度も読んでいないのだから」と主張している<ref>[[町山智浩]]『ブレードランナーの未来世紀』p.229-p.230</ref>。<br />なお、スコットは、この映画のスタッフとしてメビウスの参加を熱望したが、彼は当時、アニメーション『{{仮リンク|時の支配者|fr|Les_Maîtres_du_temps}}』(原題:''{{lang|fr|Les Maîtres du temps}}'')の作業に携わっており、衣装デザインのみの参加となった。}}。また、インタビューでは度々[[エンキ・ビラル]]の作品の世界観を参考にしたとの発言が出ている。

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ファイル:Tyrell_Building.jpg|撮影に使用されたタイレル社本社ビルのミニチュア(前面部分の一部)<br />[[ニューヨーク]]、[[クイーンズ区]]アストリアの動画博物館(Museum of the Moving Image)[[:en:Museum_of_Science_Fiction|(英語版)]]の展示品<br />(2019年4月17日撮影)
|作中で用いられた広告[[飛行船]]のミニチュア<br />[[カリフォルニア州]][[バーバンク (カリフォルニア州)|バーバンク]]の[[ワーナー・ブラザース]]・スタジオの展示品<br />(2017年8月18日撮影)
</gallery>

=== シド・ミード ===
本作を特徴づけているものの一つが、「ビジュアル・フューチャリスト」こと[[シド・ミード]]による一連のデザインである。

ミードは最初は作品に登場する車両のデザイナーとして着目され、起用された。1979年に出版された個人画集の中の1枚である「雨の降る未来の高速道路の情景」に目を留めたリドリー・スコットが、作中に登場する未来の自動車のデザインを依頼したことがきっかけであった<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.97</ref>。

当初はミードは車両のみを担当する予定であったが、ミードは自身のデザインに対する姿勢として「工業製品は、それが使用される状況や環境とセットでデザインされなければならない」というポリシーを持っており、「未来の乗用車」のカラーイラストの背景に描かれた未来都市のイメージに魅了されたスコットは、車両以外にも室内インテリア、未来の銃、パーキングメーター、ショーウィンドー等のセットや小道具のデザインを依頼し、さらに建築、都市の外観、列車や駅、コンピュータ等のインターフェースに至る、作中に登場するありとあらゆる工業製品のデザインを依頼した<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.98-101</ref><ref group="注釈">これらのデザイン画は『Blade Runner Sketchbook』に収録されている。</ref>。

ただし、ミードが本作のためにデザインしたものが全て劇中で使われたわけではなく、幾つかのものはスコットにより「未来的にすぎる」という理由で却下されている<ref name="MoB_p144">『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.144</ref>。未来の銃(後述「[[#デッカードブラスター]]」参照)や、医療用のカプセル型ベッド(後述「[[#没シーン]]」参照)等である。

=== フォークト=カンプフ・マシン ===
フォークト=カンプフ・マシン<ref group="注釈" name="VK" />は、対象がレプリカントであるかどうかを判断するためにブレードランナーが使用する一種の[[ポリグラフ]]([[嘘発見器]])で、呼吸などの身体機能を測定し、毛細血管の膨張による血流の増大や、質問に対しての心拍数および眼球運動を測定して判定する装置である<ref name="MOB_p128129">『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.128-129</ref>。

1982年、初公開時のプレスキットの説明には
{{Quotation|非常に高度な形態の嘘発見器の一種で、虹彩の筋肉の収縮と、身体から放出される目に見えない浮遊粒子の存在を測定する。<br />稼働するベローズは後者の機能のために設計され、機械に不吉な昆虫のような印象を与えます。<br />主にブレードランナーによって使用され、慎重に選定された言葉で質問することにより対象の共感反応の程度を測定することで、容疑者が本当に人間であるかどうかを判断します。}}
とある。

[[File:Smell_Fear_(3043373242).jpg|thumb|240px|シド・ミードによるフォークト=カンプフ・マシンのデザイン画]]
スコットはこの検査装置をデザインするにあたり、「ハイテク機器のようには見えない」「対象者を威嚇するような感じに」「デリケートな装置に見えるように」という要望を出した<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.128</ref>。ミードは彼の出した要望に対して、「自室の机の上のライトに大きな[[タランチュラ]]が取り付いている」というビジュアルイメージを思い浮かび、そのイメージに従って、見た者に「生きているような感じ」を与えられるものをデザインした<ref name="MOB_p129">『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.129</ref>。デザインの意図としては「視線を合わせられ続けることの威圧感」「機械が呼吸しているように見えることへの気持ち悪さ」を感じさせることを念頭に置いている<ref name="MOB_p129" />。

なお、プロップとして製作された装置にはカメラ機能はなく、モニターには実際にそのシーンで「検査」されている俳優の瞳が映っているわけではない。俳優たちの瞳のクローズアップも撮影されたが、モニタに当たる部分に投影されているのは、科学教育用フィルムの素材提供会社より調達された別人の瞳の映像である<ref name="MOB_p129" />(そのため、レイチェル役のヤングは瞳がブラウンであるにも関わらず、モニターではグリーンに映っている)。
{{-}}
=== フューチャーカー ===
[[画像:Blade_Runner_Police_Car_(4957139342).jpg|thumb|220px|[[フロリダ州]]の{{仮リンク|アメリカ警察殿堂博物館|en|American Police Hall of Fame & Museum}}(American Police Hall of Fame&Museum)に展示されている“デッカード・セダン”<br />(2010年9月4日撮影)]]
前述のように、ミードは当初「カーデザイナー」として起用された。彼の描いたコンセプトデザイン<ref>『Blade Runner Sketchbook』p.5-16。</ref>は、カスタムカーデザイナーの{{仮リンク|ジーン・ウィンフィールド|en|Gene_Winfield}}によって、デッカードの乗るセダンやセバスチャンの乗る[[バン (自動車)|バン]]{{refnest|group="注釈"|この左右非対称の奇妙な車には、デザインしたシド・ミードによって“アルマジロ・ヴァン”の名前がつけられていた<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.162。</ref>}}など、[[セダン]]タイプのものから[[コンパクトカー]]タイプのものなど、25種類に及ぶ各種の車両にリファインされた<ref>{{Citation|url=http://media.bladezone.com/contents/film/interviews/gene-winfield/|publisher=Bladezone|title=BladeZone's Gary Willoughby has a One on One chat with Gene Winfield, the builder of the full size cars and spinners from the classic film Blade Runner.|last=Willoughby|first=Gary|accessdate=July 27,2011|archiveurl=https://web.archive.org/web/20130927020356/http://media.bladezone.com/contents/film/interviews/gene-winfield/|archivedate=September 27, 2013}}</ref>。当初は57台が製作される予定で<ref group="注釈">『メイキング・オブ・ブレードランナー』では「57台」とされているが、後に『メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット』に改めて収録された部分(「甦るフライング・スピナー」p.427-)では、「54台」となっている。</ref>、予算と製作期間の問題から台数は半分の25台に減らされたが、納入前に工房で火災が発生して2台が焼失し、最終的には23台が納品された<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット』p.429</ref><ref group="注釈" name="MOB-FC_p121124_427437">これら劇中に登場した車両群については、『メイキング・オブ・ブレードランナー』および『メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット』の「近未来都市リドリーヴィル」(p.121-124)、「甦るフライング・スピナー」(p.427-437)の項に詳しい。</ref>。

この他、撮影所の倉庫の隅に保管されていた1960年代の中古車があり、それらは他の映画の撮影に際して様々な装飾が施されていたものだが、これらも「エキストラ」として渋滞の列に並ぶ車として用いられている<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.122</ref><ref group="注釈">これらのうち車種が明確に判別できるものとしては、[[ゼネラルモータース|GM]]社製の[[:en:GM "old-look" transit bus|バス]]、[[クライスラー]][[インペリアル (自動車)#1960 - 1963.E5.B9.B4|インペリアル 1960年式]]がある。</ref>。

==== スピナー ====
「スピナー(Spinner)」は、劇中に登場する架空の飛行車の総称である。

通常の[[自動車]]と同じく、地上を走行することができるだけではなく、垂直に[[離着陸]]することができ、[[垂直離着陸機]]と同様の[[ジェットエンジン|ジェット推進装置]]を使用して浮上し、そのまま空中を飛行することができる。作中では主に[[警察]]が[[パトロールカー|パトカー]]として使用しているが、裕福な人々はスピナーのライセンスを取得することができる、と設定されており<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.100</ref>、警察用以外にも複数種類のスピナーが登場する<ref group="注釈" name="MOB-FC_p138139_262265_427437">映画『ブレードランナー』を代表するメカニクスでもあるこの「スピナー」については、『メイキング・オブ・ブレードランナー』および『メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット』の「スピナー発進」(p.138-139)、「スピナー、警察本部へ」(p.262-265)、「甦るフライング・スピナー」(p.427-437)の項に詳しい。</ref>。

この架空の車両は、ミードによって「揚力を得るために空気を直接下方に噴射することによって飛行する」機構を持つ、という「エアロダイン(Aerodyne)」という名称のメカニクスとして考案され、デザインされた(ただし、映画公開時の広報用資料では、スピナーは「従来の[[内燃機関]]、[[ジェットエンジン]]に加え、[[反重力]]エンジンという3つのエンジンによって推進されている」と記述されている<ref name="SJPSTop40">{{citation|title=The top 40 cars from feature films: 30. POLICE SPINNER|url=http://www.screenjunkies.com/movies/movie-news/the-top-40-cars-from-feature-films-30-26/|publisher=ScreenJunkies.com|accessdate=July 27, 2011|date=March 30, 2010|quote=though press kits for the film stated that the spinner was propelled by three engines: "conventional internal combustion, jet and anti-gravity".|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140404023133/http://www.screenjunkies.com/movies/movie-news/the-top-40-cars-from-feature-films-30-26/|archivedate=April 4, 2014}}</ref>)。

===== ポリススピナー =====
作中に登場したスピナーのうち、パトカーとして登場したものは“ポリススピナー”と通称されており、「映画『ブレードランナー』に登場した架空のメカニクス」としての“スピナー”といった場合、まずこれを指すことが多い。

ポリススピナーは各種サイズの複数のミニチュアと実物大の[[プロップ]]([[劇用車]])が4台製作された<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.138</ref>。なお、スピナーには左側面にレーザーガンとの設定がある武装が装備されたタイプがあるが(シド・ミードによるコンセプトデザインにも描かれている<ref>『Blade Runner Sketchbook』p.14</ref>)、この通称“レーザースピナー”はミニチュアモデルしか製作されていない<ref>[https://macky2019.exblog.jp/19992433/ ブレードランナーとかをボチボチ>レーザースピナーについて|by macky2019] 2017年4月4日閲覧。</ref>。

4台の実物大プロップの製作は「空を飛ばない」自動車と同じくジーン・ウィンフィールドと彼のチームが担当した。4台の内訳は、[[フォルクスワーゲン・ビートル]]のシャーシとエンジンを流用して作られた、実際に自走できる劇用車が2台、車内とコクピット周辺のみが製作された、車内シーンの撮影用モデルが1台、軽量[[アルミニウム]]で製作され、ジェット噴射のギミックが内蔵されているが自走能力はなく、[[クレーン]]で吊り下げて低空飛行および離着陸シーンを撮影するために用いられた、通称“フライングスピナー”が1台である。なお、車内シーン用のモデルはスピナーの他“デッカードセダン”の車内としても使用された<ref>『ブレードランナー』p.430-431</ref>。

映画の撮影が終了した後、これらのプロップは映画の宣伝に使用され<ref group="注釈">[[1992年]]の『ブレードランナー ディレクターズ・カット』の劇場公開に際してもプロモーションの一環として展示公開され、[[1993年]]の日本公開の際には日本でも展示されている。</ref>、その後は他のSF映画に使用された<ref group="注釈">そのうち最も有名なものは、[[1989年]]に公開された『[[バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2]]』である。</ref>後に処分・売却された。<br />
自走可能なプロップのうち1台はパトロールカー・セダンと共に[[フロリダ州]][[オーランド]]の[[ディズニー・ハリウッド・スタジオ|MGMスタジオ]]で屋外展示品とされ<ref group="注釈">MGMスタジオのバックヤードに展示されていた実物大ポリススピナーの画像[https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Spinner3.jpg]</ref>、劣化が進んだこともあり、1990年代の末に処分された<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット』p.431</ref>。自走可能なプロップのもう1台は、映画撮影用車両会社の間を転々とした後、1990年代初頭にオークションへの出品を経て日本のコレクターに売却された<ref name="MOBFC_p432">『メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット』p.432</ref>。この車両は『ブレードランナー』撮影後に他の映画の撮影に用いられた際に塗装や細部に変更が加えられているが、オリジナルの状態を比較的保った形で現存している<ref name="eh_2019_06_spinner">『[[映画秘宝]]』2019年6月号「世界初公開!『ブレードランナー』スピナー、完全復元写真館!!」 p.30-33</ref>。個人蔵ということもあり、時折『ブレードランナー』関連のイベント等に展示される(一部のパーツのみが展示された例もある)他には一般公開はされておらず、「ポリススピナーの実物大プロップのうち1台が日本に現存している」とマニアの間で語られるのみの存在となっていたが、[[2017年]]よりは後述の“フライング・スピナー”同様にプロップを製作したウィンフィールドを交えたレストアの計画が進められ、[[2019年]]に入りメディアに現存が公表され、その詳細が紹介されている<ref name="eh_2019_06_spinner" /><ref>[https://www.cinematoday.jp/news/N0108281 シネマトゥディ|2019年4月20日|『ブレードランナー』撮影使用のポリススピナーが日本に!レストア進行中 - 映画秘宝]</ref>。

飛行シーン撮影用の“フライング・スピナー”は1990年代初頭に「デッカード・セダン」と共に[[フロリダ州]]の{{仮リンク|アメリカ警察殿堂博物館|en|American Police Hall of Fame & Museum}}(American Police Hall of Fame & Museum)に売却されたが、1992年、輸送中に大破し、部品状態で売却された。その後は不完全な修理が施されたまま宣伝用の展示品とされ、1999年には再び売却された<ref name="MOBFC_p432" />。<br />
21世紀に入り、[[2003年]][[12月12日]]に開催された[[オークション]]に出展され、[[マイクロソフト]]の創設者の一人、[[ポール・アレン]]が落札した。落札時にはオリジナルの状態を大きく損っていたが、ウィンフィールドの工房にレストアが依頼され、[[2004年]][[6月]]に完了、アレンが開設した[[シアトル]]の{{仮リンク|SF博物館|en|Museum of Pop Culture#Science Fiction Museum}}(Science Fiction Museum & Hall of Fame)に搬入され<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット』p.433-437</ref>、同博物館の目玉展示品の一つとして常設展示されている<ref>{{citation|url=http://www.empsfm.org/documents/press/EMPSFMBrochure.pdf |publisher=Science Fiction Museum and Hall of Fame |title=EMPSFM Brochure |archiveurl=https://web.archive.org/web/20110124232804/http://www.empsfm.org/documents/press/EMPSFMBrochure.pdf |archivedate=January 24, 2011|deadurl=yes}}</ref><ref name="SFM_01">[https://blog.goo.ne.jp/derra/e/2e697cc78989019a434f957bb58a490b 一人暮らし男の食生活! 2010年7月8日「サイエンスフィクション・ミュージアム その5」] 2017年3月24日閲覧</ref>。

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ファイル:Spinner_Blade_Runner_Essen_Motor_Show_1983_03.jpg|エッセン[[モーターショー]]で展示されたポリススピナー<br />1983年の撮影
ファイル:Blade Runner Spinner Car.jpg|SF博物館に展示されているポリススピナー<br />(2012年7月20日撮影)
ファイル:Blade Runner Spinner car at the SFM.jpg|上方より撮影したポリススピナー 並列に配置された座席のある操縦室がわかる<br />SF博物館の展示品、2007年7月22日撮影
</gallery>
{{commons|Category:Spinner_(Blade_Runner)|スピナー(ブレードランナー)}}
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=== ブラスター ===
スピナーと並んで本作品を語る上で重要な小道具として、デッカード他が使用した架空の[[拳銃]]がある。劇中に登場したものは2種類あり、冒頭でリオンがホールデンを撃つシーンで使われた「ブラックホール・ガン」の仮称で考案された、COP社の4連装小型拳銃[[COP .357]]をそのまま使用したものと、後に「デッカード・ブラスター」と通称されるようになった、[[小銃|ライフル]]と[[回転式拳銃|リボルバー]]を合わせて改造したプロップガンがある。
{{Main|デッカードブラスター}}

==== ブラックホール・ガン ====
映画の製作にあたり、スコットは従来のSF映画でよく用いられた「明るい光線を発射するレーザー・ピストル」を避けたいと考えており、それに代わる全く新しい表現を求めていた。これに対し、特殊効果監修のデヴィッド・ドライヤーが考案したものが、「ブラックホール・ガン」であった<ref name="MOB_3">『メイキング・オブ・ブレードランナー』 p.258</ref>。

これは「強力な分子破壊ビームを発射し、命中箇所を分子レベルで破壊する」というもので、画面上ではまったく光を発しない「黒いビーム(Black beam)」が銃から目標に発射され、命中すると目標は消滅する、という表現が考案された。これは、派手な血飛沫や出血を描く必要がない、という点でも良案とされた<ref group="注釈">出血を表現する[[特殊メイク|特殊メーキャップ]]の必要がなく、残酷描写を問題として描写の削除や対象年齢の制限を要求される恐れがない。</ref>。

しかし、冒頭でリオンがホールデンを銃撃するシーンにおいて、特殊効果を挿入したカットを試験的に制作したところ、「ただの暗い筋にしか見えず、劇的効果が得られない」と判断され、このアイディアは他のシーンでは用いられなかった<ref group="注釈">劇場公開・ソフト版の両方においても、該当のシーンにのみ一瞬だけエフェクトが入れられたまま残っていることが確認できる。</ref>。

==== デッカードブラスター ====
主人公のデッカードらが使っている銃については、公式な命名がなされていない。いつ、どのような経緯でそのように呼ばれるようになったかは判然としていないが、日本では1983年の初公開時の映画パンフレットにおいて「ブラスター」の名称<ref group="注釈">ブラスター(Blaster)という用法自体は「SF映画に登場する(架空の)銃」の意で以前より用いられており、本作オリジナルの用語というわけではない。</ref>で解説されたため、それ以降、この銃はそのように呼称されるようになった<ref group="注釈">ファンの間では「デッカードブラスター」以外の通称もあり、この銃を指すものとしては複数の名称がある。</ref>。一介の小道具であるにもかかわらず高い人気を博し、作品の公開後、数多くのプロップレプリカや[[モデルガン]]が製作されることになる。

本作品に登場するオリジナルデザインの品々の中で、この「ブラスター」はシド・ミードのデザインではない。当初彼がデザインしたモデルは前衛的に過ぎ、本作品の状況設定にそぐわず採用は見送られ<ref group="注釈">本編では用いられなかったが、後に[[プロップメイカー]]により、ミード版のデザインが何度か新たに製作され、彼のパサディアで開催された個展で展示されたことがある。</ref>、新たに[[COP .357]]を基にしたデザインがアシスタントアートディレクターであるスティーブン・デーンにより描き起こされたが<ref>『Blade Runner Sketchbook』p.28-30</ref>、これも採用されなかった<ref name="FWS_1">[http://futurewarstories.blogspot.jp/2014/08/the-weapons-of-sci-fi-deckards-blaster.html Future War Stories|17 August 2014|The Weapons of Sci-Fi: Deckard's Blaster from BLADE RUNNER>The Story Behind the 2019 Blaster Prop] ※2017年3月27日閲覧</ref><ref name="WSF_1">[https://props.steinschneider.com/cop_357/cop_357.htm The Weapons of Science Fiction(The Propmaker: A Modern-day Artisan)>Leon's Gun: Mother's Defender The COP .357 Magnums|By Phil Steinschneider] ※2017年3月27日閲覧</ref>。<br />
なお、リオンがホールデンを撃つシーンで使われているプロップガンは、本来はデーンによるデザインに基づいて改造するために用意された銃を、ほぼそのまま使用したものである。

改めてプロップを製作するにあたり、まず参考にされたのが、映画『[[マッドマックス]]』で主人公の使う、「[[ソードオフ・ショットガン|ソードオフ]]」と呼ばれる二連銃身の短縮型[[散弾銃]]である<ref name="HD_01">[http://www.hyperdouraku.com/manga/storytime/part54.html ハイパー道楽>STORY TIME : ブレードランナー「アンドロイドはブラスターの夢を見るか」|イラスト&文章 牟田康二] 2017年3月24日閲覧。</ref>。しかし、前述の「フィリップ・マーロウ的な探偵の物語([[ハードボイルド]])」の作風に合わせて、拳銃前提という制約があった。実在の銃器をそのまま、もしくは多少の改造を加えて使うという妥協案も出されたが、実際に使用されたものは美術部が現物合わせでプロップを制作したもので、[[オーストリア]]製のライフルの機関部をリボルバーと合体させた上に、電飾加工を施したものである<ref name="MOB_01">『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.117</ref><ref name="RoB_0">[https://macky2019.exblog.jp/13801747/ ブレードランナーとかをボチボチ>リサーチ オブ ブラスター #0 ブラスターとは|by macky2019] ※2017年3月24日閲覧</ref>。
{{commons|Category:Blade_Runner_weapons|ブラスター(ブレードランナー)}}
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ファイル:Blade_Runner_props.jpg|撮影に用いられた[[プロップガン]]<br />"Geek Fest 2014([[:en:Geekfest|英語版]])"で展示された際のもの
ファイル:Cop 357 Derringer.jpg|リオンの用いた銃として使われた[[COP .357]]
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{{-}}

== ロケーション ==
作品の象徴でもある、日本語で書かれた看板やネオンサインが並び、多国籍の人々が行き交う未来都市の街頭は、[[ワーナー・ブラザース]]の[[バーバンク (カリフォルニア州)|バーバンク]]スタジオにある「オールド・ニューヨーク・ストリート」と呼ばれるオープンセットを大規模に改装して作られたセットである<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.120</ref>。「リドリーヴィル(Ridleyville)」のニックネームが付けられていたこのセットには、地上6mの地点に7基の散水装置が設置されており<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.127</ref>、作品を代表するイメージの一つである「絶え間なく降り続ける酸性雨」を表現するために用いられた。これに撮影後の合成処理で超高層ビルその他を描き加え、2019年の近未来都市が作り上げられた。

その他のシーンは基本的には[[ロサンゼルス]]にある著名な建造物、もしくはスタジオセットで撮影し、撮影後に合成等の処理を施したもので、登場した建造物は2016年現在でも存在している。

; 警察署
[[File:Union-Station-LA-Waiting-Ro.jpg|thumb|200px|ユニオン駅の駅舎内部]]
[[ユニオン駅 (ロサンゼルス)|ロサンゼルス・ユニオン駅]]で撮影された<ref name="MOB_p140">『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.140</ref>。
駅舎内を署内として使用し、舎内一角にセットを組み、ブライアントのオフィスとしている<ref name="MOB_p140" />。現役で使用されている建物のため、使用できるのは営業外の夜から翌朝にかけての深夜に限定され、急いでセットを組み上げ撮影準備を完了させてから引き払い期限の午前6時までの間、純粋な撮影時間は1日あたりわずか10分程度しかなかったという<ref>メイキング・オブ・ブレードランナー』p.231</ref>。

なお、ブライアントがデッカードにレプリカントのプロフィールを説明しているシーンは、スタジオセット内で撮影されている<ref name="MOB_p141">『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.141</ref>。
{{-}}
; トンネル
[[ファイル:2nd_Street_Tunnel.jpg|thumb|200px|セカンドストリートトンネル]]
劇中で複数回登場した白い内壁のトンネルは、[[ダウンタウン (ロサンゼルス)|ロサンゼルスのダウンタウン]]にある{{仮リンク|セカンドストリート・トンネル|en|2nd Street Tunnel}}である<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.158</ref>。

内壁を白い陶製の[[タイル]]で装飾したことで知られるこのトンネルは、他にも多くの映画に登場している。
{{-}}
:
; デッカードの自宅
[[File:Ennis_House_front_view_2005.jpg|thumb|200px|エニス邸外観]]
デッカードの自宅シーンに使用されたのは、ロサンゼルス郊外にある邸宅、{{仮リンク|エニス邸|en|Ennis_House}}である。1923年に建設された、[[フランク・ロイド・ライト]]の設計による「テキスタイル・ブロック住宅」の一つで、[[マヤ文明]]の遺跡をイメージした造形の施された[[コンクリートブロック]]壁が特徴になっており、[[アメリカ合衆国国家歴史登録財]]に指定されている。実際のエニス邸は低層平屋の構造であり、郊外の高台に位置しているが、作品では合成を駆使して街中にある高層ビルに見えるように構成されている<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.158-159</ref>。

エニス邸は後のスコットの監督作『[[ブラック・レイン]]』においても、ヤクザの親分のスガイ邸として使われている。
{{-}}
:
; セバスチャンのアパート
J・F・セバスチャンが住むアパートとして使用されたのは、ロサンゼルスのダウンタウンにある{{仮リンク|ブラッドベリ・ビルディング|en|Bradbury_Building}}である。[[1893年]]に建設され、[[アメリカ合衆国国定歴史建造物]]に指定されている。映画やTVドラマのロケ地としても有名で、他のロケーションと同様、様々な作品に登場している<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.160-161</ref>。

作中の設定ではデッカードのアパート等と同じく超高層ビルということになっているため、外観や屋上のシーン等は合成処理で高層建築に見えるように加工されているが、内部は演出上の装飾として荒れた雰囲気に飾り付けられた以外は、玄関として映る部分をビルの北西側エントランスにセットの柱を付け足して作り変えた他は元のまま用いられている。内部が吹き抜けになっていることや、吹き抜け部分の天井がガラス張りになっていること、内廊下の外周にオープンケージタイプの[[エレベーター]]があることも元のままであり、床や壁、手摺の装飾といったものもオリジナルのまま用いられた。

撮影に使用された際もオフィスビルとして現役で使用されており、本作の撮影は営業時間外に行われた。映画製作に使用できるのは午後6時から翌日の午前6時の間に限られ、美術設定に従って各種の装飾と[[ウェザリング]]を施した後に本編の撮影を行い、使用期限の前に撮影を切り上げて装飾を撤去し施した汚し塗装を清掃、使用前の状態に戻して撤収する、というハードスケジュールが連日繰り返された。

なお、セバスチャンの部屋の内部や、デッカードとバッティの戦いの舞台となる室内部分はスタジオにセットを組んで撮影されており、デッカードが壁沿いを伝って移動するシーンや屋上でのクライマックスシーンは、ブラッドベリ・ビルの上部3階層を再現した屋外セットが作られてそこで撮影され、合成処理が施されている<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.208</ref>。
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ファイル:Bradbury building Los Angeles c2005 01383u crop.jpg|ブラッドベリ・ビル外観<br />(2005年の撮影)
ファイル:Bradbury building Los Angeles c2005 01403u.jpg|ブラッドベリ・ビル内観
ファイル:Bradbury Building Entrance.jpg|北西側エントランス
</gallery>
:
; その他
[[File:Broadway_Theater_and_Commercial_District,_300-849_S._Broadway;_8.3.jpg|thumb|200px|ミリオンダラーシアターの入場口<br />画像は2012年5月に撮影されたもので、当時とは異なる]]
セバスチャンのアパートの玄関のシーンで後方に見える派手な[[ネオンサイン]]の看板は、ブラッドベリ・ビルからブロードウェイ・ストリートを挟んで向かいにある劇場、{{仮リンク|ミリオンダラー・シアター|en|Million Dollar Theater}}の入場口である{{refnest|group="注釈"|登場するシーン全てが同じ日時に撮影されたものではないため、ネオンサインの文字はカットによって異なっているが、『ファイナル・カット』の制作に際してデジタル処理によって全て同じものになるように修正されている<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット』p.493</ref>。}}。ミリオンダラー・シアターでは[[ロサンゼルス歴史建造物保存協会]]主催の「ブレードランナー有料上映会」が2013年3月23日に一度だけ開催された。

リオンが宿泊していた「ユーコンホテル(YUKON HOTEL)」は、外観は美術スタッフの製作したミニチュアだが(このミニチュアは看板の文字を「NUYOK」と組み替えて別のシーンでも使われている<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.265-266</ref>)、内部はブラッドベリ・ビルの交差点を挟んで北側の斜め向かいにある、パンアメリカン・ロフトビル(PanAmerican Loft Building)で撮影された<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.150</ref>。

ハンニバル・チュウの工房は、外観はスタジオセットであるが、内部は[[カリフォルニア州]]ヴァーノンにあった食肉会社の冷凍倉庫を借りてセットを組み、実際にマイナス21度の環境として酷寒の中で撮影が行われた<ref name="MOB_p153154">『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.153-154</ref>。セットを組み終わった後、実物の霜が張り氷柱が垂れている環境を作るために4日間を要し<ref name="MOB_p153154" />、予算の圧縮のために5日間が予定されていた撮影期間を2日間に短縮して行われた<ref name="MOB_p157">『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.157</ref>。
{{-}}

== 公開・反響 ==
[[1982年]][[6月25日]]に全米公開され、週末興行収入成績は初登場第2位(同年6月25日-27日付)を記録したが、2週間前に公開され大ヒットしていた『[[E.T.]]』などの影響などもあり、興行的にも同作の約7900万ドル<ref name="boxofficemojo:E.T (1982)">{{Cite web|url=https://www.boxofficemojo.com/release/rl995132929/|title=boxofficemojo:E.T (1982)|accessdate=2017年4月26日 }}</ref>に対して約3380万ドル<ref name="boxofficemojo:Blade Runner (1982)">{{Cite web|url=https://www.boxofficemojo.com/release/rl2219279873/weekend/|title=boxofficemojo:Blade Runner (1982)|accessdate=2017年4月26日 }}</ref>と振るわなかった。当時は明朗なSF映画が主流であり、暗く退廃的な未来観<ref group="注釈">後に雑誌編集者の[[ガードナー・ドゾワ]]が新人SF作家[[ブルース・ベスキ]]の作品名を引用して、[[ウィリアム・ギブスン]]や[[ブルース・スターリング]]らの作品を[[サイバーパンク]]と名づけ、映画・小説などのジャンルの一つとなった。</ref>は多くの観客には受けが良くなかったとされる。新聞や雑誌での評価も二分し、『[[ワシントン・ポスト]]』は「永遠の命を求める人間の不毛な努力をテーマとした心を打つシナリオから、素晴らしく超モダンなセットに至るまで、あらゆる面で偉大な作品」と賞賛した一方で<ref>http://movie.smt.docomo.ne.jp/article/1087549/</ref>、『[[ニューヨーク・タイムズ]]』は「めちゃくちゃで、ぞっとする、混乱そのものだ」と酷評した<ref>https://bunshun.jp/articles/-/4698?page=2</ref>。日本でのキャッチコピーも「2020年([[ママ (引用)|原文ママ]])、レプリカント軍団、人類に宣戦布告!」と、あたかもアクションSFのような謳い文句であり、フォードが『[[スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲|帝国の逆襲]]』や『[[レイダース/失われたアーク《聖櫃》|レイダース]]』で見せたような、アクションを想像した多くの観客にとっては期待外れであったとも言われ、ロードショーは軒並み不入りで、多くの劇場で早々に上映が打ち切られてしまった。一方、[[名画座]]での上映では映画マニアからの好評を博し、[[東急文化会館|渋谷パンテオン]]では、3週間限定上映と告知されていたにも関わらず、結果的に4週間に延び、その後リバイバル上映が行われるようになってからは[[カルト映画]]的な人気を得、アメリカ本国から[[VHS]]を個人輸入するほどの熱狂的なマニアも現れた。当時から普及し始めていたビデオパッケージにより、内容をより精査して繰り返し観ることが出来るようになると評価は更に高まり、ソフトも記録的なセールスとなった。日本初公開時に映画館では鑑賞特典として、小さいポスターが配られた。これは偶然にも、後年『ディレクターズ・カット』で使用されたポスターと同じである。大学生時代に劇場で鑑賞した[[小島秀夫 (ゲームデザイナー)|小島秀夫]]は、後に本作に大きな影響を受けた『[[スナッチャー]]』、『[[ポリスノーツ]]』を制作した。

公開25周年時に日本で行われたファイナルカット・カウントダウンイベントの際、来場した全ての観客にポスターやネガフィルムやフライヤーなどが配られ、劇中の広告に使用された「[[強力わかもと]]」も進呈された。また、抽選により100名限定でオリジナルTシャツ、2名限定で『ブレードランナー製作25周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション』、3名限定で『シド・ミード・ビジュアルフューチャリストDVD』がプレゼントされた。

本作には前述のわかもと等実在企業が数多く登場した一方、史実では業績不振に陥り消滅・破産した企業もある([[パンアメリカン航空]]、[[RCA]]など)。一部ではこれを「ブレードランナーの呪い」と称している<ref>[https://blogos.com/article/249239/ 「ブレードランナー」の呪い? 続編の企業の運命は] blogos 2017年9月29日([[ウォール・ストリート・ジャーナル]]版の引用)</ref>。

== 受賞 ==
* 1983年度[[ヒューゴー賞]] - 最優秀映像作品賞受賞
* 1983年度[[英国アカデミー賞]] - 撮影賞・衣装デザイン賞・美術賞受賞、編集賞・メイク賞・作曲賞・音響賞・特殊視覚効果賞ノミネート
* 1983年度[[ロンドン映画批評家協会賞]] - 特別業績賞受賞(ローレンス・G・ポール、ダグラス・トランブル、シド・ミード)
* 1983年度[[ロサンゼルス映画批評家協会賞]] - 最優秀撮影賞受賞(ジョーダン・クローネンウェス)
* [[第55回アカデミー賞|1983年度アカデミー賞]] - [[アカデミー視覚効果賞|視覚効果賞]]・[[アカデミー美術賞|美術賞]]ノミネート
* 1982年度イギリス・撮影者協会賞ノミネート
* 1983年度・1993年度[[ファンタスポルト映画祭]] - ファンタジー作品賞ノミネート
* 1983年度[[ゴールデングローブ賞]] - 作曲賞ノミネート
* 1983年度第14回[[星雲賞]] - 映画演劇部門賞受賞
* 2018年度[[キネマ旬報]]「1980年代外国映画ベスト・テン」第1位<ref>[https://natalie.mu/eiga/news/310628 キネマ旬報が選ぶ1980年代外国映画ベストテン、第1位は「ブレードランナー」]</ref>

== バージョン ==
{{Main|en:Versions of Blade Runner}}
本作には諸般の事情により、他映画作品では類を見ない7つの異なるバージョンが存在する。とくにスコットが再編集した[[1992年]]の『ディレクターズ・カット』では、作品の解釈を変えるような意味深長なシーンが追加された(詳細は「[[#デッカードは何者なのか|デッカードは何者なのか]]」の節を参照)。

なお、サンディエゴ覆面試写版とUSテレビ放映版を除く5つのバージョンは、日本では2007年12月14日にリリースされたDVDボックス『ブレードランナー 製作25周年記念アルティメット・コレクターズ・エディション(以下『UCE』)』<ref group="注釈">北米では[[Blu-ray Disc]]と[[HD DVD]]でも発売されている。どちらも日本のそれぞれの再生機で再生可能。またファイナル・カット版には日本語字幕も収録されている。日本でもファイナル・カット版のみ発売予定であったが諸事情で一度延期となり、その後2008年6月11日にBlu-rayとDVDが発売した。2009年4月29日には日本版UCEのBlu-ray版が発売された。</ref>で全て視聴する事ができる。

=== リサーチ試写版(ワークプリント版) ===
1982年。113分。『UCE』では「ワークプリント版」と称される。本作公開前の同年3月、[[ダラス]]や[[デンバー]]で観客の反応を見るために試写が行われた際のバージョン。しかし、観客の反応は余り芳しいものでは無かったという。

以下は本バージョンのみで見られるシーンである。

* 冒頭の制作会社のロゴが白地で映される。
* オープニング・クロールはなく、レプリカントについて辞書の引用風に解説した文章のみが映される。
* 序盤のスシバーでの「二つで十分ですよ」のシーンにおいて、注文した丼の具材が映っている。
* バッティの死を目の当たりにするシーンで、デッカードのナレーションが重ねられる。
* エンドロールはなく、「The End」が表示されるのみ。
<!-- デッカー丼の修正に関わった/関わりたい方へ。[[ノート:ブレードランナー#ロケーション他の項について]]をご一読ください -->

=== サンディエゴ覆面試写版 ===
1982年。未ソフト化。同年5月に[[サンディエゴ]]で覆面試写会([[スニークプレビュー]])が行われた際のバージョン。基本的にリサーチ試写版と同じだが、3つの新たなシーンが追加されたと言われる(詳細な箇所は不明)。

=== 初期劇場公開版(オリジナル劇場公開版、US劇場公開版) ===
1982年。116分。『UCE』では「US劇場公開版」。北米で初めて商業上映された際のバージョン。リサーチ試写版で不評だった点を改善し、一般受けを良くしようとしたが、結果的にはそれでも評判は上がらなかった。エンドロールの空撮映像は、『[[シャイニング (映画)|シャイニング]]』のオープニングの別テイクを借用したものである。

* 冒頭はあらすじを載せたオープニング・クロールに変更。
* ハリソン・フォードによる[[ナレーション]]を追加。
* 暴力シーンの一部映像(タイレル博士が目を潰されるシーンと、バッティが自らの手を釘で貫くシーン)を削除。
* エピローグで、デッカードとレイチェルが逃亡する映像とナレーションを追加。

=== インターナショナル版(インターナショナル劇場公開版、完全版) ===
1982年。[[ヨーロッパ]]や日本で劇場公開された際のバージョン。なお、日本ではワーナーのレンタルビデオや初期にリリースされた[[レーザーディスク|LD]]ソフトに初期劇場公開版が収録されていた為、バージョンの違いが認識されており、ビデオ発売時には「完全版」と称して発売された。日本版『UCE』でも同様に呼称している。

* 初期劇場公開版で削除された暴力シーンを復活。他、いくつか微細な変更が行われた。

=== USテレビ放映版 ===
1986年。114分。未ソフト化。[[CBS]]での放映用に編集を行ったバージョン。

* 暴力シーンの削除。
* オープニング・クロールにおけるボイスオーバーの追加(フォードではなく、アナウンサーによるもの)。

=== ディレクターズ・カット(最終版) ===
[[1992年]]。116分。公開10周年を記念し再編集されたバージョン(ビデオソフト、『UCE』では「最終版」の名称も付け加えられている)。最初の劇場公開後、本作は次第に評価を高め、サイバーパンクの原典としての地位を確立した。と同時に、スコットが本来意図した『ブレードランナー』を見たいという要望が高まり、ワーナーは彼に再び本作の編集を依頼。スコットも劇場公開版で自身の望まざる編集が行われた事に加え、機が熟したと考え、これを了承した。内容はリサーチ試写版に近いものになっている。

* フォードのナレーションとエピローグ映像の削除。
* デッカードが見る「[[ユニコーン]]の夢」のシーンを追加。
* インターナショナル版で復活した一部暴力シーンを再び削除。

=== ファイナル・カット ===
[[2007年]]。117分。公開25周年を記念し、再びスコット自身の総指揮によって編集されたバージョン。本バージョンは第64回[[ヴェネツィア国際映画祭]]でワールドプレミア[[4K解像度|4K]]デジタルで上映された後、同年10月5日(現地時間)からニューヨークとロサンゼルスで劇場公開され、アメリカでは12月18日(現地時間)にDVDが発売された。日本では、11月17日 - 30日の2週間限定で東京([[新宿バルト9]]。上映期間は1週間延長)、大阪([[梅田ブルク7]])の2館4スクリーンにて2Kデジタル[[DLP]]劇場公開された。

* デジタル・リマスタリングにより全体の画質や効果音の精度を向上。
* 所謂「幻の高画質の特撮シーン(後述)」が使用され、VFXシーンがより高精度で鮮明な映像になった。
* 画面全体を緑がかった色調に変更。
* スピナーが浮上するシーンで吊り上げるワイヤーが見えていたのをデジタル処理で消去。
* ブライアントの反逆レプリカントに関する説明で、死亡した人数を2名に変更。
* 「ミリオンダラー・シアター」のネオンの文字がカットによって異なっていたのを、デジタル処理で同じものに修正。
* 「ユニコーンの夢」の映像は、ディレクターズ・カット版とは異なる、オリジナルの尺のものを使用。
* 逃走するゾーラがショーウィンドウを突き破るシーンで、スタントを起用していた部分を、同役のジョアンナ・キャシディを再起用して部分新撮し、デジタル合成で修正。
* ワークプリント版のバーでホッケーマスクを着けて踊る女達のシーンや、インターナショナル版の暴力シーンが復活。
* 終盤の鳩が飛び去るシーンの風景が、青空から高層ビルに囲まれた曇りの夜空へとCGで全面的に変更。

==== Ultra HD Blu-ray/IMAX版 ====
[[2017年]]に発売された[[Ultra HD Blu-ray]]版の発売にあたっては、[[4K解像度]]に変換するにあたりスコットの監修のもとに細かな調整が加えられ、音声が新たにリミックスされたバージョンとなっている。

[[2019年]]に行われた[[IMAX]]上映にあたってもこのバージョンが使用されている。

==== 幻の高画質の特撮シーン ====
視覚効果監修の[[ダグラス・トランブル]]は、そのキャリアの最初に携わった『[[2001年宇宙の旅]]』で、監督のキューブリックから、チリ一つ無いほどの高画質を要求され、当時の光学合成による画質劣化を抑えるため、通常シーンが35mmフィルム撮影の作品でもSFXシーンは65mm幅のフィルムで撮影する方法を採った。『ブレードランナー』では、視覚効果は65mmで撮影、俳優の演技と合成するシーンも35mmスコープ・サイズで撮影し65mmに拡大して合成作業が行われた。<ref group="注釈">トランブルのプロダクションEEGによる65mmカメラの蒐集は膨大なものであった。映画化に批判的だった原作者のディックを招いたラッシュの試写も優秀なクオリティを誇っていたトランブルの試写室で行い、賞賛を受けている。「ファイナル・カット」DVD音声解説参照。</ref>

65mmフィルムによる撮影は、一コマあたりの画面が35mmより広く粒状性が目立たないので、再撮影やコピーのプロセスを重ねても画質が荒れない利点がある(左右幅を圧縮して撮影するスコープ・サイズの、光学合成の手間や画質への悪影響は、[[ジェームズ・キャメロン]]も指摘するところである)。ところが決して高予算ではないながらも高画質に拘って製作された『ブレードランナー』のSFXも、今日観られるフィルムやソフトで充分なクオリティが発揮されていないとトランブルは語っている。

{{quotation|僕がBRでいちばん気になっているのは、ハード面のクオリティの問題だ。1982年公開版の仕上げのとき、映画会社側は出来るだけ早く、安く仕上げさせようとして、僕たちがつくった特殊レンズ---特に70(65)mmの特殊効果を35mmのフィルムに合わせるための特別なレンズを使わなかったんだ。最初のプリント(特撮部分の画質)を観た時はゾッとしたよ。彼らの使ったレンズの質が悪すぎると思ったんだ。BRの視覚効果は、今までの誰もが見た事がないほど、すばらしいものなんだよ。本当は。それなのに、オリジナルネガは、いまだにどこかの屋根裏に置かれたまま。決して使われる事がないんだ。そりゃリドリーの『ディレクターズカット版』はすばらしいよ。でも、あの特殊レンズを使ったフィルムを観る事が出来たら…|ダグラス・トランブル「[[ビデオでーた]]」1993年 No.2(『ディレクターズカット』のリリースに関しての質問の答えとして)}}

ファイナル・カット版の特撮シーンは、この70mm(65mm)フィルムからダイレクトにテレシネされたものが使用されており<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット』p.481</ref>、劇場での上映も他のバージョンと比べて、非常に鮮明なイメージを提供していた<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット』p.482</ref>。

== 没シーン ==
* ホールデンは映画の制作上は死亡しておらず、病院に入院した彼をデッカードが見舞うシーンが脚本に存在し(脚本段階ではデッカードは複数回見舞いに訪れている)、撮影も行われているが、スコットの判断で削除され、本編には使われていない{{refnest|group="注釈"|試写会で上映されたフィルムには当該シーンが存在する、という説があるが、実際に存在していたかについての確認はされていない<ref name="MOB_p144145" />。}}<ref name="MOB_p144145">『メイキング・オブ・ブレードランナー』 p.144-145</ref>。このシーンのためにシド・ミードはカプセル型の治療用ベッドをデザインしたが、「未来的にすぎる」として却下され、デッカードの自宅のセットを流用したものが美術スタッフによって製作された<ref name="MOB_p144145" />。
* レプリカント眼球職人のチュウのその後については劇中では触れられていないが、脚本ではバッティとリオンによって防寒コートを破壊され、極低温下の工房内に閉じ込められて放置されたために凍死しているところをデッカードと警官隊に発見される、となっていた。発見された際に倒されてしまい、完全に凍っていた遺体は粉々に砕け散るという場面設定であったが、撮影されなかった<ref name="MOB_p157" />。
* 企画段階では、踊り子として地球に潜伏していたゾーラは作中にてデッカードの捜査が入る前に、舞台で「reptile dance(レプタイル(爬虫類)・ダンス)」を踊る予定で、ステージのセットも製作が進められていたものの、プロデューサー陣の賛同が得られず、撮影が行われる事は無かった<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』p.173</ref>。2012年12月、ゾーラ役の[[ジョアンナ・キャシディ]]は当時のダンスを再現した動画を[[Youtube]]で公開した<ref>J. Cassidy(ジョアンナ・キャシディ) [https://www.youtube.com/watch?v=mDQV5Bqx4TQ "What Might Have Been: Snake Dance by Joanna Cassidy as Zhora from Bladerunner"(どんなものだったのか:ブレードランナーでジョアンナ演じるゾーラのスネークダンス)] (2012年12月12日アップロード)</ref>。
* 脚本段階では、タイレルは死病に侵されたために[[冷凍睡眠]]に入っており、登場するのは本人の記憶を移植されたレプリカントである、という設定であった。脚本ではタイレルを殺害してこの事に気づいたバッティは改めて「本物の」タイレルのところに案内するようにセバスチャンに要求するが、冷凍睡眠に入っていたはずの彼は既に装置の故障によって死亡しており、延命の望みが完全に絶たれたことに動揺したバッティはセバスチャンをも殺害して立ち去る、という流れになっており<ref>『メイキング・オブ・ブレードランナー』 p.196</ref>、タイレルが安置されている部屋と冷凍睡眠装置もミードによりデザイン画が起こされていた<ref>『Blade Runner Sketchbook』p.69-72</ref>。このシーンは撮影準備の段階で断念され、セバスチャンの死も警察無線の音声で触れられているのみである。

== サウンドトラック ==
エンドロール中には[[ポリドール・レコード|ポリドール]]よりサントラが発売される旨書かれているが、実際には発売されなかった。ヴァンゲリスより正式にリリースされるのはディレクターズ・カット(最終版)の後、1994年のことである。
*『オリジナルスコア版』と銘打ったアルバムが1982年にリリースされたが、これはニューアメリカンオーケストラの演奏によりアコースティックアレンジされたものである。オリジナルの音源とは別物ながら、違和感のない出来であった。
*エンドタイトルは、1989年に発売されたアルバム『[[ザ・ベリー・ベスト・オブ・ヴァンゲリス]]』に収録された。
*デッカードのアパートにレイチェルが訪れるシーンで使われている曲は、この映画のために制作されたものではなく、アルバム『[[流氷原]]』収録の「メモリーズ・オブ・グリーン」を使用している。
*エンドロール中にクレジットされている「HARPS OF THE ANCIENT TEMPLES」は、バッティとリオンがチュウのもとへ向かうシーンで使用されている曲<ref>ゲイル・ロートンによる「西暦76年 ポンペイ/Pompeii 76 A.D.」。</ref>が収録されたアルバム名であり、ヴァンゲリスの手によるものではない。
*公式なサントラが発売されない状況が長く続いたことから、いくつかの海賊版が作られ流通することとなった。海賊版の経緯・内容については[[:en:Blade Runner (soundtracks)|こちら(英語版)]]を参照。
*UCEの発売に合わせ、CD3枚組『[[「ブレードランナー」オリジナル・サウンドトラック 25周年記念エディション]]/BLADE RUNNER TRILOGY, 25th ANNIVERSARY』が発売された。
*2013年4月16日、全米でビニール版サントラLPが発売。A、B面12曲収録。[http://blogs.indiewire.com/theplaylist/vangelis-blade-runner-soundtrack-getting-gatefold-sleeve-red-vinyl-reissue-20130320]
*2013年7月16日、同年4月にアナログ盤を発売した米Audio Fidelity社からHybrid SACD盤が発売された。内容は1994年に発売された公式サントラ盤のリマスターで、Kevin Grayの手による。全世界2,000枚限定で、パッケージにはナンバリングが施された。なおこれが初のSACD音源となる。[http://www.audiofidelity.net/content/vangelis-blade-runner-0]

以上の詳細は「[[ブレードランナー (アルバム)]]」の項を参照のこと。

== 日本語吹替 ==
{| class="wikitable" style="text-align: center;"
|-
! rowspan=2|役名
! rowspan=2|俳優
! colspan=2|日本語吹替
|-
! [[TBSテレビ|TBS]]版 || [[ザ・シネマ]]版
|-
| リック・デッカード || [[ハリソン・フォード]] || [[堀勝之祐]] || [[磯部勉]]
|-
| ロイ・バッティ || [[ルトガー・ハウアー]] || [[寺田農]] || [[谷口節]]
|-
| レイチェル || [[ショーン・ヤング]] || [[戸田恵子]] || [[岡寛恵]]
|-
| ガフ || [[エドワード・ジェームズ・オルモス]] || [[池田勝]] || [[佳月大人]]
|-
| H・ブライアント || [[M・エメット・ウォルシュ]] || [[神山卓三]] || [[浦山迅]]
|-
| プリス || [[ダリル・ハンナ]] || [[高島雅羅]] || [[小島幸子]]
|-
| J・F・セバスチャン || [[ウィリアム・サンダーソン]] || [[村越伊知郎]] || [[村治学]]
|-
| リオン || [[ブライオン・ジェームズ]] || [[大宮悌二]] || [[中村浩太郎]]
|-
| エルドン・タイレル || [[ジョー・ターケル]] || [[大木民夫]] || [[小島敏彦]]
|-
| ゾーラ || [[ジョアンナ・キャシディ]] || [[横尾まり]] || [[森夏姫]]
|-
| ハンニバル・チュウ || [[ジェームズ・ホン]] || [[千葉順二]] || 浦山迅
|-
| ホールデン || {{仮リンク|モーガン・ポール|en|Morgan Paull}} || [[二瓶秀雄]] || [[高岡瓶々]]
|-
| スシバーの店主 || ロバート・オカザキ || 千葉順二 || 小島敏彦
|-
| その他 || || [[竹口安芸子]] || [[中司ゆう花]]<br />[[小橋知子]]<br />[[佐藤拓也 (声優)|佐藤拓也]]<br />[[片貝薫]]
|-
|bgcolor=EFEFEF|
|-
| 演出 || || 河村常平 || [[伊達康将]]
|-
| 翻訳 || || 岩本令 || 岸田恵子
|-
| 録音・調整 || || 切金潤 || [[オムニバス・ジャパン]]
|-
| 効果 || || 遠藤堯雄<br />桜井俊哉 ||
|-
| プロデューサー || || 上田正人<br />(TBS) || 井伊直子<br />飯森盛良
|-
| 制作 || || [[東北新社]]<br />TBS || ザ・シネマ<br />東北新社
|-
| 初回放送 || || [[1986年]][[4月14日]]<br />『[[月曜ロードショー]]』<br>正味約93分<br>[[DVD]]・[[Blu-ray Disc|BD]]収録 || [[2011年]][[3月20日]]<br />ノーカット放送
|}
* TBS版:劇場公開版を吹き替えたもの。
* ザ・シネマ版:ファイナル・カット版を吹き替えたもの。同局以外では2014年3月9日にBS日テレ、2015年11月10日にムービープラスで放送された。2017年9月20日発売の『[[吹替の力]]』シリーズ『ブレードランナー ファイナル・カット 日本語吹替音声追加収録版 ブルーレイ(3枚組)』及び『ブレードランナー ファイナル・カット4K ULTRA HD&ブルーレイセット(2枚組)』に収録。なお、続編の『[[ブレードランナー 2049]]』の日本語吹き替え版ではデッカードとレイチェル、ガフの声優はザ・シネマ版のキャストを踏襲している。

== 続編 ==
=== 続編映画 ===
{{Main|ブレードランナー 2049}}
2016年、[[ドゥニ・ヴィルヌーヴ]]監督、リドリー・スコット[[製作総指揮]]のもと、続編『[[ブレードランナー 2049]]』の日本公開が2017年11月に決定したことが発表された<ref>{{cite news|url=https://natalie.mu/eiga/news/196355|title=「ブレードランナー」続編の日本公開が2017年11月に決定、コンセプトアートも解禁|newspaper=映画ナタリー|date=2016-07-29|accessdate=2016-07-29}}</ref>。アメリカで[[2017年]]10月6日、日本では10月27日に公開された。[[ライアン・ゴズリング]]、[[ロビン・ライト]]、[[ジャレッド・レト]]のほか、ハリソン・フォードも再びデッカード役として出演した。

=== 続編小説 ===
原作者ディックの友人である作家[[K・W・ジーター]]が、映画の続編として小説3作を発表している。
* ''Blade Runner 2: The Edge of Human'' ([[1995年]]) - 『ブレードランナー2 レプリカントの墓標』([[早川書房]]、のちハヤカワ文庫)
* ''Blade Runner 3: Replicant Night'' ([[1996年]]) - 『ブレードランナー3 レプリカントの夜』(早川書房、のちハヤカワ文庫)
* ''Blade Runner 4: Eye and Talon'' ([[2000年]])

== ドキュメンタリー ==
当作について、複数の[[ドキュメンタリー]]が制作されている。

; Edge of Blade Runner
: 2000年、55分
: 監督:アンドリュー・アボット(Andrew Abbott)
: 制作・構成:[[マーク・カーモード]](Mark Kermode)
: [[リドリー・スコット]]を始めとした製作スタッフへのインタビュー、作品製作の過程の詳細と、構想段階から撮影開始までの過程における様々なトラブルの解説により構成されている。また、原作である[[フィリップ・K・ディック]]の『[[アンドロイドは電気羊の夢を見るか?]]』に関するポール・M・サモンとハンプトン・ファンチャーの解説も収録されている<ref name="edge-doc-review">{{citation|url=http://tyrell-corporation.pp.se/on-the-edge-of-blade-runner-documentury/|title=On The Edge Of Blade Runner (Documentury) |last=Ingels|first=Nicklas|publisher=Los Angeles, 2019|accessdate=July 27, 2011|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140407015534/http://tyrell-corporation.pp.se/on-the-edge-of-blade-runner-documentury/|archivedate=April 7, 2014}}</ref>。

; Future Shocks
: 2003年、27分
: [[カナダ]]の{{仮リンク|TVオンタリオ|en|TVOntario}}制作のドキュメンタリー<ref name="futureshocks">{{citation|url=https://www.tvo.org/program/131509/future-shocks|title=Future Shocks|publisher=TVO.ORG|accessdate=July 27, 2011|archiveurl=https://web.archive.org/web/20141224115432/http://tvo.org/program/131509/future-shocks|archivedate=2014年12月24日|deadurldate=2017年9月}}</ref>。エグゼクティブプロデューサーの{{仮リンク|バド・ヨーキン|en|Bud_Yorkin}}(Bud Yorkin)、[[シド・ミード]]へのインタビューと、SF作家の[[ロバート・J・ソウヤー]]、および映画批評家による解説で構成されている。

; Dangerous Days:Making Blade Runner
: 2007年、213分
: 監督・制作:{{仮リンク|チャールズ・デ・ロージリカ|en|Charles_de_Lauzirika}}(Charles de Lauzirika)
: 『ブレードランナー・ファイナル・カット』に併せて制作された。[[ハリソン・フォード]]、[[ショーン・ヤング]]、リドリー・スコットを含む80人以上のインタビューから構成されている<ref>{{citation |url=https://chud.com/11285/interview-charles-de-lauzirika-blade-runner/ |title=Interview: Charles de Lauzirika (Blade Runner)|accessdate=July 27, 2011|work=[[CHUD.com]]| last1 =Fischer | first1 = Russ|date=February 8, 2007|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140202165850/http://www.chud.com/11285/interview-charles-de-lauzirika-blade-runner/|archivedate=February 2, 2014}}</ref>。
:
: 8つの章から構成され、時系列に沿って企画の開始からキャスティング、プロダクションデザイン、撮影、特殊効果といった製作過程を解説している。最後の章では、この映画に対する数々の論争とその経緯も収録されている<ref>{{citation|url=http://www.filmedge.net/BladeRunner/BRdvd.htm|title=Blade Runner&nbsp;– The Final Cut: 2-Disc Special Edition DVD Review|accessdate=July 27, 2011|publisher=FilmEdge.net| last1=Weitz | first1 = Scott|date=December 16, 2007|archiveurl=https://web.archive.org/web/20130517092920/http://www.filmedge.net/BladeRunner/BRdvd.htm|archivedate=May 17, 2013}}</ref>。

; All Our Variant Futures:From Workprint to Final Cut
: 2007年、29分
: 制作:ポール・プリシュマン(Paul Prischman)
: 映画の複数のバージョンとその概要を紹介し、『〜ファイナル・カット』の製作に費やされた、7年間に渡るオリジナルフィルムの修復と修正作業、[[マスタリング#リマスタリング|デジタルリマスタリング]]のプロセスについて解説している。「Blade Runner Ultimate Collector's Edition」に収録された。

== 脚注 ==
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注釈"|2}}

=== 出典 ===
{{Reflist|2}}

== 参考文献 ==
* 『ブレードランナー』映画パンフレット、1983年
* 『ブレードランナー ディレクターズ・カット』映画パンフレット、1992年
* David Scroggy 編 『Blade Runner Sketchbook』 Blue Dolphin Enterprises、1982年。ISBN 978-0943128023
* ポール・M・サモン 『メイキング・オブ・ブレードランナー』 品川四郎・石川裕人 訳、[[ソニーマガジンズ]]、1997年。ISBN 978-4789711678

:* 増訂版 『メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット』 [[ヴィレッジブックス]]、2007年。ISBN 978-4863325975
::『ファイナル・カット』増補分は、旧版を連続する形で挿入・編集。旧版でのページ番号は、本文部分では旧版・増訂版共に同一。

* [[加藤幹郎]] 『ブレードランナー」論序説』 リュミエール叢書 34:[[筑摩書房]]、2004年。ISBN 978-4480873156
* [[町山智浩]] 『映画の見方がかわる本 ブレードランナーの未来世紀』 [[洋泉社]]、2005年。ISBN 978-4896919745
** 『ブレードランナーの未来世紀 〈映画の見方〉がわかる本』 [[新潮文庫]]、2017年11月
* 大野和基 『ブレードランナー証言録』 [[集英社インターナショナル]]新書、2019年6月

* 『ホビージャパン ヴィンテージ』[http://hobbyjapan.co.jp/books/book/b352443.html](ISBN 978-4798616582)[[ホビージャパン]]、2018年
:: 「クラシックSFを追え! 」
::: p.52「スピナーを追え!」文:Macky
::: p.53「インタビュー スピナーの生みの親! ジーン・ウィンフィールド」
::: p.54-55「『ブレードランナー』の劇中車」文:Macky
::: p.56-59「劇中車の撮影後の運命」文:Macky

* 『[[映画秘宝]]』[http://www.eigahiho.jp/] 洋泉社:刊
:: 2019年6月号 p.30-33「世界初公開!『ブレードランナー』スピナー、完全復元写真館!!」構成・文:西修一 2019年

== 関連項目 ==
{{Commons|Category:Blade Runner}}
* [[サイバーパンク]]
* [[ニューロマンサー]]
* [[ステージガン]]
* [[わかもと製薬]] - 作中で滋養強壮剤「強力わかもと」の架空のCMが使われている。
* [[未来派野郎]] - [[坂本龍一]]のアルバム。1曲目の「Broadway Boogie Woogie」にてブレードランナーで使われた台詞がサンプリングされている。

== 外部リンク ==
* [http://kimux.org/index.cgi?BladeRunnerFaqJ ブレードランナー FAQ 日本版]
* [http://www.bladezone.com/ BLADE ZONE]
* {{Allcinema title|20674|ブレードランナー}}
* {{Kinejun title|7988|ブレードランナー}}
* {{Amg movie|5994|Blade Runner}}
* {{IMDb title|0083658|Blade Runner}}

{{ブレードランナー}}
{{フィリップ・K・ディック}}
{{リドリー・スコット監督作品}}
{{星雲賞メディア部門}}
{{Normdaten}}

{{DEFAULTSORT:ふれえとらんなあ}}
[[Category:ブレードランナー|*1]]
[[Category:1982年の映画]]
[[Category:1980年代の特撮作品]]
[[Category:2019年]]
[[Category:リドリー・スコットの監督映画]]
[[Category:ヴァンゲリスの作曲映画]]
[[Category:アメリカ国立フィルム登録簿に登録された作品]]
[[Category:イングランドで製作された映画作品]]

2020年7月28日 (火) 10:06時点における版