セマンティックレイヤー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

セマンティックレイヤー: semantic layer)とは企業データのビジネス表現。エンドユーザービジネスセマンティクス管理英語版によって管理される共通のビジネス用語を使用して、自律的にデータへアクセス出来るようにすることを指す。

概要[編集]

セマンティックレイヤーは、複雑なデータを製品、顧客、収益などの広く知られたビジネス用語にマッピング(対応付け)することで、組織全体にわたるデータの統一された概観を提供する。

セマンティックレイヤーは、データ言語ではなく一般的なビジネス用語を使用して情報にアクセスし、操作し、整理できるため、複雑なビジネスデータを簡素化して提供できる。ビジネス用語はセマンティックレイヤーにオブジェクトとして保存され、ビジネスビュー(「Business Views」)を通じてアクセスされる。

1992年5月29日に、Business Objects社は米国特許(5555403)を取得した。この特許は、「情報システムのエンドユーザーにリレーショナル構造や構造クエリ言語 (SQL) の知識が無くても、リレーショナルデータベースにアクセス (クエリ) を可能にする新しいデータ表現とクエリ技術の提供」 とするものである[1]。その後、 Cognosなどの競合他社はBusiness Objects社にライセンス料を支払うようになった[2]。なお、2003年、特許侵害を訴えたBusiness Objects社に対して、MicroStrategy社は勝利している[3]

セマンティックレイヤーを使用することで、ビジネスユーザーは、リレーショナルデータベースOLAPキューブに保存されているデータにアクセスして分析するときに、共通の「ルック・アンド・フィール」を得ることができる。したがって、セマンティックレイヤーの技術は、正しい結果を保証しながらユーザーをITの複雑な仕様から解放する、ビジネスインテリジェンス(BI)のコアテクノロジーであると考えられている。

「ビジネスビュー」は、企業が包括的かつ具体的なビジネスオブジェクトを構築できるように設計された多層システムで、レポート設計者やエンドユーザーが必要な情報にアクセスできるようにする。このシステムは、ユーザーが必要なビジネスコンテキストをデータアイランドに追加し、それらを組織用に 1 つの組織化されたビジネス ビューにリンクできるようにすることを目的としている。

具体的には、セマンティックレイヤーはテーブルをクラスに、行をオブジェクトにマッピングする。

脚注[編集]

  1. ^ Relational database access system using semantically dynamic objects”. 2016年10月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月20日閲覧。
  2. ^ COGNOS INC - 10-K Annual Report - 02/28/2003”. 2016年5月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月28日閲覧。
  3. ^ Court dismisses patent infringement suit” (2003年9月2日). 2016年5月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月28日閲覧。