ガラスペン
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1700年、イタリアのヴェネツィア・ムラーノ島で開発されたとされる。[1]
19世紀後半にアメリカで、リネン類に油性インクで記入するためにガラス製のマーキングペンが販売されていた。[2] 現在のガラスペンとほぼ同じ構造であるが、後にゴムやフェルトのペン先が普及し、ガラス製のペン先は廃れた。
日本では1902年に日本の風鈴職人である佐々木定次郎によって製造、販売が開始された[3]。
毛細管現象を利用した筆記具である。筆の穂先状のガラスの側面に溝があり、そこにインクを補充することでかなりの長さの筆記ができる。金属ペンとは異なり、あらゆる方向にペン先が走り、墨汁が利用できる等の利点がある。かつては事務用として重宝されたが、ボールペン等の登場により、現在ではほとんど利用されていない。ペン軸への接続はネジ込み式になっており、専用のペン軸が必要。
1989年に、ペン軸からペン先まで全てガラスで出来た、一体型のガラスペンが作られた(特に「ひねりガラスペン」と呼ばれる)。見た目が美しく、工芸品としても評価されている。
使い方・問題点[編集]
ペン先をインクに浸すだけで使え、ハガキ一枚分ほどなら連続して書ける。ただし、立てて書くとインクが出にくい特性がある。ある程度寝かせて書くと良い。使い終わった後は、水洗いして布やティッシュペーパーで水気を拭き取る。
ガラス製であるため、ペン先が透明になってくるとインク切れが分かる。インクを補充する時、インク瓶の縁にペン先を当てると傷みが生じるので注意が必要である[4]。
ガラスは腐食に強いため、酸性のインク(古典的な没食子インクなど)や、あるいはラメ入りなど万年筆では詰りやすいインクにも使いやすい。
また、他の筆記具と違ってガラス製であるため、不注意によって落下させたり、インク瓶の底にペン先を当てることで簡単に割れて遣えなくなってしまう。
このような耐久性の悪さもあり、一部の愛用者を除き、敬遠される筆記具でもある。
脚注[編集]
- ^ “Venetian Glass Pens”. Delaney Street Mercantile. 2022年12月29日閲覧。
- ^ “【連載】文房具百年 #29 「謎のマーキングペン」”. 文具のとびら. 2022年12月29日閲覧。
- ^ “ガラスペンの歴史”. 佐瀬工業所. 2017年2月9日閲覧。
- ^ 【彩りプラス】ガラスペン 輝く職人技『朝日新聞』朝刊2019年3月1日(第2東京面)。