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タッパーの自己言及式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

タッパーの自己言及式は、ジェフ・タッパー (Jeff Tupper) によって考案された不等式であり、特定の条件の下で式を満たす二つの数の組を二次元のグラフに描くと不等式そのものの形となる。 2001年にコンピュータグラフィックスを扱う国際会議SIGGRAPHで発表された[1]

不等式は次のように定義される。

床関数剰余を表す。ここで、k を以下の値とする (543桁の数を3桁区切りで記述している)。

960 939 379 918 958 884 971 672 962 127 852 754 715 004 339 660 129 306 651 505 519 271 702 802 395 266 424 689 642 842 174 350 718 121 267 153 782 770 623 355 993 237 280 874 144 307 891 325 963 941 337 723 487 857 735 749 823 926 629 715 517 173 716 995 165 232 890 538 221 612 403 238 855 866 184 013 235 585 136 048 828 693 337 902 491 454 229 288 667 081 096 184 496 091 705 183 454 067 827 731 551 705 405 381 627 380 967 602 565 625 016 981 482 083 418 783 163 849 115 590 225 610 003 652 351 370 343 874 461 848 378 737 238 198 224 849 863 465 033 159 410 054 974 700 593 138 339 226 497 249 461 751 545 728 366 702 369 745 461 014 655 997 933 798 537 483 143 786 841 806 593 422 227 898 388 722 980 000

748 404 719

このとき、上の不等式を満たす および をグラフに描くと、不等式そのもののように見える形になる。


実際には、上の不等式は自己言及的というわけではない[2]。グラフの形の情報は k の値に符号化されており、不等式はそのグラフを描くための一種のデコーダとして機能している。つまり、上に記載した k の値はグラフに描くと不等式の形になるように選ばれており、 k を他の値にすることによって同じサイズの任意の形のグラフを描くことができる。

オリジナルの不等式ではグラフの高さは17という制限が付くが、他のサイズのグラフを描けるように不等式を一般化することもできる[3]

関連項目

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脚注

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  1. ^ Tupper, Jeff. "Reliable Two-Dimensional Graphing Methods for Mathematical Formulae with Two Free Variables" http://www.dgp.toronto.edu/people/mooncake/papers/SIGGRAPH2001_Tupper.pdf
  2. ^ タッパー自身の論文には自己言及 (self-referential) という表現は使われていない
  3. ^ Weisstein, Eric W. "Tupper's Self-Referential Formula." From MathWorld A Wolfram Web Resource. http://mathworld.wolfram.com/TuppersSelf-ReferentialFormula.html