デンドロビウム・アフィルム

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デンドロビウム・アフィルム
デンドロビウム・アフィルム
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
亜科 : セッコク亜科 Epidendroideae
: セッコク属 Dendrobium
: デンドロビウム・アフィルム Dendrobium aphyllum
図版

デンドロビウム・アフィルム Dendrobium aphyllum は、洋ランであるデンドロビウムの原種の一つ。細長い茎が垂れ下がり、ピンクの花を付ける。D. pierardiiD. amoenum の学名も使われる。

特徴[編集]

多年生着生植物落葉性[1]。茎は長さ60-90cm、太さ0.3-0.4cmの細長い棒状になり、垂れ下がる。葉は狭卵形で長さ5-12cm、幅1-1.5cm。なお、茎は原産地のチッタゴンなどでは2mにもなるという[2]

開花期は春。夏にはよく葉を出して成長するが、開花期には全て落葉する[3]。花茎は茎の多くの節から生じ、短い花茎に2-3輪の花を生じる。は径5cm、香りがある。萼片と側花弁は白から淡い桃色になり、紫の筋紋や斑紋が入る。唇弁は白、ほぼ円形で縁は毛状に細かく分かれ、表面に軟毛がある。

分布と生育環境[編集]

インド、中国南部からマレーシアに広く分布する[4]

利用[編集]

洋ランとして栽培される。高温を必要とするが栽培は容易[2]。垂れ下がる性質のため、吊り鉢などで栽培する。枝垂れた茎に多数の花を付ける姿はカリスタ系と肩を並べて鑑賞価値が高い。開花期に葉が無いことも、花をよく見せる効果がある。特に大株に仕立てると、『ピンクの滝』にも見える[3]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ 以下、記載は主として唐沢監修(1996),p.185
  2. ^ a b 塚本他(1956),p.113
  3. ^ a b 向坂編(2008),p.89
  4. ^ 唐沢監修(1996),p.185

参考文献[編集]

  • 唐澤耕司監修、『蘭 山渓カラー図鑑』(1996)、山と渓谷社
  • 向坂好生、『洋ランの育て方完全ガイド NHK趣味の園芸別冊』、(2008)、NHK出版
  • 塚本洋太郎・椙山誠治郎・坂西義洋・脇坂誠・堀四郎、『原色薔薇・洋蘭図鑑』、(1956)、保育社