ハモン・イベリコ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
ハモン・イベリコ

ハモン・イベリコスペイン語: Jamón Ibérico)はスペインのみで作られる黒豚イベリア種(セルド・イベリコ)の生ハムである。このイベリア種は、スペインではパタ・ネグラ(黒い脚の意)と呼ばれることも多い。

概要[編集]

スライスしたハモン・イベリコ
スペインエストレマドゥーラ州のデエサ

「ハモン」とはスペイン語で「ハム」、「イベリコ」とはスペイン語で、「イベリア半島の」という意味で、豚のイベリア種の生ハムのことである。単独で用いられる場合は例外なくスペイン産で、牛肉のような濃い赤色ときめ細かな脂肪(サシ)が特徴である。

白豚から作られるハモン・セラーノとは区別される。生産数はハモン・セラーノより非常に少なく、その飼育にも手間がかけられ、出荷されるまでの熟成期間も長いため、本物は非常に高価である。前脚で作られる「パレータ」(Paleta) は、脂肪が少なく比較的熟成期間が短い。

ハムの表記[編集]

ベジョータ、セボカンポ、セボ[編集]

イベリコ豚の生肉を塩漬けにした後、余分な塩分を洗い流し、気温の低い乾いた場所に約2年から5年程吊るして乾燥、熟成させる。主にイベリア半島西部に広がるデエサスペイン語版と呼ばれるオークまたはコルクの林で放牧されるイベリコ豚はどんぐりの実などを食べて育つ。

どんぐりを主体に育った豚の中で認可を得たものだけが「ハモン・デ・ベジョータ・イベリコ(Jamón de bellota ibérico。bellota=どんぐり)」と名づけられ、味、品質ともにより優れているとされる。イベリコ豚のうち、ドングリ豚にしかベジョータ (Bellota) の表示がつけられない。「どんぐり」を食べるとされているが、正確には日本のどんぐり(椎)ではなく、樫(セイヨウヒイラギとコルク)の実である。「イベリコ豚=ドングリ豚」ではないため、虚偽表示に注意する必要がある。ハモン・ベジョータの中ではサラマンカ産が広く知られているほか、南西部ウエルバ県ハブーゴスペイン語版産が知られている。

ハムは豚のランクによって呼ばれる。飼料も与えつつ放牧で肥育させた豚から作られたハムは「ハモン・デ・セボ・デ・カンポ・イベリコ」(Jamón de cebo de campo ibérico) として出荷される。ドングリを一度も食べなかったイベリコ豚は「セボ」と呼ばれ、ハムも同様に「ハモン・デ・セボ・イベリコ」 (Jamón de cebo ibérico) となる。

イベリコ[編集]

イベリコを名乗る際、求められるのは純血度が50%以上であることと規定されている。現在100%の純血を守っているのはごくわずかのメーカーに限られるが、そのこと自体が生ハムのクオリティを証明する事実とはなっていない。しかしながら、特にベジョータの場合に限り100%の血統であれば「Jamón de bellota 100 % ibérico」の名称と黒色のタグを付与して表示することが許される(他のランキングでも「100% ibérico」の名称は付けられるがタグは50%血統、75%血統の製品と同じものとなる)。