プロジェクト:アウトリーチ/図書館総合展2022/紹介/6Suisui


昔から使っていたハンドルネームで、30年近く前にいいなと思っていた睡眠、水のような何か、粋、推敲、睡蓮、翡翠などなどさまざまなものの名前を借りて付けた名前です。四半世紀以上前のことなのでそれほどはっきり覚えておらず、それほど深い考えがあったわけでもありません。

長く続けるには、なんとなくいいなと思う閃きは大切だと考えています。計算して考えたものは計算していた限界を超えると色々無理するようになりますが、気楽につけた名前なので、20年たっても気負わずに使うことができます。

ウィキペディアサロン2022関連企画[編集]

未定

自己紹介[編集]

ウィキペディアユーザー名
利用者:Suisui
ウィキメディア上での主な編集活動
活発に編集していたのは20年近く前のWikipedia日本語版の立ち上げ期で、今皆さんが作られている記事や、全体のルールのベースを作るお手伝いをしていました。10年ほどの空白期間を経て、最近はまたたまに記事を書くなどしています。2015年以降 Wikipedia では年に2本か3本翻訳記事を書いて、年々進化する参考文献の書き方をキャッチアップしています。Wikipedia, Wiktionary, Wikiquote などいろいろなプロジェクトの立ち上げに関わりましたが、近年では Wikidata の活動を多めに行っています。
編集以外に、管理者、今とは全くやり方が異なりますが、MediaWiki の機能追加実装などもしていました。
百科事典にあるべきと考えた記事の体裁、構成などを気にして作っていたため、分野に纏まりはあまりません。音楽系二つ以外は履歴の最古のあたりに登場します。
Wikipedia編集回数
63,199回(2022年10月17日時点) 編集状況
居住地
兵庫県
連絡手段
Twitter @suisui_wm

エディタソン参加経験[編集]

講師経験
2度ほど。2019年09月にCode4Lib JAPAN Conference 2019でWikidataの講師(サブ)として呼んでいただきました。それ以外では大阪、京都で開催されたWikipediaタウンや類似のイベントで7回〜8回ほどサポーターで参加しております。
一般参加経験
関西圏 10回程度 一般参加したときでも、編集者としての参加が得意ではなく、サポーターをしていることの方が多いです。
好きな参加スタイル
サポーターで呼んでいただいてサポーターをするか、エディターで参加してサポーター的なことをしています。今のことはよくわかっているとは言い難いので、あえて過去の話をする時以外は現状把握できるよう努めています。
私は、エディタソンの場で初見の資料にたくさん目を通して短時間で記事を書くのは時間が足りず、苦手意識があります。エディタソンは軽く Wikipedia に触れてみる場のようなので、参加された方が気楽に編集を始めるよう、短髪の疑問に答えるお手伝いをよくしています。ちょうどいい実例なので今書けなくても平気ですよとか、10年ぐらい編集していなくても続けることはできると伝えるなどしています。
企画協力条件
個別に相談お願いします。編集などに関しては多分問題ないのでできることはお手伝いしますが、今のWikipediaにはあまり詳しくないです。

印象に残っているエディタソン[編集]

2016-02-06(土)に京都 有斐斎弘道館で開催された「Wikipedia ARTS 弘道館と京都の文人サロン」です。弘道館の建物と庭を散策し、お茶をいただき、茶人、菓子職人で工学博士でもある講師の太田達さんのお話を伺いつつ、参考文献を頼りにWikipediaの編集をするイベントでした。

普段体験できない建物や文化に触れ、専門家のお話を伺えただけでWikipedia抜きにしても楽しい物でしたが、複数の切り口での的を得た文献を用意していただいており、そこに大喜びしました。その後何度かご一緒させていただきましたが、京都で司書をされている方が選書して下さっていたと言うことで、その後幾つものイベントで司書の選択眼の凄さを思い知りました。

普段あまりできないものに触れ、味わい、見たり聞いたりして関連する物事を学び、アウトプットをする目的を持って資料に対峙し、文書や表の形でアウトプットするまでを一度に体験できた貴重な機会でした。

司書さんであっても図書館から外部への書籍の持ち出しはあまり簡単ではない、ということでしたが、対象する場所で直接それに関する文献を目にし、学び、造ることができるイベントはその後参加させていただいた数々のイベントよりも印象深く、是非ともこういった試みを続けていただきたいと思いました。


アウトリーチ活動への思い[編集]

ぼんやりと今後のことと、主にWikidata とについて書きます。

アウトリーチは、編集者の裾野を広げる活動であり、編集者の人的リソースを増やす、もしくは維持する活動です。一方で、Wikimedia 財団は Mediawiki の機能やユーザー権限追加、補助プロジェクトの立ち上げなどによって、使えるリソースを増やす(今活動しているユーザーが増えなくても、同じ時間でできる内容を増やす)活動をしています。Wikidata もその一つであり、Wikidata は Wikipedia とは独立して知識ベースの作成を目指す一方で、Wikipedia の記事メンテナンスに必要な作業の一部を削減する機能も持ったプロジェクトです。Wikidata にとっては、Wikipedia の補助は本来の目的ではなく副次的な機能ですが、アウトリーチ活動と同じ方向を目指した意図を持っていると言えます。

日本語を話せる人口は今、歴史上で最も多い時期を過ぎて緩やかに減少中です。

日本語はほぼ日本国内のみで使用されている言語です。日本はほぼ全家庭に安定した電力があり、誰でもインターネットを契約して使うことができて、識字率が高く、自治体ごとに図書館の整備がされており、世界的に見ると比較的情勢が安定した国です。Wikipedia のようなプロジェクトをするにあたって恵まれた環境といえます。

現状日本語版のアクティブな利用者数は、日本語話者数に対して人口の0.0014%です(国の人口:ユーザー人口ではなく、言語話者人口:ユーザー人口です)。これは 100万項目以上ある Wikipedia のプロジェクト内では上限に近い割合となっています。ここ10年その数字はほとんど動いておらず、言語、文化、情勢、環境などによらず、少なくとも現在のWikipedia のあり方では、話者人口の0.01%を超える Wikipedia のアクティブユーザーを維持するのは難しいと考えられます。

さて。今後30年〜50年、もしかするとその後も日本語話者の人口は減少していきます。割合が一定以上にならない状況が変わらない限り、日本語版 Wikipedia の活動はこれからかなり長い間、編集者が緩やかに減り続けることを受け入れる必要があります。人口の減少とともにユーザー人口の割合も減っていくと考えられるため、アクティブな参加者数を話者人口の0.001%程度を維持できるかどうかが今後の指標の一つになると考えています。

また、作業人口のリソースの減だけではなく、記事編集には流行り廃りがあります。今頻繁に編集されているものでも、数十年後、ほとんど編集されることがなくなる記事が大量に出てくるでしょう。今すでに、2005年ごろに頻繁に編集されていて、ほとんど編集されなくなった記事群があり、その延長であるほとんど編集されない記事が今以上に積み重なっていきます。大量に流行りを超えた記事を抱えている状態となったときに、広い範囲をある程度の頻度でメンテナンスしていくことがができなくなれば、今のように、問題がありつつも魅力的である Wikipedia を保つことは難しくなるでしょう。大量の情報には人を呼び寄せる力がありますが、人にメンテナンスされていないことが明らかにわかる大量の情報が持つ廃墟感は人が離れていく原因ともなります。

よくご存知の通り、一番人口が多いはずので現在でも Wikipedia は全ての記事のメンテナンス、あるいは運用の手が十分に足りているとはいえない状態です。今後の編集人口減を受け入れた上で今後の戦略を考える場合、手が回らない記事のメンテナンスを諦めるか、今手が回っていない記事のメンテナンス、アップデートをより少ない人数で回せるよう省力化、システム化、可能な限り共通化していく必要があります。そして後者の方法については世界的に Wikimedia財団が準備をおこなっています。

Wikimedia財団は、より少ないリソースで Wiki(Wikipediaでは記事)のメンテナンスを行えるよう、さまざまな機能追加やプロジェクト追加による支援を行ってきました。古くは Template の導入、WikimediaCommons の立ち上げ、PaserFunction の導入、Gadget と Lua Script などがわかりやすい支援です。そして2012年に開始した Wikidata もまたウィキペディアの記事の作成、メンテナンスにあたり人的リソースを削減に(も)使えるものとして設計されています。

Wikidata については基本的にはサイトを参照しいていただきたいですが、 WikimediaCommons のデータ版、と考えると理解しやすいでしょう。WikimediaCommons は各プロジェクトでバラバラに作成、アップデートしていた画像を集約し、必要なサーバリソースを減らすと同時に、画像の操作に必要な人的リソースを激減する効果がありました。それと似て、Wikidata は、記事で使用するデータを数値に限らず、個々の記述、ぞれぞれの記載の出典の記載を全てのプロジェクトで使い回すことができます。一例を挙げると、将来的にはどこかの言語版(もしくはプロジェクト)で誰か一人が特定の文献について出典情報を書くと、以後使う人はそのIDと必要ならば翻訳だけで利用できるようになるでしょう。Wikipedia で小さな記述を積み上げて大きな記事を作っているのと同じように、小さな省力をつみあげて別のことをうする大きな力とする、そういった方向での活用をしていけると良いでしょう。

今後どうなるか、未来のことは実のところ誰にもわかりません。ただ、これから確実におこる話者人口の減少は、できるうちにできることをして備えておかないと、撤退作業すら人が足りなくなる可能性があります。それを食い止める手段のひとつとして、アウトリーチ活動と共に、今具体的になりつつあるWikidata を是非とも使いこなして欲しい、そう考えています。