別嬪

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べっぴん(別品・別嬪)は、美人を表す俗語。べっぴんさんとも言う[1]

江戸時代の終わり頃、東海道吉田宿(よしだしゅく、よしだじゅく。現・愛知県豊橋市)にあった織清(おりせい)という店がうなぎのかば焼きを宣伝するために渡辺崋山の次男、渡辺小華のアイディアで「頗別品」と書いた看板を設置した。[2]「別品」は「特別のよい品」という意味であるが[3]、転じて特別に美しいという意味になり、美人を表すようになった[4]織清の後身は丸よ(まるよ。豊橋市札木町)として現存する。

なお、「明治初期に別品という言葉が発案され、明治中期に美人を表すようになった」という説は、米川明彦によると誤りである。天保の頃成立した[5]咄本『諺臍の宿替』に用例がある。明治初期には美人という意味で使用されていた[6](一例として明治7年初演の歌舞伎『宇都宮紅葉釣衾(うつのみやにしきのつりよぎ)』[7])。

参考文献[編集]

  • 米川明彦『俗語百科事典』朝倉書店、2021年7月1日。ISBN 978-4-254-51068-3 
  • べっぴんという言葉の語源。レファレンス協同データベース。「べっぴん」の用例が江戸時代にはまったくなかったとは言えない。(https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000070703)

出典[編集]

  1. ^ 米川 2021, p. 157.
  2. ^ べっぴん”. 丸よ. 2023年4月15日閲覧。元々の出典は、風俗画報、第72号、明治27年
  3. ^ 長澤規矩也 編『新明解漢和辞典』(第一刷)三省堂、1974年4月10日、116頁。 
  4. ^ 芝山道人「雜說 流行言語(二)」『風俗画報』第72号、東陽堂、1894年、1-2頁、doi:10.11501/1579500 
  5. ^ 『国書総目録』 第3巻(補訂版第1刷)、岩波書店、522頁。doi:10.20730/isbn.9784000086035 
  6. ^ 米川 2021, p. 158.
  7. ^ 日本大辞典刊行会 編『日本国語大辞典』 第十七巻(第一版第一刷)、小学館、1975年9月1日、650頁。