黒き月

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黒き月(くろきつき)あるいはネガティブ・ムーンは株式会社ブロッコリーによるキャラクターメディアミックス企画『ギャラクシーエンジェル』およびその続編『ギャラクシーエンジェルII』に登場する、架空の宇宙要塞、あるいは架空の人工衛星のことを指す。

以下の解説は基本的にゲーム版(原作版)に準じるものとする。ゲーム版とアニメ版の違いについては『ギャラクシーエンジェル』を参照。

伝承

自己増殖と自己進化を繰り返す、人類に仇なす禁断のロストテクノロジーとして白き月では伝えられきた。

黒き月の真実

600年前当時、全銀河にネットワークを築いていたEDEN文明は平和であったが、武力は放棄せずある程度の戦闘力は常に保有していた。戦争に備えてEDENを護るために、戦争シミュレーションにより進化を繰り返す、二つの巨大な兵器開発実験プラントの一つであった。
黒き月は、兵器としての不変性を重視して人間の感情のような不確定要素を徹底的に排除し、変動の振れ幅を最低限に抑え常に安定した出力を目指ことをコンセプトとした。それに対し、人間という不確定要素による進化や突然変異を取り入れ、その変動の振れ幅を利用して最大値を引き出すことをコンセプトとしたのが白き月である。正反対の両者はEDEN辺境で戦争シミュレーションを繰り返し、勝ったほうが相手を取り込むという形で、より進化したシステムを生み出すはずだった。
しかし、600年前に発生した時空震(クロノ・クェイク)によって、周辺との連絡が途絶し、クロノ・ドライブが不能になり、白き月すら見失ってしまったために、当時の管理者であったノアはコールドスリープ、自らを黒き月の生体素子として組み込み自分の姿を模した対人インターフェースに黒き月を任せることで、任務を継続することを選んだ。
600年後、黒き月は禁忌に触れたとして、トランスバール皇国から追放されていた廃太子エオニア・トランスバールと接触、白き月の情報を得た黒き月は自らの優位性を示し、エオニアに自動無人艦隊を与えた。これにより、トランスバール暦412年、エオニアはトランスバール皇国へのクーデターを起こす。
しかし、黒き月はエオニアを利用していたに過ぎず、その真の目的は600年前の任務の続行であった。黒き月は人工知能にバグが発生していたと考えられ、本来の「EDENの民を守る」ために作られたという根本原則を逸脱、何万という人が住む、都市衛星ファーゴへの砲撃など虐殺行為を行った。
エオニア軍との最終決戦において、トランスバール本星系で白き月への強制合体を試みたが、タクトが指揮する、エルシオールのクロノ・ブレイク・キャノンの砲撃を受けたことで崩壊、阻止され、黒き月の内部に眠る多くのロストテクノロジーがトランスバール皇国に回収された[1]
これ自体が巨大なロストテクノロジーであり、様々な機器や施設が備えられている。巨大な軍事研究・生産施設を持っており、自動無人生産プラントにより資源と製造プログラムさえあれば無尽蔵に兵器を生産できる。強力なシールドの他、多数の戦闘艦の攻撃に耐え、逆に殲滅できるほどの強力な防衛システムを備えており、その主砲である高エネルギー砲は自らと同等の直径を持つ巨大な要塞を一撃で破壊したほど。単独で自力航行、クロノ・ドライブが可能であるが、巨体ゆえに艦艇に比べて戦略的機動性に劣る。

その後の黒き月

エオニア戦争から半年後、エオニア軍の残党により、黒き月のコアが回収され、レナ星系の資源衛星レナミスを利用することで再生されたが、コールドスリープから目覚めるなりネフューリアの存在を知ったノアによる無指向の通信波をキャッチした上、エオニア軍の残党を追ってきたタクトらに発見され、エルシオールのクロノ・ブレイク・キャノンの砲撃を受けたことでレナミスごと消滅。その際に巨大艦「オ・ガウブ」が誕生。また、再び流出した黒き月のコアから黒き月の真の管理者・ノアが出現。これにより、失われていた黒き月の情報が取り戻される。また、これ以降ノアは白き月でシャトヤーンらと行動を共にし、ネフューリアとの決戦に向けて技術協力する。
トランスバール暦413年、第二次ヴァル・ファスク大戦に勝利したトランスバール皇国はノアをプロジェクトリーダとして、ヴァル・ファスクに413年から黒き月の再建計画を行わせ、トランスバール暦418年に完成、わずか5年足らずで再建する。これは、平行宇宙への進出を目論むトランスバールが平行宇宙の仮想脅威に備えて、大幅な軍事力増強が必要であったためである。
新たに再建された黒き月は以前より性能が向上され、セントラルグロウブのデータベースから得られた設計図より、外部と内部のエネルギー事象を遮断することで、目視以外での発見を不可能とするステルスフィールドなどの新機構が搭載された。この施設により、リプシオール級を初めとするEDEN軍の新兵器が次々と建造され、ウィルとの戦いに投入され、大いに活躍した。

関連項目

脚注

  1. ^ 小説ギャラクシーエンジェル・廃太子の帰還より。