ノート:青騎士
この「青騎士」には下記のような選考・審査があります。有用なアイデアが残されているかもしれません。この記事を編集される方は一度ご参照下さい。 |
日付 | 選考・審査 | 結果 | |
---|---|---|---|
1. | 2008年12月4日 | 第2回秋の加筆コンクール | 受賞・良質な記事自動選出 |
2. | 2022年9月14日 | 良質な記事の再選考 | 除去 |
2003年から2004年にかけての議論
[編集]こんにちは。
「青騎士」という訳語の問題ですが、私も一旦、「なお、「青騎士」という日本語訳であるが、「der Blaue Reiter」を正確に訳せば「青い騎手(青騎手)」であり(「Reiter」には、「騎士」といった「兵士」の意味はない)、明らかな誤訳であるが、日本においては完全に定着しており、訂正しようという大きな動きはない。」と投稿して(2003年12月9日・203.140.123.171)、あわてて、取り消しました。
その理由は、以下のとおりです。
1)この説の出典(どこで読んだのか、または、どこで聞いたのか)を思い出せなかったこと。
2)独和辞典(複数)を見ると、「Reiter」には、「騎手」と並んで、後ろの方に必ず「騎兵」または「騎士」の訳語もある。「騎士」の独語訳としては「Ritter」が普通であるから、「Reiter」の直訳としては「騎士」は不自然ではあるが、誤訳とまではいえないのではないかと思ったこと。
3)どういう意味で「Reiter」という単語を用いたかという点については、カンディンスキーがどう考えていたかが重要であるが、青騎士の始まる1911年の直前に、カンディンスキーに「騎士」(単なる騎手ではなく)が登場する作品が複数存在すること。
例えば、2002年に日本で開催された「カンディンスキー」展のカタログを見ると、cat. no. 14の「インプロヴィゼーション4」(1909年)には、「木の後ろに騎士のいる絵」という副題が付されていたという(ただ、この副題に該当するオリジナルのドイツ語はカタログには未記載。45ページ)。また、cat. no. 18の「聖ゲオルギウスII」には、単なる騎手ではなく、戦う騎士が描かれている(64ページ・65ページ)。
また、遡って、1987年に日本で開催された「カンディンスキー」展のカタログを見ると、「1901年ころからミュンヘン時代を通じて彼の作品にくりかえし登場する騎士は、…」とある(52ページ)。また、cat. no. 17の「印象4(衛兵)」(Impression 4 (Gendarm))には、騎士が描かれています(58ページ・59ページ)。
このあたりは、どのようにお考えでしょうか?
正直なところ、私もどう考えていいのかわからなくなっておりますので、特に、青騎士が誤訳であるという説の出典について、お教えいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
20世紀(前半)美術 14:39 2003年12月31日 (UTC)
Reiter という単語は、動詞 reiten (「馬に乗る」の意)から来ています。ちょうど英語で言えば、ride と rider の関係です。ようするに「乗り手」ですね~。「騎士」を明確に指す場合、英語でも knight という単語があるように、独語にも Ritter という語があるのです(こちらも恐らく reiten から来てる)。従って、もし騎士のことを言っているのであれば、der blaue Ritter と名付けるはずであって、Reiter とわざわざするはずはないでしょう。英訳でも the Blue Rider ですしね~。
辞書に「騎士」または「騎兵」という意味があるのは、「乗り手」という単語が、状況・文脈によって、それを指す場合もある、といったことではないでしょうか(独独辞典、今度調べます)。そもそも「騎士」というのは、単に馬付きの軍人ではなく、あちらでは身分をも示しているわけですから、Reiter としかないものを「騎士」って訳したらまずいのではないでしょうか~。一応、独独調べるまでは、そこのところ濁しておきます。
「青騎手」の由来については、カンディンスキーがコメント残してますよ~。いま、手元にないんでわかんないですけど、確か全く「騎士」とは無関係だったと思います。マルクが馬好きで、カンディンスキーが青が好きだったからとかだったかなぁ??
- こんばんは。余り役には立たないかも知れませんが、作曲家フーゴー・ヴォルフの『メーリケ歌曲集』にあるDer Feuerreiterという作品の邦題は「火の騎士」とされることが普通のようです。これは火災の擬人化?のような幻想的な詩なので現実の職業・階級とは関係無いですが一応参考まで。ちなみに、ニコライのオペラ『ウィンザーの陽気な女房たち』では登場人物がSir John FalstaffのことをHerr, Ritter!と呼んでいましたし普通は騎士=Ritterなんでしょうね。sphl 13:33 2004年1月2日 (UTC)
2008年10月の加筆についての説明
[編集]2008年10月1日に大幅に加筆しました。ここで今回の私の加筆について説明を加えておきたいと思います。
- (追記)日本時間2008年10月31日深夜から11月1日にかけて、書きかけだった節を執筆。--Risenjudas 2008年11月2日 (日) 15:53 (UTC)
加筆に至った経緯、方法、典拠
[編集]- 2008年8月に私の在籍する大学で開講された西洋近現代美術史の集中講義を受講し、それについての課題レポートのテーマとして「青騎士」を選びました。
- 関連する文献(書籍、論文)を大学図書館で調べ、図版入り約5000字A4サイズ12頁のレポートにまとめました。今回の加筆にあたって、このとき調べた資料群、講義レジュメ及び自ら執筆したレポートを随時参照しました。
- ドイツ語版Wikipedia“Der Blaue Reiter“(17:56, 26. Aug. 2008)を印刷、全体を粗訳して一つのワードファイルにしました。
- ワードファイルの粗訳をもとにしながら、省略、大幅な加筆と組み換えをして今回の記事にしました。
なぜ加筆したか
[編集]私の編集は「加筆」というよりむしろ「執筆」に近かったです。というのも、前の記事の内容は百科事典としての有用性が疑われるものでありました。以下に何点か指摘しておきたいと思います。
- 「青騎士」は特に美術に関する論文を扱った年刊誌の名
- これは誤りであると言えます。なぜなら、『青騎士』の中で重要な位置を占めるカンディンスキーの論文の一つは舞台芸術を扱ったものであるし、また『青騎士』にユニークな音楽家シェーンベルクの論文は音楽と文学の関係について書かれたものです。美術のみに偏らなかった点が『青騎士』に特徴的なのです。
- 「青騎士」の語は、「年刊誌に参加した芸術家一群の呼称」として用いる頻度が高い
- 「頻度が高い」という言葉が百科事典の記述として非常に気になりました。
- 「青騎士」か「青騎手」か?
- 「青騎士」はそもそも誤訳ではないですし、前記事のように「因みに」などと断って、さも問題があるかのごとく手短な記事の中で瑣末な翻訳問題に触れる必要があるとは到底思えません。私は専門家ではないので学会の最新動向や学術的な詳細は分かりませんが、以下の理由から「青騎士」を用いる方が適切であると考えます。
- (1.)「青騎士」首班のカンディンスキーは、馬に乗ってマントを羽織り剣や槍を携える人物のモティーフをよく描いている。
- このような人物を指す言葉としては「騎手」より「騎士」の方が適切ではないでしょうか?最新のことはわかりませんが、この人物が誰かという問題は世界的に学会でも見解が分かれていました。たとえば、青騎士を研究しカンディンスキーについても訳書や論文がある西田秀穂氏はキリスト教の聖人「聖ゲオルク」であると指摘しており、氏は「青騎士」の語を採用しています。
- (2.)青騎士はロマン主義的である
- ロマン主義、特にドイツ文学におけるロマン主義の重要なモティーフである、「理想的な中世キリスト教封建主義世界」「無限への憧れ」「夜・孤独・森」「黒・青」などを考えれば「騎士」の訳はぴったりです。
- (3.)ドイツ語で書かれた年刊誌の邦訳タイトルは『青騎士』である
- 2007年に日本で出版された“Der Blaue Reiter“の翻訳は「青騎士」を採用しています。同書の訳者のことばにはどこにも「der Blaue Reiter」の語の翻訳上の問題について触れていません。
- (4.)今夏、西洋近現代美術史の集中講義を担当した教授は「青騎士」を使っていた
- フランスの大学で勉強した先生の専門は「コラージュ」で、ドイツ表現主義や青騎士ではありませんでしたが、講義の中で「der Blaue Reiter」の翻訳上の問題には一切触れませんでした。
- (5.)「青騎士」の方が一般的である
- と断定するのは難しいですが、私がレポート作成のために大学で調べて用いた資料はすべて「青騎士」の語を採用していました。ただし一般書の中に一つ、「青騎手」を採用している本がありました。
- クレーの扱い
- これはきわどい問題かもしれません。ドイツ語版Wikipediaでは青騎士とクレーを峻別していますが、日本の文献を見るとクレーを青騎士に完全に含めているものも散見されます。私の加筆の中では一応、クレーを青騎士と完全に同一視することは避けましたが、彼と青騎士をからめて記述している個所もあります。とりあえず、前記事の「一般的にクレーを青騎士に含める」という文章は削りました。
今回の加筆における問題点
[編集]- ほとんど原形をとどめない加筆である
前節で指摘した点を考慮した結果、前記事のほとんどの部分を削除し、「主要な画家の一覧」と「グループは雑誌と展覧会の参加による結成のため、成員の様式は、表現主義的という以外に、際立った求心的な特徴はない。云々」の記述のみを反映させた加筆修正となってしまいました。 - 冗長である
結果的に、複雑で長い文章及び章立てになり簡潔明瞭な記事とは言えないものになってしまいました。しかし、出来るだけ総合的・多角的に「青騎士」に迫ったつもりです。 - 類似内容の反復記述がある
章立てによって記述内容を整理したつもりですが、相互に関連する事柄も多く「どこにどこまで書くか」が難しかったです。結果的に、あっちにもこっちにも記述があるかと思いますが、節・小節をピックアップして読んでもある程度理解できる内容になっていると思います。 - 典拠
参考文献、特に書籍・論文から一言一句違わず文章を引っ張ってくるのは避ましたが、焼き直しただけととれる部分もあるかと思います。適度に筆を入れ、文脈に合わせた記述にしたつもりです。 - 画像ファイル
画像利用について、今回の加筆がWikipedia日本語版が従うべき約束に完全に準拠しているかどうかよく分かりません。また、あまり適当なイメージが発見できませんでした。願わくば『青騎士』表紙絵なんかを張りたいところです。 - 赤リンクが多い
- ドイツ語の翻訳にあまり自信がない
…申し訳ありません
加筆者について
[編集]簡単な自己紹介を書いておきます。
- 理系の大学生(学部2年)
- ドイツ語学習歴1年4か月
最後に
[編集]大きな編集は今回がはじめてなのですが、全く専門でもない分野で記事を書かせていただきました。至らない部分も多いと思います。「青騎士」の記事が皆さんの協力でよりよいものにできたら幸いです。ご指導よろしくお願いします。--Risenjudas 2008年9月30日 (火) 16:08 (UTC)