アンサンブルカルマンフィルタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

アンサンブルカルマンフィルタ(Ensemble Kalman Filter;EnKF)とは、逐次型データ同化手法の一つである。シミュレーションモデル内の状態を表す確率変数について、その分布を実現値集合(アンサンブルと称す)によって保持し、観測を得るごとに、観測モデルをもとにしたカルマンフィルターによる推定により、2次モーメントまでが一致するよう、アンサンブルを修正することを繰り返す方法である。


概略[編集]

まず、時刻kにおけるシミュレーションモデル(状態方程式)は以下である。

ここで、は状態ベクトル、はシステムノイズである。

また、観測モデル(観測方程式)は、以下である。

ここで、は観測ベクトル、は観測ノイズである。

本項目では、以下の線形の観測モデルを考える。

ここでN個のアンサンブルを考えたとき、条件付き分布pを以下のように関数を用いて近似する。

アンサンブルカルマンフィルタの解析は、予測(prediction)、濾波(filtering)および平滑化(smoothing)の三つの推定問題に分類することができる。以下に三つの問題を示す。

予測[編集]

アンサンブルメンバーをシミュレーションモデルに基づいて更新し、予測分布のアンサンブルを得る。すなわち、以下の式が得られる。

濾波[編集]

次に、以下のカルマンゲインより、アンサンブルメンバーを得る。

平滑化[編集]

以下のアンサンブルメンバーを得る。ここで、はカルマンゲインに相当する。

参考文献[編集]

  • 中村和幸、上野玄太、樋口知之;データ同化:その概念と計算アルゴリズム、統計数理、第53巻、第2号、pp.211-229、2005.
  • 三好建正;アンサンブル・カルマンフィルタ‐データ同化とアンサンブル予報の接点‐、天気、Vol.52、No.2、pp.93-104、2005.
  • Evansen, G.: The ensemble Kalman filter : theoretical formulation and practical implementation, Ocean Dynamics, 53, pp.343-367, 2003.
  • Hamill, T.M.: Ensemble-based atmospheric data assimilation, A tutorial, NOAA-CIRES Climate Diagnostics Center, pp.1-46, 2003.