ハリーファ
ハリーファ(アラビア語:خليفة, khalīfah ないしは khalīfa)はアラビア語で「後継者」「代理人」を意味する名詞[1][2]。アラブ諸国やイスラーム教徒家庭では男性名としても使われている[3]。
役職名として
[編集]発音と表記
[編集]イスラーム教世界における預言者ムハンマドの後継者ならびにイスラーム国家の指導者を意味する「カリフ」の原語発音がハリーファである。
日本では学術的表記を含め、正統カリフやウマイヤ朝、アッバース朝などの統治者については原語発音ハリーファではなく慣用表記である「カリフ」を使うのがスタンダードとなっている。
実際の用語
[編集]- スペイン保護領モロッコのハリファ - モロッコのスルタンがスペイン保護領に置いた名目上の総督
人名として
[編集]発音と表記
[編集]アラビア語由来の男性名で、アラブ人の名前として以外にイスラーム教徒の名前としても各国で用いられている。
語頭の子音「خ(kh)」はkともhとも異なるかすれた音(無声軟口蓋摩擦音ないしは無声口蓋垂摩擦音)だが、日本語カタカナ表記ではハ行で当て字をしてハリーファとするのが学界標準[4]となっている。
一方、一般の記事では英語圏の発音などにならいカ行で当て字をしカリーファと表記するほか、外国語名称の長母音省略を行う日本の慣用表記によりハリファ、カリファとしている例も多い。
なお人名としての一般的なラテン文字表記(≒英字表記)はKhalifah、Khalifa、Khaliifah、Khaliifa、Khaleefah、Khaleefa、Khalefah、Khalefa、さらには語頭部分をCとしたCalifah、Califaなどが併用されている。
なお語末につく「h」は文語アラビア語における休止形発音に基づく転写で、本来は語末を軽く発音する「ハリファーフ」ないしは「ハリーファハ」のような読み方をされることに由来する。しかしながら現代アラビア語の日常会話では読み飛ばされる黙字と化しており、「ハリーファ」という発音と「khalīfah」語末の「h」というつづりとが一致しない原因となっている。
実際の人物
[編集]- ハリーファ・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン - アラブ首長国連邦大統領
- ハリーファ・ビン・ハマド・アール=サーニー - カタールの元首長
- キャーティプ・チェレビー(ハジ・ハリーファ)- トルコ(オスマン帝国)の地理学者
脚注
[編集]- ^ “Alladin Plus - خليفة”. 2024年2月20日閲覧。
- ^ “The Living Arabic Project - خليفة” (英語). livingarabic.com. 2024年2月20日閲覧。
- ^ “المعاني : معاني الأسماء - خليفة”. 2024年2月20日閲覧。
- ^ 『岩波 イスラーム辞典』岩波書店、2002年、14頁。