プロジェクト:LGBT/人物記事のガイドライン

基本原則[編集]

性自認や性的指向は、その人が誰であるかということに深く関わりますが、その人の私生活や仕事にどのような影響を与えるかは場合によります。wikipedia:中立的な観点に従い、記事全体の中でこれらのことに過度な記載がなされないよう、細心の注意を払わなければなりません。その人のキャリアや人生に与えた影響が大きくないのなら、「~~は同性愛者であることを公表した人である」と一言書けば十分です。その人がカミングアウトしたという事実自体に特筆性がある場合もありますが、記事の中で冷静かつ中立的に書く必要があります。「○○年○月、△△のインタビューで、~~はトランスジェンダーであることをカミングアウトした」というように、特にその人自身の発言に即して文脈を付け加えると、読者に有益でしょう。

ウィキペディアは良質な百科事典であることを目指しており、扇情的であってはなりません。ウィキペディアの記事は、直接的であれ間接的であれ、その対象を嘲笑・中傷することを目的としてはなりません。たとえば、ウィキペディアの記事をアウティングの場として使ってはなりません。ウィキペディアの記事は、ミラーリングされ、世界中に配信されるので、ここに我々(記事に書かれた人の友人や家族であったとしても)が書いたことは、その人の人生に悪影響を与え得ます。このことは、他人の行為の被害者であることが特筆性の要因となっている個人を扱う場合、特に重要です。ウィキペディア編集者は、意図的であろうとなかろうと、被害者への加害に加担したり、それを長引かせたりするような行為をしてはいけません。自由にコンテンツを作成し配布するというウィキペディアの目標にとっては、正しいバランスを常に追求し、最高の倫理基準を満たすことが重要です。

ウィキペディアは百科事典であり、新聞ではありません。wikipedia:存命人物の伝記に従い、ウィキペディアの記事は、その対象者の人間としての基本的な尊厳を尊重すべきです。LGBTに関わる人物記事を書く場合、特に以下の点に気を付けましょう。

人物記事をLGBTQ+と分類・記述する時の注意点[編集]

まず、以下のことに留意するようにしましょう。

  1. 存命人物は、その人自身が公表している場合のみ、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーなどに分類されます。
  2. セクシュアリティジェンダー・アイデンティティ性的特徴は、互いに置き換えられるものではありません。それらはしばしば交差するものではありますが、それぞれの影響を定められない場合があることに留意しましょう。
  3. 個人の名前や代名詞については、その人が自分を認識する時の名前・代名詞を使うことが推奨されます。
  4. 人物のアイデンティティの確認とその分類は、wikipedia:存命人物の伝記に従います。人物の宗教・セクシュアリティ・ジェンダーに関する記述を追加するためには、wikipedia:信頼できる情報源が必要です

歴史上の人物[編集]

性自認・性的指向についての語彙が成立する前の人物は、ほとんどの場合、自分の性自認や性的指向について当人の自己言及はありません。LGBTQ+の概念が成立する前の人物を無造作にLGBTQ+に当てはめることはできず、歴史上の人物をLGBTQ+のどれかであると明言したり分類したりするのは避けるべきです[1]。たとえば、藤原忠通は、記事の中で「藤原忠通は両性愛者だった」と書くべきではなく、Category:日本出身のLGBTの人物にも分類できません。

ただ、信頼できる情報源のなかで、ある歴史上の人物がLGBTQ+のどれかの傾向を示していたことが言及されることはあり、これを注釈付きで記事に書くのはウィキペディアの方針上許容されるでしょう。たとえば、「藤原忠通には~~という記録がある。ここから、研究者の○○は、藤原忠通は両性愛の傾向を持っていたと指摘する」などの記法ならば、原則としては可能です。

インターセックスの人物[編集]

インターセックスは、身体的な性的特徴に結びついた生物学的な状態で、通例は医学的な事実であり、信頼できる情報源を必要とします。インターセックスの人は男性・女性・ノンバイナリー・Aジェンダーなどの可能性があります。また、インターセックスであることが自分の性別に関連すると認識する人もいれば、そうでない人もいて、医学的なものと認識する人もいれば、そうでない人もいます。インターセックスにはLGBTもいれば、異性愛者、シスジェンダー、バイセクシャルの人もいます。よって、LGBTの記事とインターセックスの記事との相互関係は制限するように配慮されています。

LGBTQ+の人物の記事内容についての注意[編集]

人物記事で、ジェンダーに疑問がある人の記述にジェンダー化された言葉(代名詞・女/男・ウェイトレス/ウェイターなど)を用いる場合、最新の信頼できる情報源においてその人が自分のアイデンティティ等を記した言葉を反映するべきです。たとえ、それが他の多くの情報源と反するものであったとしても、最新の情報源を優先してください。これは、特に希望が示されない限り、その人の人生のどの段階の記述であったとしても同様です。

また、一般に、必要な部分以外では、名前やジェンダー表現の変更などについて過度に詳しく書かないでください。人の性別が驚きを与え得るものであったとしても、強調しすぎずに、最初に冷静に記述してください。また、こうした書き換えがあっても混乱を招かないような記述を心がけましょう(例:「~~は父になった」ではなく、「~~は親になった」と書くなど)。

たとえば「○○は出生時に男性に割り当てられたが、それが自分を反映すると感じたことはなく、家族から独立するとすぐに移行した」というように書き、「若年期」の節に入れ込む方がよいことも多いです。理想的には、その人自身の発言によってその人が当時の自分をどのように見ていたかを示すのがよく、これによってその人自身に語らせることができます。

前名について[編集]

トランスジェンダーまたはノンバイナリーの人の存命記事で、前名に特筆性がない場合、たとえ引用文であっても、また信頼できる情報源があったとしても、その前名を記事のどこにも(リスト・リダイレクト・曖昧さ回避ページ・カテゴリ名・テンプレート等も含む)書いてはいけません。特筆性のない名前は、その人の現在の名前とは異なり、プライバシー上の権利として扱われます。これは、中傷を避け、情報に過度ではなく適切な重要性を与えるという原則に合致します(Wikipedia:中立的な観点)。

移行前の存命のトランスジェンダー・ノンバイナリーの人の作品やその他の活動に関する記事でも、前名を使用することを本人が希望しない限り、現在の名前を主な名前として使用してください。過去の作品などにクレジットされた名前が前名で著名である場合は、括弧内または脚注にその旨を記載します。

前の名前がアウティングされた結果としてのみ知られている場合、編集者は、それを記事に含めるのは中立的な観点に反していると感じるでしょう(その後信頼できる情報源で広く報道されたのでない限りは)。しかし、ウィキペディアが循環ソースとなることで、意図せずして前名の流布に加担してしまう事態を避けるため、よりいっそうの注意が必要です。たとえば、2014年、あるトランスジェンダー女性の出生名が、ある情報源によって明らかにされたという理由でウィキペディアの記事に追加されました。しかし、その情報源は対象者のプライバシーを尊重するため、すぐに記事を取り下げました。この時、この名前を記事に残すため、編集者が新たな情報源を探したのですが、彼女の出生名に関する新たな情報源はすべて、オリジナルの記事ではなく、ウィキペディアの記事から得たものであると判明しました。

表現や語彙について[編集]

議論中以下は英語翻訳版です。日本語特有の事情に書き改められる必要があります。--Gynaecocracy会話) 2024年1月5日 (金) 01:39 (UTC)

「トランスジェンダー」は形容詞であり、よって「○○はトランスジェンダーの女性である」(また「トランス女性である」)と記述します。名詞としての使用(「スミスはトランスジェンダーである」「この映画には2人のトランスジェンダーが出演している」など)は、しばしば侮辱的とされ、いくつかのスタイルガイドや辞書では推奨されておらず、避けるべきです[2][3] 。同様に、「トランスセクシュアル」も形容詞で、名詞として使うべきではありません。「Transgendered」も侮辱的な表現で、スタイルガイドでは推奨されていません(ただし、直接の引用は変えてはいけません:wikipedia:スタイルマニュアル[4][5]

議論中以下は英語翻訳版です。日本語特有の事情に書き改められる必要があります。--Gynaecocracy会話) 2024年1月5日 (金) 01:39 (UTC)

存命人物の記事の場合、その人が自分の性的指向について明かした希望の書き方をデフォルトとして使用すべきです。自己記述が入手できない場合、存命人物の記事では、「ホモセクシュアル」よりも「ゲイ」や「レズビアン」の表記が優先される。これらのアイデンティティの語が広く一般に用いられる以前(おおよそ1970年以前)の歴史的な記事については、対象を表す正確な形容詞として「ホモセクシャル」を使ってもよいです。一般的に、「ホモセクシュアル」の語は、性的活動や臨床治療の指向に関する記述に限定すべきです。

参照[編集]

  1. ^ 杉浦鈴 著「クィアな死者に会いに行く:前近代のジェンダー/セクシュアリティを問うための作法」、方法論懇話会 編『療法としての歴史〈知〉:いまを診る』森話社、2020年。 
  2. ^ Reuters Handbook of Journalism, "transgender": "Do not use transgender as a noun; no one should be referred to as 'a transgender.'"
  3. ^ GLAAD Media Reference Guide, "Transgender Issues":

    "Problematic: 'transgenders,' 'a transgender'

    Preferred: transgender people, a transgender person

    Transgender should be used as an adjective, not as a noun. Do not say, 'Tony is a transgender,' or 'The parade included many transgenders.' Instead say, 'Tony is a transgender man,' or 'The parade included many transgender people.'"
  4. ^ NPR Ethics Handbook, "'Memmos': Memmott's Missives & Musings, from the Standards & Practices Outbox": "Someone is 'transgender.' Do not write or say 'transgendered.'"
  5. ^ GLAAD Media Reference Guide, "Transgender Issues": "Problematic: 'transgendered'. Preferred: transgender. The adjective transgender should never have an extraneous '-ed' tacked onto the end. An '-ed' suffix adds unnecessary length to the word and can cause tense confusion and grammatical errors. It also brings transgender into alignment with lesbian, gay, and bisexual. You would not say that Elton John is 'gayed' or Ellen DeGeneres is 'lesbianed,' therefore you would not say Chaz Bono is 'transgendered.'"

関連項目[編集]