デッカ航法

デッカ航法(デッカこうほう、英: Decca Navigator System)は地上系の電波航法システムの一つ。1944年にイギリスのデッカ・レコード社が開発したもので[1]、アンテナ、送受信機、電源で構成される装置を3地点に設置して、それぞれから電波を発信することで、洋上の艦艇が自艇の現在位置を把握できるシステム[1]。
主局と複数の従局で構成される、一組のデッカ航法の送信局群をデッカチェーンという[2]。
主に船舶で利用されており[3]、使用周波数は70 - 130kHz[3]。ロランと同じく地上系の電波航法システムである。ロランがパルス波の到達時間差(および位相差)を用いるのに対し、デッカは連続波の位相差を用いて測位する[3]。
日本における歴史
[編集]日本では昭和40年代に海上保安庁によるデッカチェーンの運用が開始された[4]。1967年(昭和42年)7月に北海道、1969(昭和44)年5月に九州のデッカチェーンが運用開始となっている[2]。その後東北、関東、四国が整備され、最後に1985年(昭和60年)5月に北陸が運用開始となり、日本本土周辺海域をカバーした。北海道、九州、東北、関東は主局と3従局の4局構成、四国と北陸は主局と2従局の3局構成であった[5][6]。
しかしGPSの普及などにより、日本では2001年4月1日に民間の運用が停止された[3]。なお、東北以降に整備された4つのチェーンは、漁業利用が想定したほど伸びず、1993年6月に先行して廃止されていた[5]。海上自衛隊掃海業務支援隊航法支援科においても、50年間掃海作業用の航法支援に運用してきたが、2020年10月1日に終了することとなった[1]。
福島県の大鷹鳥谷山にあった川内デッカ局(東北デッカチェーンの従局)と、福岡県・佐賀県の羽金山にあった前原デッカ局(九州デッカチェーンの主局)は、廃止後に日本標準時のデータを送信する標準電波の送信施設(おおたかどや山標準電波送信所、はがね山標準電波送信所)として利用された。これは、標高の高い開けた土地があり、道路や電線・電話回線が整備されていて、さらにデッカ運用の際に得られた電波伝搬特性のデータが活用できるというメリットがあったためである[7]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 加島篤「北九州デッカチェーンをめぐる無線技術史―中距離航行用長波電波標識の建設と運用―」『北九州工業高等専門学校研究報告』第53号、2020年1月31日、21-40頁、CRID 1050584088617823616、NCID AA12510939。
- 山越芳郎「最近の電波標識の整備及び電波標識に関する国際協力について」『電波航法』第34号、電波航法研究会、1987年9月、30-38頁、CRID 1521980705721905920、NDLJP:2373454/17。