コンテンツにスキップ

覇天会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

合気道覇天会(はてんかい)は、横浜に本拠を置く合気道団体。合気道選手権大会での優秀な実績を持つ実力派合気道団体。国際合気道連合を主催している。キャッチコピーは「優雅なる技の織り成す芸術 覇天会合気道」。

概要

[編集]

合気道は古くから「当身7割」と言われており、大変当身を重視する武道である。しかしながら現在多くの合気道では当身は省略されほとんど稽古されていない現状がある。合気道覇天会ではその現状を憂い昔から重要と言われている「当身」をしっかりと稽古すること目的に「合気道技とフルコンタクト制打撃の融合」を掲げ、打撃や組手試合に取り組んでいる。中堅団体ではあるが独自の格闘技ではなく、あくまで通常の合気道試合で有効な技術に打撃の連打を導入した点を特徴とする。

ここでいう通常の合気道試合とは、合気道で試合が行われる日本合気道協会及び合気道S.A.などの団体、その中でも打撃を認めた合気道S.A.の試合形式のルールをさしている。最大の合気道団体である合気会、また養神館では試合は行われず、また打撃(当身技)も限られたものとなっている。

型稽古の他にも打ち込み稽古や連絡技、ミット打ちなど試合を意識した実践練習が行われている。


現在はフルコンタクトの打撃に加えて、防具着用の上で合気道の伝統的な顔面攻撃である正面打ちや横面打ちを認めた「ユニファイド合気道」ルールによる組手を行っている。これにより空手などの流用ではない合気道的な打撃が可能となるなど大幅に実践性が向上された。

覇天会の提唱する「フルコンタクト合気道」とは、直接打撃制の「打撃」を行う「実践合気道」と言う意味であり、直接ぶつかる合気道と言う意味ではない。直接打撃制の打撃を合気道に活かす、直接打撃制の打撃を捌けるように稽古する合気道と言う意味との事。

系譜

[編集]

創設者は現宗家(筆頭師範兼任)の藤崎天敬(ふじさきてんけい)。2006年に合気道S.A.より分派した。

藤崎は合気道S.A.では「指導員コース」過程を経て「教授参段位」を取得し、東京本部指導員を務めていた。合気道S.A.主催のリアル合気道選手権大会では三度の優勝を果たしている。リアル合気道選手権大会はオープントーナメントで行われ、他の合気道団体の高段者や柔道・空手・拳法の三段四段レベルの選手も出場している。

藤崎は武道及び格闘技において計17段位を取得し、それらの熟練の技を無理のない形で合気道に取り入れ、覇天会合気道を創始した。

覇天会は合気道の試合実績があるという意味で稀有であり、信頼性が高いといえる。

他団体・他武道との交流

[編集]

他武道との交流

[編集]

覇天会では、合気道以外の武道の方々との交流も行っており、中には世界チャンピオンレベルの武道家との交流がある。

空手道剛柔会の形世界チャンピオンで総合格闘技ZSTファイターの福山博貴先生やスポーツチャンバラ長槍世界チャンピオンの河原瑠我先生、伝統空手「組手」で日本一を4回経験している花車勇武先生らは、覇天会との友好的な交流を持っている。

他団体との交流

[編集]

過去に全日本空道連盟大道塾の総本部にて、覇天会のフルコンタクト合気道クラスが開かれていた。

覇天会という団体名の意味について

[編集]

「天」とは高く大きな存在であり、人々が目指す大きな目標の象徴でもある。覇天会の天の字にはこのような高い目標や大きな存在となる事を表現している。そして「覇」は強さや支配と言う意味がある。会員が自分自身を正しく律して支配し、強くなることを示している。また「覇気」あふれる活き活きとした人間になる事を意味している。

合気道は技術や肉体的な強さだけではなく、精神的な修行も大切なためこの名前には「天を目指すことで心身ともに成長し、自分自身を正しく律して精神的な覇者となり、覇気のある(活き活きとした)人間になる事」を表現している。

覇天会は合気道を通じて、健やかな身体と強靭な精神を持つ人材を育成することを目標としている。健康的で強く、高い目標を持ち、人々に貢献することを象徴している。

ルール

[編集]

ユニファイド合気道ルール(現在のメインルール))

[編集]

フルコンタクト合気道ルールに加えて顔面への「手刀打ち」を認めたルール。

また従来ルールに加えて、後ろ首締め、岩石落とし、片足タックルなども認められ大幅に実践性が向上されている。

フルコンタクト合気道試合ルール

[編集]

合気道家どうしによる打撃を認めた試合形式

  • 立ち技状態での手首への関節技を認める(捨て身技・指取りに関しては安全面から制限あり)。
  • 関節技を伴わない投げ技は、正面入り身投げ・側面入り身投げ・各種呼吸投げを認める。
  • 従来の禁止技である、顔面への入り身突き・合気落とし・腰投げ・後ろ倒しを認める。
  • 道着と帯の掴みは3秒まで認める。
  • 固め技の攻防は10秒まで認める(寝技は禁止)。
  • 全ての蹴り技の掴みを認める。
  • 立ち技での打撃はフルコンタクトルールに準じるが、離れた間合いでの連打は4連打までとする(組み技状態では連打の制限は無し)。
  • 固め技状態での打撃は寸止めとし(実際に当たった場合はダメージがあるであろう場合に限り)4連打で効果のポイントとなる。

武器取り護身組手試合ルール

[編集]

掛け(合気道側)と受け(武器側)に別れて試合を行う。武器は50センチ程度の鈍器や短棒を想定。武器側は顔面や胴体への正面打ち・横面打ちにて自由に攻撃を仕掛ける。合気道側はそれを捌き制圧する形で試合を行う。上級者ルールでは上記の攻撃に加えて武器による胴への突きと各種蹴り技、組技状態での(関節技を伴わない)投げによる返し技が認められている。

  • 掛け(合気道側)フルコンタクト合気道ルール。
  • 受け(打撃側) 武器による打ち込み。武器側はヒットアンドアウェイや連打も認められる。

競技試合

[編集]

年に2回(春・秋)に「フルコンタクト合気道選手権大会」を開催している。

外部リンク

[編集]