香川政夫

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かがわ まさお

香川 政夫
生誕 (1955-06-08) 1955年6月8日(68歳)
大阪府大阪狭山市
国籍 日本の旗 日本(1982年に取得[1]
職業 武道家
団体 日本空手松涛連盟
流派 松濤館流
肩書き 首席師範
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香川 政夫(かがわ まさお、1955年昭和30年〉6月8日 - )は、大阪府出身の空手家。全日本空手道連盟公認八段[2]。日本空手松涛連盟九段[2]・首席師範。帝京大学空手道部師範[2]。息子は、空手家の香川幸允

経歴[編集]

定時制高校へ通いながら、空手家であった兄の影響を受けて空手の道へ入る[2]日本空手協会主催の関西地区大会での活躍が評価され、帝京大学法学部へ入学する[2]。卒業後、日本空手協会の指導員となる[2]

第1回IBUSZワールドカップ団体形の部優勝、第28回全国空手道選手権大会日本空手協会 (JKA) )組手の部・形の部ダブル優勝[2]、第3回松濤杯世界空手道選手権大会 (JKA) 組手の部優勝[3]

1983年4月より帝京大学空手道部監督・師範に就任[2]。1990年代に起こった日本空手協会の分裂騒動に際しては、のちにNPO法人日本空手松涛連盟(2000年創設)初代首席師範となる浅井哲彦に従い[2]、浅井の死後、2010年4月より首席師範に就任した[2][4]。このほか、世界空手連盟 (WKF) 技術委員委員長、全日本空手道連盟 (JKF) ナショナルチームのコーチ、監督、強化委員会委員長などを歴任した[2]

不祥事[編集]

2021年3月24日、2020東京オリンピックの組手競技代表内定者であり帝京大学での教え子にあたる植草歩に対し、2020年頃より自尊心を傷つけたり植草の存在を否定するような言動をするなどのパワーハラスメント行為を行なってきた問題が浮上。28日には植草が事の顛末をブログで説明し[5]、ネットニュースでも大きく取り沙汰される[6]

同月31日に全日本空手道連盟(全空連)が弁護士・外部有識者・全空連理事が各2人ずつの計6人で構成される倫理委員会を開き、香川と植草から事情聴取を行った[7]。その結果、全空連は香川が竹刀を用いた練習により植草に「左眼球打撲傷」などの負傷をさせた事実を認定。倫理委員会は声明のなかで「竹刀を用いた練習は大変危険であり、どの練習においても全く認められるものではありません」としており、香川の処分は4月の理事会で審議されることになった[8]。処分決定まで香川の全空連での活動は停止となった[9][10]。 また、植草が香川を傷害容疑で刑事告訴する方針であることが同月31日までに分かった[11][12]

4月7日、香川は全日本空手道連盟に対し、同連盟理事の辞任届を提出。4月9日、全空連は臨時理事会を開き、香川の選手強化委員長の解任と理事職の辞任を決議した[13]。理事会後に取材に応じた香川は「私の不徳の致すところ」と謝罪。「目を突いたとか故意でやったということは決してない」と弁明した。 一方、植草側は、倫理委員会で一連の騒動の事実関係が認められたことなどから、傷害容疑での刑事告訴については見送る判断を下した。

4月16日、全日本空手道連盟は、植草側が香川からパワーハラスメント行為を受けたなどと訴えた問題で、パワーハラスメント認定しなかったと公式サイトに掲載した文書で明らかにした[14]

帝京大学が2021年5月10日に公開した内部調査委員会の調査報告書によると、香川が実施した稽古については「安全配慮に欠き、指導方法として不適切であった」と指摘したものの、「暴力的指導は存在しない」、「暴力を奮った事実は存在しなかった」と委員全会一致で結論づけた[15][16][17]。報告書によると「竹刀で壁を叩く」などの行動に問題点があったものの、植草が「竹刀で目を突かれた」とされた件は、静止状態にあった竹刀の先端に突っ込んで負傷した「不慮の事故だった」とした[15][17]。香川は「暴力的な指導が認められなかったとの調査結果に満足している。今後全力で選手の指導に当たりたい」と述べ、帝京大学は改善策を講じた上で復帰させる見通しである[15][16]

受賞歴[編集]

  • 2013年度ミズノ スポーツメントール賞[18]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 官報「昭和57年12月17日第16765号」
  2. ^ a b c d e f g h i j k 香川政夫 Kagawa Masao – 日本空手松涛連盟”. 武道・武術の総合情報サイト WEB秘伝 (2022年2月6日). 2022年8月20日閲覧。
  3. ^ 首席師範紹介
  4. ^ 『技を極める空手道』(ベースボールマガジン社、2007年11月1日発売、ISBN 9784583100500)166頁。
  5. ^ 植草歩『ご報告』”. 植草歩のうえちゃんオフィシャルブログ Powered by Ameba(2021年3月28日). 2021年3月31日閲覧。
  6. ^ 空手の練習で竹刀、植草歩選手「目を負傷」。 暴力的な指導や怒鳴られる被害をブログで告白”. ハフポスト (2021年3月29日). 2021年3月31日閲覧。
  7. ^ 植草歩がパワハラ問題で聴取終え「きちんとお話してきました」法的措置も検討か”. スポーツ報知 (2021年3月31日). 2021年3月31日閲覧。
  8. ^ 空手の五輪メダル候補・植草歩の訴え認められる 香川強化委員長が竹刀を用いた練習で負傷:中日スポーツ・東京中日スポーツ”. 中日スポーツ・東京中日スポーツ(2021年3月31日). 2021年3月31日閲覧。
  9. ^ 植草歩の弁護人「迅速な結論出た」空手パワハラ騒動 - スポーツ : 日刊スポーツ”. nikkansports.com(2021年3月31日). 2021年3月31日閲覧。
  10. ^ 植草歩選手へのパワーハラスメントなどの事案について | 公益財団法人 全日本空手道連盟” (2021年3月31日). 2021年4月1日閲覧。
  11. ^ 共同通信 (2021年3月31日). “植草選手、傷害容疑で強化委員長を告訴へ | 共同通信”. 共同通信. 2021年3月31日閲覧。
  12. ^ 空手の植草歩選手が刑事告訴へ/デイリースポーツ online”. デイリースポーツ online(2021年3月31日). 2021年3月31日閲覧。
  13. ^ 4月9日の第29回理事会の決議結果について(4/15追記) | 公益財団法人 全日本空手道連盟” (2021年4月9日). 2021年4月16日閲覧。
  14. ^ 選⼿強化委員⻑に対する処分の件についてご説明”. 2021年4月16日閲覧。
  15. ^ a b c INC, SANKEI DIGITAL (2021年5月10日). “空手五輪代表の植草選手への暴力認めず 帝京大が調査報告書を公表”. 産経ニュース. 2021年8月19日閲覧。
  16. ^ a b 空手・植草歩選手への竹刀使った稽古、帝京大「暴力的指導はない」…内部調査委が報告書 : その他 : スポーツ : ニュース”. 読売新聞オンライン (2021年5月10日). 2021年8月19日閲覧。
  17. ^ a b 2021年5月3日 空手道部の調査に関する内部調査委員会 「空手道部の調査に関する調査報告書
  18. ^ 「2013年度ミズノスポーツメントール賞」受賞者決定

外部リンク[編集]