陰茎骨

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陰茎骨(いんけいこつ)とは哺乳類陰茎亀頭内部に存在する棒状の軟骨性骨(一次骨・置換骨)である。バキュラムbaculum)とも呼ぶ。

翼手目(コウモリ目)、ジャコウネコ科などを除く食肉目(ネコ目)、齧歯目(ネズミ目)といった多くの哺乳類がこれを有し、霊長目(サル目)も陰茎骨を有するグループであるが、例外的に霊長類で唯一ヒトには存在しない。

同一種の哺乳類は寒冷な高緯度地方に分布する個体群ほど、また近縁種間でも高緯度地方に分布する種ほど体格が大きくなる傾向を有する(ベルクマンの法則)ため、結果として高緯度に生息する動物は陰茎骨が大きい傾向を有する。

ただし、霊長目で巨大なゴリラがわずか12mmの陰茎骨しか持たないことに示されるように、必ずしも体躯の大きな種が長大な陰茎骨を持つことを意味しない。霊長目では高等とされるグループほど体躯の大きさに対しての陰茎骨の大きさの比は小さくなる傾向があるといわれている。

コウモリ類などではしばしば酷似する近似種間で陰茎骨の形態が著しく異なるため、形態分類学で重要視されている。

またイヌの陰茎骨の入り口には尿路結石が発生しやすい。